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風の行方 30 生きる道

2014-08-29 Fri 00:00

30【生きる道】

町のPR作戦に参加したつくし。

自分の存在を認められ、社会の一員として求められている気がして充実感で心が満たされてゆく気がしていた。

その会議の席で、一通りメンバーを眺め誇らしい。

どこを見てもベテランと言われる世代のお歴々。この町の若者の多くは、都会へ行くからと言ってしまえばそれまでになる。
そして、照らし合わせてしまう少し前の自分の職場。同期とでさえ、スムーズな関係を築けなかったことが頭を過ぎった。
世代は関係ない。信じ合える心が大事なんだと。

町長がつくしに尋ねた。
「つくし君は、ここのどんなとこが好きかな?」
柔和な表情から、人となりが伺える人物だった。
「わずかしか、住んでいないこの町ですが、あたしはこの町の人が好きです。」
その人に真っ直ぐ答える。資料を見ていたメンバーも、視線をつくしに向ける。

「そして、人情が好きです。空気も。うちの女将さんが作るご飯も大好きです。
住んだ直後、色とりどりに咲く道沿いの花を見て、役所仕事なのかをお尋ねしました。でも、そうではなく、ボランティアで植えているって聞きました。
それに、確かに何もない町ですけど、街にゴミが見当たらなくて、風で飛ばされて来たゴミも車から放られたゴミも、見ればそのままにしないで拾う皆さんだということも、この目で拝見しました。
だから、ここが好きです。」

町長が拍手したのを皮切りに、みんな微笑み拍手をつくしに贈る。

「ありがとう。
ここは何もない。でも、老いぼれが多くなって来たが統率力はあるんだ。それに、若い君の様な子の受け入れる包容力も。
都会のようにビルも洒落た店もないが、ここの良さは、畑や田んぼがあることだ。牛舎だってある。
自給自足が、かなえられる町。

だが、その良さは、若いうちは理解できにくい。だから、その多くの若者が外に行く。しかし、そうなれば、ますます衰退する町になってしまう。
そんな時、君が来て何かが変わりそうな気がして仕方ない。

若い君が見て、その目で感じたことや、興味を持ったことを教えて欲しい。
確かにハードルが高いことを承知で、今回君に参加してもらった。
そして、他のみんなも、今の言葉をそれぞれ頭に入れて、この会議を進めよう。」

つくしは瞼を閉じ考え込んだ。町長とつくしのやり取りを聞き、町長の言葉を聞いたうえで、周りは小さくうなずきながら考え始めてる。
隣り通しで語り合うメンバーもいる。30分もしただろうか。つくしが言いだした。

「前にテレビで見たことがあります。
お年寄りばかりの会社の話し。
そこは、村だったか町だったかは忘れました。でも、そのリーダーに当たる方は、確か80歳くらいの方で、その数年前からパソコンを習い、地場産業をインターネットで販売し始めたそうです。
やがて、町は活性化し、お年寄りが生き生きして、ご隠居する人は少ないって流れていました。
それと、その村で採れたての野菜や作りたてのお惣菜を1か所で販売している所の成功も見たことがあります。
周辺の別の町や村から沢山の方が、そこを目指、わざわざ見に行かれるそうです。」

その言葉にざわつきだした。

「強いて何もなさそうな村で、ここと同じ様な説明がされていた気がします。」
メンバーの目に生気が増す。

「それと、大事なことがあります。
あたしみたいに、こう云う場所を好きな若い子は沢山いると思うんです。
畑仕事をしたいとか、牛や馬の世話をしたい。野菜は、どう育つんだろう?
自分で、稲や野菜を育ててみたいって思う人。」

キラキラさせて話すつくしに、みんなも身を乗り出し聞き入った。

「そうだな!
やる気さえあれば、なんでも出来る。」

「もう一度、ここのみんながやれる事を、色々あげて見ようじゃないか?」

つくしはワクワクした。
若いヒヨっ子の自分が言った事で、動き出してくれている事を。

そして、その日提案された幾つかの事。
真似になるかも知れないが、する価値があると考えがまとまった。役場職員が、つくしの言う模範の村について調べ、先方に連絡を入れてみようと話がまとまった。、

それが叶えば、今後は生産・速販売に漕ぎ出せる。
住人以外の人に、この町へ足を運んでもらえるかもしれない。
ただし、商品に関しては販売所が必要になる。でも、それが見つかれば、生産者が直接販売出来て、新鮮で安い安心した商品を提供できる。
畑仕事や馬・牛の世話を希望する相手の受け入れについては、どこの民家も家が広く、滞在してもらう場所に問題はないと口を揃えて話した。
畑仕事を希望するなら、人手不足で空きが出来た農地はあるし、住む家の畑や牛・馬を所有する家に住み込んでもらうこともできる。
田舎暮らしを体験したい都会人に開放する案もでた。
年齢問わずだが、若者で体験したいと云う者を募る案は、今回学生を対象に夏休みに的を絞った。

差し当たり【出来る事から取り組もう!】それがスローガンになった。

話しが進んだところで、メンバーが受け持つ担当が決められた。
つくしは、担当にはあえて付かずに、オブザーバーという形がいいと町長が言った。

しかし、それがつくしの思いもよらない出来事に結びつく。
話し合いから数日後、つくしは各担当から呼び出しがかかった。
若いつくしを交えての作業風景を撮りたいと頼まれたのだ。本当は拒みたいが、役目を引き受けた維持用拒み切れない。正面からの撮影は「恥ずかしい」と言う理由を付けてNGを伝える。

つくしは内心、小さな村のポスターにすぎない。探す相手たちの様な都会人の目に触れることなどないだろうと。

やがて、畑をバックに、つくしを含めた町の年配者と和気あいあい作業する出来の良いポスターが仕上がった。

町長は、まずはそのポスターを貼る為に尽力した。
貼るならば、つくしの言った様に都会が良い。そこで、若者が最も居る学校各所をターゲットにした。

快く貼る事を許可された町長。
そして、それは意外な事になり始めた。1人の記者が用事で大学を訪れ、そのポスターに目が行く。

「良いポスターだ!近ごろ増えているが、何だか目を惹くな。」

数日後、この記者は編集長に許しをもらい「今時の若者」と言う記事を載せることになった。
そのポスターを記事紹介する為に、再び大学へ向かった。

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