STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

続・熱愛  5

【5. キューピット】

リビングのつくし。外に視線を泳がせ、瞳を濡らしていた。漸く待ち侘びていた類とのイブ。
初めて過ごす恋人としての夜。
心を通わせ合いながら触れあいたかった。何も知らない間に触れられていた事が辛かった。決してイヤな訳じゃない。でも、初めての大切な夜だから・・・・・

ただ、それを台無しにしたのは、類じゃない。解ってる。自分のせいだって。緊張を払いたくて、飲んだアルコールの効きすぎのせい。飲んだのは、自分から!
なのに、怒った態度をしてしまった。

左手の指輪を見つめ、その手を抱き締めた。ドアを見つめるけれど、出ては来てくれない類。
「そんなに怒ってるの?今なら、ここに居るのに!」
自分から行けないもどかしさ。そして、追って来てくれない類の怒り。
ゆっくり、リビングのソファーの上の今夜のワンピースに眼が行った。バッグも有る。バッグから手帳を取り出し、1枚を切るとメモを認める。30分程そうしていた。でも、音さえしない。
「寝たのかな?」
服を着て、メモをテーブルへ。ドアを見つめ、溜息をする。
「ごめんなさい。あたしのせいだね!今夜は帰ります。これは今夜は、受け取らずに帰ります。こんなに、怒らせてしまってごめんなさい。お休みなさい、類。」
小さな声で、ドアに話し掛けたつくし。バッグ1つ持ち部屋を出た。

ベッドの中で、類もまた迷いに迷っていた。出て行きたい。でも、自分は悪くない!そして、つくしがドアを開け「類、ごめんね。」そう言って、来てくれる気がしていた。何時しか意地に成り、自分から出て行けない気分で、ドアを見つめて・・・クローゼットにボストンが有るのだから、出ては行かないだろう!と決め込んで。
微かに聞こえる音。
「牧野何してるの?」
時計は11時30分近く。もう30分に成るんだ。きっと、大きな瞳を濡らし泣いてるんだろう。行こうか?いや、もう来るさ。でも・・・・・次の瞬間
バタン・バタン
ドアが空いて、閉まる音。眼の前のドアで無い以上、そのドアは・・・・・
慌ててベッドから飛び出し、リビングに行くと・・・・・
つくしの姿は無く、テーブルの上のメモが眼に入った。

『類へ
  
 ごめんなさい。
初めから、こう言えていたら良かったのに。
あたしが、自分勝手な事ばかり言って、嫌な想いをさせてしまったんですね。
ドアの向こうからは、音も姿も見えない今、今夜は一人を選びます。
頂いた大切なプレゼント、今夜受け取らずに行きます。
イブを台無しにして、ごめんなさい。
    
       つくし』

手紙と一緒に指輪が置かれているのに驚く類。
「牧野・・・・・」
簡単に服を着て、部屋を飛び出した。自分が折れるべきだったと悔やみながら。恐らく司とも迎えてはいない初めての夜。緊張して当たり前。解ってやれなかったのは自分。好き過ぎて・愛しすぎて、眼の前にしたら押さえが利かなくなってしまった本能。直ぐに解ってあげれば良かったと、溢れる後悔の想い。
エレベーターで1階に出た。間に合った!そう想ったのもつかの間。つくしの前には、今夜遭いたくは無かった仲間の顔が、そこには有った。
まだ、決して諦めてはいないだろう相手・・・・・道明寺司。
「何で、ここに居る?」
つくしは腕を掴まれ、出て行けずにいた様だった。
「牧野!」
つくしと司は、近付く類に気付き見据えた。
「類?」
「司、その手離して!」
「イヤだと言ったら?」
「司!牧野と俺は・・・・・」
「何だ?この状況を見れば、大方の予想は付く。しかも、その慌て振りじゃあな。良かったぜ!まだ間に合ったみたいだ。大切にし過ぎた事、後悔してたんだ。でもどうやら、類も同じだった様だし?俺に返して貰う。なあ類、良いだろ?」
拳を握りしめ、見た事も無い様な眼で司を睨んでいる類に
「2人とも止めて!」
「牧野?」
「道明寺、手を離して!」
「イヤだって言ってるだろうが。何で、泣きながらいるお前をそのままに出来る?しかも、こんな時間に!類、お前幸せにするんじゃ無かったのか?俺から、牧野をとっておいて、こんな牧野は何故だ?」
「愛しすぎてるからだよ。自分で想っていた以上に、もっとずっと愛してた。それが理由。いけない?」
「・・・フッ!だったら、離すな!俺様がここに居たから良い様なもんだ。感謝しろ!ホラっ」
つくしの手を離し、類の方に行かせる様に背中を押した。
「牧野・・・ごめん」
「ううん。あたしのせい。ごめんなさい」
つくしを抱きしめ、腕の中で見つめ合い詫びる2人に
「いい加減にしろ!俺に礼の一つもねえのか?」
「あっ、悪い。ありがとう、司!」
「道明寺ありがとう。」
「オウ!」
「ところで、何してたの?」
「俺は、仕事だ。已むに已まれずの状況で、ここに来たんだ。
来た時に偶然2人を見掛けた。でも、まさか帰りにもう一度、こんな形で再会に成るとは思わなかった。」
美しい青年が2人、可愛い女性を間に挟んでの遣り取りに、クリスマスの予定を終えてエントランスへ向かう人達が、気付き出し取り巻き始めた。
「類、俺行くわ!牧野粗末にしたら、何時でも貰いに行くからな。牧野、幸せになれ。良いな!」
「道明寺」「司」
司がつくしから離れると、後方にSPが4人付き、他の人同様にエントランスに向かって行った。後ろ向きに大きく1度手を振って!
その姿を類はつくしの肩を抱き締めながら見え無くなるまで、その場で見つめた。

それから2人は
「改めてクリスマスを一緒に過ごして貰えますか?」
「はい。喜んで!」
時刻は間も無く12時を迎えようとしていた。

2人はゆっくり部屋に戻って行った。最高の『ANNIVERSARY』にする為に・・・・・・


類の腕の中に安らかに眠るつくし。初めての夜を過ごした。
微かに望みを掛けていたつくしと司の関係は、類の推測通り、口付けを交わしただけの付き合いだった。今宵それを知った。
例えそうで無くても、類の気持ちは何も変わりはしない。ただ・・・愛おしさが増すだけの事。

類は眠るつくしの頬を指でそっと触れてみた。柔らかく白い肌。
唇にもそのまま指を滑らせて、ピンクの可愛い膨らみをなぞってみる。
それ位では、眼を覚ます気配さえ無い。
緊張と疲労の全てを味わい、漸く得た安らぎの中。
つくしはその時、類の手を握り瞼を閉じると、一滴涙を流していた。それが何を意味するのか?男の類には計り知れない。それでも、可愛い唇から零れた言葉。
「類・・・愛してる。」
それは、類がつくしに向けた溢れる想いに答えた言葉。
類にとって、どれ程言っても尽きぬ想いを表す言葉。
「牧野、愛してる・・・苦しい位に!」
類はただ一心に言葉で・瞳でそれを伝えた。
緩めたいのに緩められない腕の強さ。指で・瞳で・唇で、全てで想いを伝えたい。
初めてだと知り、ガラス細工を扱う様に、そっと傷つけない様に触れたいけれど、逸る気持ちが、時に旨く制御出来ず、先に先にと望みを欲して行く。そして初めて耳にする可愛い声に、尚更強く愛したくなる。
強くて・ひた向きで・純粋なつくし。ずっと触れたくて、でも触れられ時にいた大切な人。
今・・・漸くこの腕の中。

「もう誰にも渡さない。俺だけのつくし。さあ、もう眼を覚まして、俺を見て。」
耳元に囁く様に言葉を告げる。
「・・・・・ん~ん・・」
「おはよう。」
ゆっくりと瞼が開いて行き、大きな瞳が類を捉えた。
「おは・・よう」
はにかむ様に類を見つめ、羽毛布団に潜り込んだ。
「顔を見せて!」
「イヤだよ。恥ずかしいもの。」
「恥ずかしくないよ。俺に顔を見せて。」
つくしの潜り込んだ布団の中に、類は自分も潜り込んだ。
「ギャー・・」
「ウワァー・・・驚くだろ!」
「だ・だって・・・花沢類が・・・」
「静かに!」
「で・・でも・・・」
目覚めのキスをつくしに贈った。朝の様に爽やかに触れるだけのフレンチキスで。
「牧野のプレゼント。本気にしても良いんでしょ?」
「エッ?」
「お揃いのパジャマ。」
「・・・うん。」
「ありがとう、つくし。」
「るい・・・」
「ん?」
「類!」
「ん?なぁに?」
「呼んでみただけ!」
「なんだそれ?」
「ウソ・・・これからも、宜しく・・・お願いします。」
「勿論、こちらこそ!さあ!つくし。ブランチは、ルームサービスが良い?レストランへ行く?」
「ん~?レストランに行きたいな!」
「ヨシ!それじゃあ着替えて食べに行こう!・・・・・でも・・体は大丈夫?」
「うん。平気だよ!」
2人は見つめ合い、笑顔で答える。
つくしが類に贈ったプレゼントは、類の部屋には欠けていた物『つくしのパジャマ。』
それを渡した事で、つくしは答えた。
類の元へ行きますと!
類が一番望んでいた事。だからそれをプレゼントにした。買い物の日、可愛いカップルの言葉に教えられ、何でも持っている類が一番喜んでくれると、想った贈り物。笑顔を見れば、どれ程喜んでくれたか解る位。
幸せな聖夜に育まれた絆。益々膨らむ互いの想い。

間も無く、一つ屋根の下で新しい生活が始まる。
但し、約束の日の前に、もうひと波乱起こりそうな予感を秘めて・・・・・

クリスマスは2人の節目に成った。ホテル帰宅後から、つくしは類のマンションで暮らし始めている。ただし、つくしのアパートは引き払ってはいない。類はそれが不満だが、結婚していない以上、今はそうしていたいとつくしに言われ、拒否する訳にも行かず承諾した。
それでも、側に居られる事が何より嬉しい。つくしの3日間の休暇は、信じられない程に2人の時間を過ごせた。
通い合う心と・・・ひとつになれた体。3日間は夢の様に過ぎた。
その甘い生活を続けられると夢見ていた類。ところが現実はそう上手く行かない。それは、つくしの仕事にある。類の親との約束があるのも確かな事。それとつくしの仕事への姿勢。
年末の繁盛期のせいもあり疲労困憊で帰宅するつくし。おまけに類とすれ違いのシフト時間。
この所、類はつくしの寝顔しか見ていない気がしていた。

その日は29日だった。
「牧野、俺は休みだけどどうして居たらいい?」
「どうして居たらいい?そんな事を聞かれても、あたしは元旦しか休めないの!クリスマスに休んだんだもの。花沢類も知ってる筈でしょ?」
「解ったよ。1人で居ればいいんだろ!」
漸く起きてるつくしに会えて、嬉しくてつい甘える様に聞いてしまった。『待っていてね』位の言葉が聞きたい気がして!
しかし、そこでも仕事に阻まれた。つくしにしても、慣れないハードな生活を始めたばかりで、気持に余裕など無い!夜遅く帰宅し、自分の事をし終えると、2人分の洗濯や部屋の掃除。翌日の朝食の用意。そして、気になった仕事での記録。パソコンのメールチェック。全て終えると、4時を軽く超える。それからベッドには入り8時前には起きる。これがずっとなら、挫折してしまいそうだ。でも、年末を越えればと思えるから我慢できた。類には済まないと想いながら、でも交代で休んだと云う事情や『花沢の両親との約束』が有るのだから、解ってくれてる筈。そう想っていたつくし。
『・・・・・なのに!』

その朝の会話で、気不味い雰囲気に成ってしまった2人。訂正する間も無く、既に着替えの済んでいたつくしはベッドの類に
「朝ごはんはテーブルに有るから食べて。」
それだけ言うと、キスも無く出て行った。
類がベッドから起きて、つくしの言っていた朝食を食べようとリビングに行くと、テーブルの支度の隣の白い紙が眼に入る。そして、手に取り唖然とする。

『年末年始の仕事が済むまでは、アパートに居ようと思います。ごめんなさい。
      つくし   』

戻って来ないとは書かれていなのに、不安な気持ちが全身を覆った。
つくしも気が晴れないまま仕事に就いているせいで、滅多にしないミスをしていた。しかも、少し体が熱い。
「牧野さん、何か有った?具合でも悪いの?」
尋ねて来たのは同期の関田仁。
「何も・・・ありません。ごめんなさい!迷惑掛けて。」
そう言いながら、足取りが少しおかしい。勤務終了時間を迎えた仁は、つくしの後ろ姿を見届けてから帰ろうかとしていた矢先、つくしは眼の前で崩れて行った。
「牧野さん・・・牧野さん?」
抱き抱え、奥の休憩室に運んだ。ホールに出る前の水やおしぼりを準備するコーナーでの事だった為、死角に入り幸い客に知られる事は無く済んだ。
店長の矢部がその日は夜の出勤。今は不在で、その日の責任者は正社員の並木だった。彼に報告すると
「正月体制のメンバーだから、今日は帰して休ませよう!」
並木が言うと仁は
「僕が送って行きます。今日はもう上がりですから!」
「そうか、悪いな。じゃあ宜しく頼むよ!」
休憩室に行くと、つくしは気が付いていた。それでも、やはりぼんやり虚ろでいる。
「牧野さん送るから帰ろう!それとも病院へ行く?」
「アッ・・・関田さん!もしかしたら、此処に運んでくれたの関田さん?」
「ああ。だって、眼の前で崩れる様に倒れられたら誰でもそうするでしょ。」
「ありがとうございます。」
「病院へ行く?」
「ううん、原因は解ってるから。」
「熱も有りそうだけど?」
「それでも、きっと眠れば治ると思う。寝不足が続いてるせいも有るから」
「どれ位寝てるの?」
「ん~?3時間位かな。」
「クスッ・・・通りで!」
「何が?」
「めちゃめちゃ軽かった。痩せたんじゃない?」
「ヤダっ!!」
「ごめん。でも、初めて会った頃から見ると、この所一段と細く成ったって思ってたから。」
「そう?自分では気が付かなかった。」
「初めてだね?こうして話しするの。」
「あっ?ホントだね。関田さん怖そうで話せなかったから。」
「それは、お互い様!」
『「ハハハハハッ!」」
「あっ!不味いよ、そんな元気有るなら仕事して行けって言われるよ?さあ、行こう!近くに車置いてるから」
「車で来てるの?贅沢ね!でも、今日は嬉しいかも。」
「さあ、行こう!」
店の近くのパーキングに停めていた仁の車の前で、つくしは溜息を吐く。
「セレブな人なんだ?」
その車は、セレブ御用達とでも言える超高級ドイツ車。類も全く同じクラスの色違いに乗っている。
仁のそれは、シルバー。
「そんな事は、良いから早く乗って。」
「はい。」
つくしは仁の車に乗り込んだ。パーキングを出る所を総二郎とあきらに見られた事に気が付かずに通り過ぎた。
総二郎とあきらは、類に頼まれつくしの店に行く所だった。
「あれっ?あいつ・・・関田とか云う奴だ!」
「知ってるのか総二郎?」
「ああ、講師した時に気に成った奴。」
「何で?」
「牧野を観る眼が、類や司に似てた。それにあの車。見栄では買えない値段だぜ?類と同じだ。」
「まさか?」
「あきら・・・・・類に何て言う?」
「取り合えず、追いかけようぜ!」
「ああ。了解!」

2人は事情を知らないまま、つくし達を追い掛けて行った。



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この記事のコメント

こんばんは!
ブログランキングから、たどり着きました。
「花より男子」の漫画もドラマも大好きです。
読ませていただきたく思います。よろしくお願いします。
2010-09-19 Sun 22:22 | URL | heilloo90 #-[ 内容変更] | top↑
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