STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

続・熱愛  8

【ふたり  8】

初めて経験する仕事上での師走の締め括りの大晦日。
明日に元日を控え、初詣の為に夕刻から外へと多くの人の足が必然的に向いて行く。
朝や昼頃から、正月に晴れ着を着る為に美容院へ髪や着付けに行く人。進学就職の神頼みに初詣に行き掛けている人。
それぞれの想いの中、路上は信じられない人の数になって行った。
その甲斐あってか予想通り、時間潰しや待ち合わせの為に、利用する来店者が引きも切らずに訪れる。
つくしは、関田に初めに礼を言い、忙しいシフトを頑張ろうと激励し合い戦闘に就いた。
先輩の社員辻も、今日は居てくれている。気の合う仲間との気合いこもる職場。つくしは、漸く仕事の楽しさを感じ始めていた。
忙しい為か時間の経過も早く感じる。気が付けば10時を回り、後1時間弱で研修社員の時間は終了する。社員が既に奥で待機し、交代時間前の暫しの寛ぎ時間を過ごしていた。
少し落ち着き、ホッとする間が出来た時だった。
「牧野さん、この後初詣に行きませんか?」
関田に誘われた。
「ごめんなさい。この後、迎えが来て、一緒に帰る約束してるから。行けない。ホントにごめんなさい。」
「良いんだよ。急に誘う僕の方が、不仕付けだったね。気にしないで。」
「うん。」
「さあ、後少し頑張ろう。」

心なしか気落ちした様に見える関田に、2人の遣り取りを見ていた辻は、つくしの様子からその相手が、友人以上の間柄だと直ぐに気付いたが、関田にそれが解ったのか?少々気になった。
『いがみ合ってた者が向き合うと、好意以上の想いが目覚め易い。特に男子に多い。』
そう心配しながら!
奥から社員が交代の為に姿を見せ、つくし達はそっと席を外しその日の仕事を終えた。

つくしは早々に着替え、薄化粧を施し、挨拶をし終えると一目散に店の外に飛び出して行った。
約束の場所に向かうつくし。人波を縫う様にそこへ向かう。
寒さも気にならず、きっと、もう来ているだろうと心を弾ませて、今の自分の顔は綻んでいる。嬉しくて!そんな事を想いながら先を目指した。
「類だ!」
人の頭一つ背の高い、スラリとした長身のお陰で直ぐに見つけられた。
「る~い~!!」
大きな声で思わず叫ぶ。1秒でも早く会いたくて!
自然に辺りが、一瞬静止した様になる。
つくしに視線が注がれた後、つくしが手を振り向ける視線の先に、周囲は「このお嬢さんの相手はどんな人?」そんな好奇な視線を一身に浴びる事になった類。
「うわぁ~!!素敵」「良い男だね~」「ドラマ見たい!」
そんな声があちこちから聞こえていた。
我・関せずで、気にもせずつくしの声に姿を探し、可愛い手に気が付くと、同じ様に嬉しさを素直に表し笑顔と一緒に手を振った。
「いいなぁ~!!」「変わりた~い!」「あの子可愛い!俺も変わりた~い」
ほろ酔い気分の人もいるせいか?言いたい事を周囲が言う中、2人は少しづつ距離を縮め、やがて周囲が好意的に背中を押しくれていた。
「お帰り!」
「ただいま!」
2人が手を取り会えたその瞬間を息を飲み、見届けた周囲の熱い眼差し。その時、何故か一斉に拍手が沸き起こった。
「会えて、おめでとう!」
「幸せになれよ!」
それに応え、類とつくしは周囲に笑顔を送った。
「「はい。」」
2人が言葉を送った後、周囲はそれぞれの大晦日に戻って行った。
「つくしと居ると、ドラマみたいな事が色々起こるね!」
「嫌だった?」
「ううん。その反対!すごく楽しい。NYの事もクリスマスの時も、そして今も・・・みんな素敵さ!」
「類!」
「さあ。俺達もお参りしに行かなくちゃ!」
「うん。」
「つくしの手、スッゴク冷たい。手袋は?」
「忘れちゃった。」
「俺が送り届けたせいだね?でも、こうすれば!」
類は自分の手袋の片手を外し、つくしの手にしてあげた。
「あったかい。」
「大きいけど我慢して!」
「うん。ありがと!」
「そして・・・こっちの手は!」
手袋無しの互いの手を握り合い、類のコートのポケットに仕舞い込む。
「どう?ホントにドラマみたいだろ?」
「うん。」
見つめ合い、互いの温度を通わせ合う。恋人同士の幸せなひと時。
「つくし、何の願い事するの?」
「類が、幸せで有ります様に!」
「つくしじゃないの?」
「類が幸せなら、それであたしも幸せだから!類は?」
「つくしが、幸せで有ります様に!」
「類!」
「俺達、幸せだね!」
「うん。こわい位に。」
「大丈夫。こわくないさ。ずっと年老いても、俺はこの手を放したりはしない!どんな事が有っても。」
「あたしも。」
交わす熱い瞳と瞳。
「疲れてるのに、お参り大丈夫?」
「うん。全然平気!寝らなくっても、大丈夫な位元気だよ!」
「良かった!」
「ん?」
「それで安心した。お参り済んで帰っても、寝かせられないみたいだから!」
「な・何・・・・・類?」
「何考えてる?2人でお酒飲みたいと思っただけだよ。」
「そ・・・そうだよね!」
「う・そ・だ・よ。・・・つくしを抱きたい。」
「ば・か・・・・・」
「さあ・・・早く済ませて帰ろう!!」

様々な出来事を乗り越えたこの年も、あと僅かで終わりを告げようとしていた。
この夜、厳かに除夜の百八つの金の音を、類とつくしは2人で聞いた。


新しい1年が幕を開けた。
昨夜の大晦日、つくしの仕事の終わるのを待ち、2人で早々に初詣は済ませて有る。
そして昨夜は、類の願い通り2人は眠れぬ夜を過ごした。
明けて新年、2人はのんびりと寛ぎの中に包まれていた。

それと言うのも、花沢の両親は旅行で不在。牧野の両親には、年末年始は研修の仕事で行けないと話してある事で、互いの親に挨拶に行かずに済んだ。

幸せを全身で感じられるこのひと時が、至福の時に他ならない。
「つくし、愛してる。」
まだ眠る可愛い寝顔に口付けをした。触れ合う素肌が心地良く。肩に掛かる吐息が想いをそそる。寝かせたいのに、触れたくて!
我儘な身体を抑えるのに必死になる類。知らずにその胸で眠るつくし。起こさないまでも、そっと華奢な身体を包み込んだ。
時計を見ると、時刻は昼を越え2時を過ぎ様としていた。

『ピンポーン・ピンポーン』
正月のしかも元旦に来客?
類は、見るまでも無く、エントランスの前にいる人物の顔が思い浮かんだ。
『ピンポーン・ピンポーン』
恐らく出るまで、鳴らせるつもりだろう!
寝室から、顔は見えないが受話器を取って相手を確認すると
「明けましておめでとう!祝いに来てやったぞ~」
少し酔っている様な総二郎の声。
「起きろ~入れろよぉ~!」
あきらも同じ様だ!
「ああ。今、解除したよ。部屋のドアは開けておくから入って来てくれる。なるべくゆっくり上がって来て!」
「「了解!!」」
何が了解だと言いたくなるが、2人のお陰でつくしと年が明けられた。それが有るから、嫌とは言えずに向かい入れる。
「つくし。起きて!あきらと総二郎が来るから!着替えてリビングに出るんだよ。良い?」
「うん。うん。解った!」
つくしが本当に解ったか心配ながら、類は着る為のワイシャツをベッドの上に置き、バスルームに入った。
類が入って数分後、間も無く出て来そうなその時、眼を覚ましたつくし。
「類?・・・あれっ・・・ああ・・リビングに居るって言ったよね?丁度ワイシャツが有る。2人だけだもん。良いよね!」
ワイシャツを着て下着だけ履き、寝室のドアを開けリビングに1歩踏み出した。
「アッ!!」
つくしは、眼が点になり瞬きを何度も繰り返し、身体が金縛りにあった様に動けず前を見据える。
そこには、見慣れた顔が2人が座っていた。そして、その2人と眼が合って。
「正月から、色っぽいね牧野!」
大きな類のワイシャツと、その中は下着を1枚付けただけの姿。
シャワールームから出て、つくしとワイシャツが無い為に、慌てて部屋を飛び出す類。
「つくし!・・・・・・着替えておいで!」
類は、驚いて動けずにいたつくしの手を取り、上半身裸のままで寝室に連れて行った。半分寝ぼけている様なつくし。それでも、バスルームに入れてドアを閉めた頃、我に返り1人騒いでいる様だった。

脱がしたワイシャツを羽織り、乾ききらない髪のまま2人の前に姿を見せると
「正月からお盛んですね!」
「それもこれも、俺らあっての事だよね?」
「解ってるから、入れたのに!」
「あれっ!類君、怒ってる?」
「ああ?・・・ヤキモチ妬いたんだ!牧野の色っぽい姿を俺らが見ちゃったから?」
「ごめん。でも、不可抗力だから、怒るなよ!」
「ああ!!!」
「さあさあ!4人でシャンパン飲もう!極上のシャンパンを家から4本も持って来ちゃったぜ。」
「つまみは・・・さっきの牧野!」
「総二郎っ!・・・いい加減にしろよ!!」
「悪いっ!ごめんっ!これ持ってきた。カウンターに置いたままにしていた袋をテーブルに持ってきた。
「スゴイ!どうしたの、これ?」
袋から取り出された3段重ねの重箱には、料亭料理がぎっしり詰め込まれていた。
「飯も入ってるぞ!予め、ここに来るつもりでいたから、家で注文した時に俺の分で1個多く注文させておいたんだ!美味いぞ!!」
「あきら・総二郎!ありがとう。・・・・・・でも・・・・・・」
「でも、何だ?」
「類君・・・俺達が、どれ位見たのか気になるんだろ?」
「・・・・・・・」
「類、大丈夫だよ!ワイシャツ着てただろ。足が何時もより余分に見えただけだよ!なあ、総二郎?」
「ああそうだよ!気にすんな。牧野にも話してやれよ。そんで、4人でお祝いしようぜ!」
「うん。今呼んでくる。」
機嫌を直し、寝室に入った類を見届け、総二郎はあきらに声を掛けた。

「あきらは、見えた?」
「み・・い・いいや・・・いや・・。みえ・・ないだろ!・・・だろ?」
「あ・・ああっ・・そう・・だな!」
「不味いだろ?みえてたら・・・・。なあ?」
「ああ・・そうだよな!」
「うん。」
意味有り気に、2人はにっこり笑顔を浮かべた。


話し終えた頃、類とつくしが姿を見せた。類に連れられて姿を見せたつくしは、ジーパンにパーカーを着ている!
2人に向かい
「お正月早々、スゴイカッコ見せてすみません。それに、年末もありがとうございました。」
「もう良いよ。硬い事抜きで、新年のお祝いしようぜ!」
「はい。」
つくしは、4人分の取り皿とシャンパングラスを出し、注ぎ終えると類の掛け声で乾杯をした。
類が用意していた2人分の「おせち」もテーブルに加え、和やかに初春を4人で祝い、この1年のそれぞれの願いが叶う事を祈って酒を酌み交わした。



熱愛 12345678910111213141516171819(完)番外編

続・熱愛 1234(R)567(R)891011(完)

関連記事

別窓 | 【完】 続・熱愛 【R18】含 | コメント:0
∧top | under∨
<<続・熱愛  9 | STARLIGHT | 続・熱愛  7【R18】>>

この記事のコメント

∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

| STARLIGHT |