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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

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続・熱愛  6

2009-11-01 Sun 00:06

【眠る場所 6】

熱のあるつくしが、薬も飲まずに治る事など有り得ない。
車に乗るとホッとした気持ちが気を緩め眠り込んでしまった。
「牧野さん、家はそろそろ・・・・」
「・・・・・・」
「眠ってる?」
家の目安だけを聞いていた関田では、それだけで辿り着ける筈は無い。已む追えず、自宅に連れて行く事にした。自宅と言っても、両親はアメリカに住んでいる。
関田仁は、日本にいる間は祖父母『粕谷』の家に住んでいた。
大企業の創業者の邸宅は、何処も同じで門を潜ってからのアプローチが途轍もなく長い。屋敷が見渡せるまでに何棟のアパートが建てられるだろうか?

後を追って来た2人が声を揃え
「「何だよ?」」
「言ってた通りの凄い家のせがれじゃねえか?って事は、奴は後継者の修行中って事か?」
「粕谷?あれっ・・・確か食品業界でトップを争う企業家の家だぜ!」
「でも、総二郎はあいつの名前『関田』とか言わなかったか?」
「カモフラージュの為に、恐らく母方か何かの姓を名乗っているんだろう。」
「それにしても、何で牧野がその隠しておくべき素姓の屋敷に一緒に行くんだ?」
「どうするか?類に何て言うんだよ。牧野はホントにトラブルメーカーだよな!」
「それに何で、何時も金持ちなんだよ?あいつは途轍もなく貧乏だって言うのに?」
「貧乏のあいつが発する臭いに何か有るのかな?でも、俺らは何にも感じねえけど?」
門を前に溜息をする2人。報告するべき親友に何て言う言葉で知らせたらいいのか考え込んだ。

その頃邸宅の中では、到着前に急病人を連れて行くと連絡を入れておいた為に、着くと直ぐに部屋に連れて行く事が出来た。
「仁様が恋人をこんな形で、お連れになられるとは本当に驚きました。」
父親の幼少の頃から家で使用人を束ねている、主的立場の島田稲子が含み笑いを浮かべ仁に話し掛けて来た。
「稲さん違うから!それより熱が有るんだ。医者は呼んでくれた?」
「はい。間も無くお見えになると思いますよ。」
「そう、良かった。
それから、おじい様とおばあ様が見えないけど?」
「仁様にはお伝えにならずに行かれたんでしょうか?」
「エッ、何処に?まさかアメリカ何て言うんじゃないだろうね?」
「いえ、そのまさかです。それに仁様は、年末研修のお仕事で、殆どお出でにならないとお伺いしていましたので、ご主人様が今年は長期休暇を下さいまして、皆・今日から帰省やら・旅行に出掛けました。」
「稲さんは、居てくれるじゃない。」
「はい。息子夫婦が旅行に誘ってくれましたが、どなたもいないお屋敷で、仁様が例え1日程しか居ないとしても、お1人でいらっしゃると思うと、稲はお屋敷に残る事を選びました。それに数人の者がここに私と残ると申し出てくれましたので、賄いもお身の回りの事も、取り敢えずは問題ございませんので、ご安心ください。」
「良かった!相変わらずあのお二人のやる事は、若い僕にも理解が出来ないよ。」
「ご理解下さいまし。仁様位のお歳の頃には、ご主人様は途方も無くご苦労なさったと伺っております。奥方様も嫁がれてから、その片腕としてあの時代には珍しい程にご一緒に、この屋の存続を背負われたと聞いております。ですから、今がお二人の心からお楽しみになられる時期にいるのでしょう。」
「親父にしても、お爺様にしても、回りに恵まれているんだね!
アメリカでも、親父の側近は素晴らしい人だよ。メイドや執事もみんな優秀だしね。僕にもそんな環境が作れるかな?」
「勿論でございます。
それにしても、仁様がお嬢様をお連れになるのは初めての事。しかも、お体の具合が悪いとは?
どうしたのですか?」
「彼女は同じ研修生。同期なんだ!無理をして仕事中に倒れたんだ。家が解らないし、何より1人暮らしらしいからほっておけ無くて連れて来た!それだけの事だよ。」

『それだけの事?』
島田はその内容で、仁が惹かれている事をいよいよ確信した。
インターホンが鳴り島田が出ると
「はい。ではお休みのお部屋にお通しいしておくれ、直ぐに仁様と行くよ!」
2人は仁の部屋にいた。医師が到着したとの連絡を受け、つくしを休ませた部屋に出向くと医師と看護師がその傍らで診察する光景に出くわした。
「アッ!済みませんが、男性の方は廊下でお待ち下さい。」
慌てて看護師が、仁を外に誘導した。何故なら呼吸を診る為、僅かながら胸元を開いていたからだ。
声掛けが少し遅く、双丘の頂きは見えずに済んだが白い膨らみは、仁の眼を捉えてしまっていた。
初めて見る女性の素肌では無い筈が、今迄にない白い肌に胸が高鳴っていた。
「何で、こんなに動揺してるんだろう?」
診察が終わり廊下の仁に声が掛けられた。
「仁様お入り下さい。」
島田は仁の高揚した顔を覗きこみ、意味有り気に含み笑いをしながら
「仁様とて、何人かの方とお付き合いをされて来たでしょうに!ウブですね?」
「な・何言ってるの・・・稲さん?からかわないで!」
見透かされている気がして、慌てて部屋の中に入った。
「どうでしょう?」
医師に尋ねると
「相当お疲れのご様子。そこに風邪を引いた為に、高熱が出たようです。今、解熱剤を注射しました。それに、抗生剤の薬を処方しますので、病院に何方か取りにお越し下さい。注射の時気付かれましたが、直ぐ眠られました。お眼覚めになりましたら、消化の良い物を食べさせてあげて下さい。
明日1日良く休まれれば、回復されるでしょう。それではこれで失礼します。」

祖父の主治医である息子の診察だった。大病院の院長自らの診察。恐らく正月休みの筈なのに、往診を受けて貰えるのは、祖父の力のお陰に他ならないのだろう。
診察で年末シフトには影響が出ない事に胸を撫で下ろした。明日の30日その日は社員数も多い。
仁は我身の事の様に安堵していた。
ベッドの側に付いて居たいが、それこそ心が落ち着かず居られそうにない。白い肌がふと脳裏を過った。
過去に2人の女性との恋愛の経験がある。初めて付き合ったのは高校生の頃。
アメリカンスクールの同級生でアメリカ人の女の子。意見の食い違い・誤解から1年で付き合いを止めた。
そして大学に入り、2年生の時に同じサークルの1年後輩と付き合い出し、院生になる直前まで付き合っていた。勿論将来を見据えての付き合い・・・と想っていたけれど、或る日仁は告げられた。
『好きな人が出来たの』と。
初めは親の妨害でも有るのかと、親に詰め寄った。しかし、明らかに否定する様子からそうでない事を知る。そして偶然見てしまった。恋人が見知らぬ男性に肩を抱かれ、その恋人すらもその男性の腰に腕を廻してキスを交わす光景を。
それ以来恋に臆病で、何より女性に対!

それが原因なのか、何時しか近寄りがたいオーラで身を包む形になっていた様だ。
その関田仁・正確には粕谷仁は、久し振りに惹かれる人に出会った想いがしていた。

その頃、類は置いてきぼりにされ、しかも年明けまで会えないと宣告されて、怒りとも悔しいとも云えない切ない想いに駆られていた。
「あきらと総二郎、上手く会えただろうか?連絡遅いな・・・・・」
つくしの事で、暗中模索の2人を知る事無く、その連絡を待ち侘びていた。

夕陽が、レースのカーテン越しから部屋に差し込む頃、つくしは目覚めた。
「・・・・ここは?どうしたんだろう・・・・・そうだ診察を受けて居た。注射をされて?」
俄かに脳裏に医師が間近で、自分に何か言葉を掛けていた記憶が掠めている。ふと腕を出し袖を捲くると、その証があった。それは注射の痕跡だ。

「あたし・・・関田さんと居たんだ!」
体を起こしても、朝の倦怠感は消え失せている。痛かった頭も、少し重さはあるが治まっている。
注射の効果と眠って体が休められたお陰で、楽になれていた。
「どうしたら良いんだろう?」
部屋を見渡し、その様子から直ぐ普通の大きさの家でない事を察した。
そこは、司や類と言ったF4と同じ匂いを感じる気がして。
少し起きた瞬間、ふらつきはしたものの、具合が悪い時の体との違いを実感しながら、窓に近付いてみる。
ガラス越しから見るその先を眼を丸くし見据えた。余りに手入れの行き届いた、広大に想える庭園と言うべきその景色に息を飲む。
「関田さんは、何者?」

乗せられた車を思い出し、この風景・この環境を照らし合わせ、辿り着く先は・・・・・・後継者。
あの会社の後継者?身近に同じ境遇の子息を見続けて来たつくしに取って、それは容易に判断で来てしまう。
そんな憶測をしながら眺めていると、ドアをノックする音がした。
「はい。どうぞ」
「失礼致します。」
そこから姿を見せたのは、年配の品の有る女性。つくしは、一瞬「たま先輩」を思い出した。
そして、そこから、『この人は、使用人頭?』

「お起きになられましたか?」
「はい。ご迷惑をお掛け致しました。とても体が楽になり、こうして起きられます。」
島田は、不思議に思った。
『このお嬢さんは、何者?普通こんな状況で、これ程の邸宅に居るのを目覚めて知れば、動揺するに違いない。
仁様は、同僚だと言っていた。ならば、普通の家庭の筈。』
微塵も驚いている様には見えないその表情に、島田は主達と同じ匂いを感じた。

「済みません。関田さんは、いらっしゃいますか?」
「はい。お眼覚めになるのをお待ちしております。今、お知らせして参ります。その前に、お食事をご用意致しますが、お嫌いな物はございますか?」
「いえ、ありませんが、直ぐに帰りますので、お気使いは要りません。」
「いいえ。このままお帰り頂いたのでは、折角良く成られたお体が戻りかねませんので、是か非でもお召し上がり頂いてからにして下さい。」
笑顔で穏やかに話すその口調に、つくしも同じ様に笑顔を返した。

島田が出て数分後、再びノック。
「関田です。」
「どうぞ!」
ドアから姿を見せた関田仁は、何時も見る仁では無く。センスの良いカジュアルスタイルの服装で眼の前に現れた。
「関田さん、ありがとうございました。それに、すみませんでした。」
「ううん。そんな事、気にしないで良いよ。それより大丈夫?起きてて平気?」
「うん。お陰様で、すっかり楽になれた。ホントにありがとう。」
まだ、顔色は回復したとは言い難いけれど、明らかに朝とは見違える程に楽そうな姿を目の当たりにして、連れて来た事が間違い無かったと、仁は安堵する。
「稲さんが、言ってなかった?食事の事。」
「うん。でも、そこまでして貰っては?」
「この後に及んで、そんな心配はしないで良いよ。乗りかかった船って言うんじゃないの?確かこう言う事を。」
「フッ。それじゃあ、ご好意に甘えます。」
「うん。それがいい。・・・アッそれから、薬預かっているから、後で渡すね。出来るなら、保険手続きをしたいと言っていたよ。」
「はい。解りました。」
「食事は、ダイニングに行く?ここでの方が良い?好きな方を選んで。」
「それじぁあ、ダイニングへ伺います。」

つくしは、その部屋での食事にしたかった。しかし、それだと仁と2人きりになるだろう。気不味い雰囲気を作らない為に、恐らく人が居ると想われる明るく広い部屋のダイニングを選択した。
仁の後に続き、長い廊下を歩き向かった先。無垢の1枚板を使った重厚なドア。その向こうに踏み入れると、司の邸宅を彷彿させられた。しかし、一つ違いが有る。それはテーブルの長さ。会話をし合える大きさがそこにはあった。

怯む事無く、物怖じせず入って来るつくしを島田は見過ごさなかった。
「どうぞ座って。」
「はい。」
そこには、島田が1人椅子に掛けていた。
「済みません。年なものですから、座ったままでご容赦ください。」
「はい。どうぞ、お気になさらないで下さい。寧ろ私の方が、ご迷惑をお掛けしてすみません。」
つくしは頭を下げ詫びた。それは、本当に心から出た言葉。恥ずかしくさえある今の状況。
「どうぞ、頭をお上げになり、遠慮なさらずお召し上がりください。」
「はい。」
仁が引いてくれた椅子に座ると、間も無く奥から食事を手にメイドらしき女性が姿を見せた。
そして、消化の良い粥を豪華な色取り取りのおかずと共にセットされた膳が、つくしの眼の前におかれ、仁にも同じ食事が差し出された。
「関田さんも、調子悪かったの?」
「アッ、これ?」
「うん。」
「ううん。そうじゃないけど、同じ食事にして貰った。体に良さそうだし。」
「そう、良かった。移したのかと、心配になったから。」
「移っても良いよ。」
小さい声で返す仁・・・  島田は、窓際で居眠りでもしているかの様に佇んでいたが、それを聞き逃さなかった。
「ん?」
「アッ・・・移ってないって、そう言ったんだ。」
「そう、安心した。」

食事をし終えると、つくしは家に帰ると切り出す。仁も無理強いできないと判断し
「心配だから、せめて家まで送らせて欲しい」と告げた。
快く承知したつくしを仁は車に乗せ、つくしのアパートへ向かう。
「凄いお家で驚いた!」
「嘘、驚いて無いでしょ?牧野さん。」
「エッ、驚くに決まってるでしょ?あれ程のお家だったんだから。」
「そうは見えなかったけど、慣れてるって気がした。そうか、自分の家も同じ大きさ?」
「残念でした。アパートです。比べ物にならない生活のレベルです。それより何者ですか?もしかしたら、跡取りですね?」
「随分、ズバッと聞いて来るね?」
「アッ、済みません。」
「でも、まあそんなとこかな?見る眼変わる?」
「いいえ。全然!あたしにとって、良き同僚・関田仁さんです。」
「良き、同僚?」
「ええ。今までの態度すみませんでした。良い友達としても宜しくお願いします。」
「ああ。あの・・・牧野さん・・・」
「アッ!そこで良いです。この先は、こんな大きな車だと、出難いですから。」
「う・・うん。解った。
それから明日は、稲さんに牧野さんのお母さんになりすまして、連絡してお休みにして貰ったから、体を休めて!
大晦日、お互いに頑張ろう。」
「はい。何から何まで、済みません。薬もありがとうございました。お気を付けて。」
「ああ。じゃあ!お大事に。」
何か言いたそうな仁に気付く事無く車を見送った。

辺りは既に、夕暮れから夜に成りかかる気配。その時、後ろから呼び止められた。
「牧野!」
振り向くと、見慣れた美青年が怖い面持ちで、腕組みをしながら近付いて来た。
「美作さん・西門さん、どうしたの、そんなに怖い顔して?」
「牧野、お前さあ!」
総二郎が、いきなり声を荒げてつくしに詰め寄る。
「な・何?西門さん・・・・・」
総二郎は、至近距離でつくしに、文句を言おうとしたつもりが、重なった瞳と摘まんだ頬の熱さで、想わず表情を変え、つくしの額に手を当てた。
「牧野、お前熱が有るぞ!」
「うん。そうなんだ!レストランでそのせいで倒れて、同僚がここまで送ってくれる途中で意識飛んじゃって、今迄看病してくれてたから!」
「そ・そっか?そうだったんだ・・・・・だとよ!あきら。」
「大丈夫なのか?どれ?」
あきらも、つくしを覗き込み額に手を当てた。
「まだ、熱有るじゃねえか?医者に行こう。」
「ううん。同僚の家で、呼んで診て貰えたし、薬も注射もしてくれたから、後は体を休めて寝るのが一番。」
「それで、どうしてここに帰って来るんだ?類の所じゃねえのか?」
「アッ、うん。でも、暫く帰らないって言って来ちゃったし、それに・・・移したらいけないから!」
「ば~か!」
「そうですよ!どうせ、あたしは・・・・・」
「牧野!・・・・」
まだ、治りきれていない状況で、寒い場所での立ち話もあり、意識を遠くにしたつくし。

眼を開けると、布団の中に居た。
「ここは?」
それは、その前とは違う見慣れた場所。そして、匂い。
「2人の家だよ!」
優しく髪を直すその人が、眼の前に居た。
「類!」
「ごめんよ。気が付いてあげられなくて。辛かったろ?」
「・・・・ううん。・・あたしこそ、ごめんなさい。」
「もう安心していいよ。俺が側に居るから。」
「うん。」
「お腹空いて無い?喉は乾いて無い?」
「うん。大丈夫。」
「そう、だったら、もうお休み!眠るまで、側に居るよ。」
「うん。」
つくしの手を握り寝顔を見る類。やがて、静かな寝息を聞かせ始めた。
「俺のせいだね。ごめんよ、つくし。」

その日、類は父・涼吾に連絡を入れた。



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