FC2ブログ
好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

風の行方 25 見守る勇気

2014-08-24 Sun 00:00

25【見守る勇気】

つくしは、行き場をなくした。

ひとつと決められてしまった終着駅。
寄り道も途中下車も不可能な最終案内を宣告された。

「クスッ。
自分で言った通りだ。
自分で撒いた種!・・・そうだ。ハッキリ顔を見て別れたいと言うべきだった。
あいつはそう言う奴。
ヤッパリ!ただの口喧嘩としか思っていなかったって訳だ。
フッ・・・でも、後悔はないよ。
類と過ごせた時間がある。刻んだ事実があるんだ。
アッ!
安アパートで物騒だから持ち歩いてる貴重品だったのに、まさかこんな時に役に立つなんてさ。
でも、学校・・・」

自分で言いかけて横に首を振る。
誰に言うのでもなく、今度は縦にうなずく。大きく呼吸して、前を見据えると、重かった足取りを軽く踏み出した。

そして、目の前のメトロは選ばず、その先のJRのホームに向かった。


その頃、類はつくしの会社に着き、受付嬢に総務の半田氏に連絡を頼んだ。
この日、半田に連絡を希望する相手の表情から、受付の2人の女性は、互いに顔を見合わせる仕草を見せる。

「ん?」
類は胸騒ぎが激しくなる。
「只今参ります。申し訳ございませんが、お掛けになりお待ち頂けますでしょうか。」
「はい。」

類の勢いと人目を惹く容姿。周囲は自然に類に視線を送る。気にする事なくソファーに座るとエレベーターを凝視した。

数分後。エレベーターを降りた長身のスーツが良く似合う男性が、真っ直ぐ類を目指し歩いて来た。

「初めまして。
半田と申します。花沢類さんですね?」

「はい。
お呼び立てしてすみません。でも、よく僕が花沢類とおわかりでしたね。」
「ええ。
お噂で、飛び切りの美形と伺っておりますので。」
「お世辞でも光栄です。」
「いいえ。それ以上でした。」

そして2人は、座ると本題に入った。

「同日。間を開けることなく2人の極上男子が追う牧野つくし。心底驚きました。」
「じゃ・・・司・・いや、道明寺司もここへ?」
身を乗り出し半田に言う。
「はい。」
「なんで?」
半田は冷静に答えた。
「御子息は知らなかったようですね?」
「エッ?」
何を知らないといわれるのか、類は動揺していた。
「ここは、花沢傘下であるのと同時に、道明寺傘下でもある事を。しかも、むしろ後者の方が権限が大きい事を!」
「エッ・・・そんな・・・なんで関連が?」
驚きは計り知れない。

「3年程前に、アメリカ最大のÝSCグループで、大損失をするトラブルが発生しました。その時、それを聞きつけて、アメリカで最も力の強い日本企業の道明寺ホールディングスが援助を申し出た。
それが、今回のことに影響しているようです。
3年前のことで、公にはしなかったようですから、ご子息が知らなかったのも無理はありません。」
「知りませんでした・・・
純粋に花沢物産に入れたものだとばかり。」
落胆の色がありありと伺えた。
「配属されると受けた後、内々にある方から連絡を頂きました。
恩恵を受けて入ったとは言えない凛とした学生だから、牧野つくし君を宜しく頼みますと言われました。」
「エッ!!」
「でも、こんな形で見送る事になるとは思いもしませんでしたが。」
「こんな形?」
「ご存知で見えたのではないんですか?」
「ここに来れば何かわかると。
牧野に会えるかと。そう思って伺いました。」
道明寺司が先に来たと聞かされた。なら、連れ出したのだとは大よそ推測できる。

「牧野君は、移動になりました。
しかも、本日付けの形です。先ほど、退社しました。道明寺さんが迎えに来られて。」
「司が?」
「今後は、道明寺ホールディングスに勤務になります。事実上の栄転です。
学生でありながら、会社に席を置く御子息の秘書にすると伺っています。」
「でも・・・牧野の大学は?」
「ええ。目の前で、それに触れていましたが、留学の手続きをさせるおつもりの様です。」
「無茶だ!」
「花沢さん!
これは牧野つくしの上司として、答えた事をお話しします。」

類は聞き入った。
何か知るその人の言葉の一つも聞き漏らさない様に。

「行きたくないと言っていました。」
「牧野が?」

「ええ。」
「どうしたら良いかと。」

「それで?」
「自分で決めるしかないと。そう返しました。勧める事も引き止める事もすべきでないと思いましたので。
牧野君は、もうここには戻りません。」

「半田さん・・・
男として教えてください。」
「はい。」

「僕は・・・どうするべきですか?」
「御子息の元に連絡がないからここに見えたのですよね?」

「恐らく・・・」
「御子息同士もご学友なのでしょ?」

「そうです。幼稚舎の頃からの幼馴染みです。」
「だからです。」

「エッ!」
「あなたに影響がない様に考えて、牧野君は行動しているのじゃないですか?」

わかりきっていた事。冷静に考えれば思い付く事。
それを欠いていた類。
力なく立ち上がった。それに合わせ、半田も立ち上がる。

「そっと見守ってあげてくれませんか?」
「見守る?」

「追い詰めないでやって下さい。」

何も返せず頭を下げて、その場を後にした。

「俺は何も出来ないのか?」
そう呟いて・・・・・

1011121314151617181920212223242526

作品作りの励みになりますので、是非「ポチっ」とお願い致します。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

関連記事

別窓 | 【完】風の行方 | コメント:0 | ∧top | under∨
<<お越しくださる皆様へ | STARLIGHT | 風の行方 24 予想外>>
コメント
∧top | under∨
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

| STARLIGHT |