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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

短編 HEART

2014-10-06 Mon 10:00

【 HEART 】

暑かった季節を少しずつ忘れる時期を迎えた。
目の前には俺が好きな季節が待っている。


数年だが好きな女がいる日本を離れ、自ら会うことを封印した。
それで俺自身けじめを付けられると思ったからだ。
そして、他の女に惹かれることを想定した。
広い世界に俺が惹かれる女の一人や二人いないはずはないと。

かつて年上の幼馴染に恋をした経験もある。もう一人が現れないはずはないと高を括った。

だから、誘いがあれば好きでもない合コンとか云う誘いさえも乗ってみた。子息令嬢のパーティーとやらも出るには出てみた。
結果、心底わかってしまった。
俺が好きになった二人の女の凄さ。
どんな女が目の前に現れても、悲しいかな心が動くことはなかった。

かつて俺が惹かれた二人
一人は、類いまれな美貌と申し分のない家柄を持ち、頭脳と性格のいずれも申し分ない女。
もう一人は、容姿とか家柄を超越した相手。
揺るぎない信念を持ち、どんな相手にも臆せず立ち向かえる男前な性格の女。そいつには、初めての恋の時以上に惹かれた。

しかし、その二人とは結ばれぬ運命らしく、手に入れることはできなかった。
好きでもない相手に、幾ら騒がれようと心は動かない。

それで決心し、思いを吹っ切る為、一度一人になる暮らしを選んだ俺は、アメリカ生活を選択した。
親友が住む土地だが、そいつは忙しい。会おうとしない限り、会う機会はないに等しい。

住むことを選んだアメリカは、勉強するにも遊ぶにも不自由しない国。
だが、迂闊だった。
いや、もしかしたら、遠い日を懐かしみ選んだのかもしれない。
それは、高校生の頃に、色んな経緯からその好きな女牧野つくしを案じてアメリカへ来たことがあった。
途方に暮れる姿をほってはおけず、牧野の行動を見守った。花沢家所有の部屋の泊め、共に過ごしたあの日。思わずしていたフレンチキス。
その部屋を今回、無意識に選んだと思ったが、いや違う。意識的に選んだんだ。
そこまで好きなんだと実感する。

そんな時だった。
一本の電話が俺を動かす。
『類元気か?』
『司!』
『こっちにいるなら電話くらいしろよ。』
『ああ』
『まあ、してくれても忙しくて、なかなか会うのもままならねえけどな。』
『うん』
『おい!ああとかうんしか言えねえのかよ。10代の小僧の頃と変わらねえな。
お前は相変わらずだな。
て云うことは、考えも相変わらずってことか?』
『えっ!考えってどういうこと?』
『おっ!やっと会話らしくなったじゃねえか』
『司、飲みに行く時間あるの?』
『行きてえが、もう少し先になりそうだ。』
『そう。なら、なんで連絡くれた訳?』
『報告しておこうと思ってな』
『何を?』
『お前もうまいな!薄々察したんだじゃねえのか?』
『だから、何を?』
『俺ら、もうただのダチになったから。』
『俺ら?俺と司は初めからダチでしょ』
『ば~か!!バックれるんじゃねえよ。俺と類の関係を改まって報告する訳ねえだろうが。』
『司?』
『だが、これ以上は言わねえ。自分で考えろ。そして、報告はいい。良し悪しの結果は自然と俺の耳に入るだろうから。』
『それをわざわざ?』
『ああ。類!お前だからだ。他の誰でもない。俺の親友の花沢類だからだ。』
『うん』
『じゃあな』
『じゃあ』

心が熱くなった。
身体の血流が勢いをあげて動く感じがした。
今を逃したら、もう二度と機会はない気がして、俺は直ぐに帰国便に搭乗していた。

そして・・・・・
俺の好きな季節には、心底惚れた女とひとつ屋根の下で暮らせる。

Fin

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