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風の行方 24 予想外

2014-08-23 Sat 00:05

24【予想外】

今のつくしは、一人になるのが怖かった。なぜなら、形の上で裏切りといえる行為をした気がするからだ。
いくら、自分では別れたつもりだったと言い張っても、その当事者に自覚がなかった。それが意味することは、あまりにも大きな意味をさす。
自分の事よりも、心繋がった相手である花沢類の身の上に対する不安。
類もまた、つくしに司とのやり取りは話していない。不安にさせるだけなら言わないでいよう。そう決めた。

「変わった事があったら、直ぐ俺に連絡して!
良いね。」
「うん。」

表面上、笑顔で答えたつくし。
出来ることなら一緒にいたい。離れ離れは不安でならない。しかし、恐らくつくしがそれを受け入れないに違いない。
今は、つくしを信じ見守ることを選んだ。

車から降りたつくしを、類は姿が見えなくなるまでアパートの前で見送った。


週が明けて、つくしはいつも通り職場に向かった。
不安な事があるが、それでも今は、少なからず類との事が気分を軽くしている。何もなかったころとは違う。心が軽く、笑顔に自然となる。
気が重かった社内の出来事が、なぜか吹っ切れている気がした。

「おはようございます。」

明るい声であいさつをして、つくしはデスクに着いた。当たり前の日常。変わらない時間が繰り返されるハズだった。
この日、出勤したばかりの課長に社内電話がすぐに入り、係長に何か言葉をかけると席を外した。
特に社員は、気にすることなく担当の仕事を始めた。

それから、数十分が過ぎた頃、課長が戻ってきた。
課長は、気持ちを表情にあらわさない冷静な上司だと思っていた。まだ、その元にわずかしか就いていないが、つくしは尊敬している。
その上司が、デスクに着くと、少しばかり表情を曇らせ、物言わずつくしの方向をジッと見た。
つくしは、視線を感じ、その視線と一瞬重なった。ハッとして、席を立つと誰に言われるでもなくお茶の用意に掛かり始める。

その直後、半田は川崎係長を呼んだ。
席を外し、戻った上司の呼ぶ声に、呼ばれた川崎はどんな内容かと少なからず表情を曇らせ椅子から立ち上がった。
「課長!何かありましたか?」
「ん?
ああ。すまないが、隣の会議室に牧野君を連れて来てくれないか。僕は先に行っている。」
「はい。わかりました。」
自分に対しての内容ではないことに、川崎は安堵したのか、半田に気付かれないように小さく息を吐いた。
そして、川崎の思いなど眼中なしという様に、半田は席を外した。

半田がドアの向こうに消えたと同時に、席にいないつくしを目で追い探す。そして、お茶の用意をして戻ってきたつくしに、声を掛けた。

「牧野君、私と来てくれるか!」
これから、お茶を各自に配ろうとしていたところだった。
「はい。これを配ったらでは・・・」
言いかけた時だった。
「行きなさいよ。」
素っ気ないすみれの声だったが、かすかに先週の出来事へのすまなさを表してくれているように感じた。
「ありがとうございます。」
礼を言い、ドアの前で待つ係長の元に向かった。

「お待たせしました。何か雑用ですか?」
「イヤ。とにかくついて来て。」
「は・はい。」
頸を傾げ、川崎の後に付いて歩き出す。そして、着いたのは会議室。
コンコン
ノックをすると、半田の声が返ってきた。
「どうぞ!」
「失礼します。」
ドアを開け、川崎に続いて足を進める。中で、川崎が一礼した後に、うつむきがちに入ったそこで、つくしも同様に一礼した。そして、頭を上げた先に存在した姿に息をのむ。目を更に見開き、思わず声が漏れた。
「アッ!」
それを見て、呼んだ上司が声をかけた。
「こっちに来て、椅子に掛けてくれないか。
そして、川崎君。すまないが、席を外してもらえるかね。」
川崎は、周囲をさらりと見渡し、。ひとりの人物にハッと眼を見張りながら返事をした。
「はい。」

そこでは、課長の半田は椅子に座り、もう1人は、その先の窓際に佇んでいた。そしてつくしは、ドアの前に立ったまま、窓辺に立つ人物を見つめた。

「牧野君聞こえたかな。」
「は・はい。」
課長の半田に言われ我に返る。

「道明寺さんもお掛け下さいますか。」
「はい。」

どうして、この場に道明寺司がいるのだろう?確かこの会社は、花沢傘下のハズ。だから配属されたと思っている。

半田が促した通り、司とつくしは席に着く。しかも、それほど遠くはない距離で向かい合う。二人の久しぶりの再会だった。
無言の二人を間近にして、半田が会話のきっかけを作った。
呆然とするつくしに半田が切り出す。
「牧野君、同じ高校だそうだね。」
「は・はい。」
今のつくしは激しく動揺している。その胸は、聞こえるのじゃないかと思うほどドキドキと拍動していた。
「ご子息とは、親しいそうじゃないか。しかも将来を考える程。」
司を意識して言う言い方ではない。むしろ、淡々とつくしに問う。
「エッ?」
思った通りだと、つくしは声を詰まらせた。すると、つかさず子息は答える。
「はい。NYに発つ前に誓い合った間柄です。
そうだよな!
つくし!」
名前で呼ばれたことなどあっただろうか?
「エッ?」
目が点になる気がした。
「今日付けで辞令が出た。牧野君にはNYに出向してもらう。」
唖然としているその時、思いもしない辞令が上司の口から出された。
「な・なんで?どうしてですか?まだ、ここで何も得ていません。
それにNY?
おかしくありませんか?
5時に大学に行くこの私が、そこに行く意味がわかりません。」
司など眼中にないとばかりに、食い下がった。
すると、目の前の子息が言う。
「つくし!
大学は、留学の形が取れる様に手配する。
仕事は、俺の秘書だ。時間はどうにでもなる。
住まいは屋敷に来れば良い。」
ソファーに深々と座り、両手を背もたれに大きく広げるように置いた態度で言い切る。
「そう言う事だそうだ牧野君。
道明寺さんは、君を迎えに来られた。
ただし、まだ君が学生であるから、内々でと言うご希望で。」
「でも課長!ここは・・・」
何を言わんとしているか、半田は汲み取る。
「確かに花沢傘下ではあるが、大元の軸になる会社は、花沢物産より道明寺ホールディングス。」
「エエッ?」
めまいを覚えた。
驚くつくしに司が答える。
「類の会社と、俺んとこが全く関連がないと思っていたんだろ?
確かに少ない。でも、調べたら、この会社は、協力関係にあった。しかも、花沢より道明寺に実権がある形で。」
不敵な笑みを浮かべて、平然と話す司に身震いがした。

「あ・あたしは・・・」
それきり先の言葉が続かない。
司は、態勢を変え半田に言う。
「半田さん!
このまま連れて行っても良いでしょうか?」
つくしは、今までの会話で、自分の意思は、この場に存在しないのだとわかった。

「こちらは、既に社長から発令を受けておりますので構いません。が・・・」
半田が、つくしを視線で追い、牧野つくしの意思も聞いてはどうかと言う様な言い回しをした。
「ありがとうございます。では、そうさせて頂きます。
つくし。車を廻しておくから、支度をしておいで。」
しかし、その相手に聞く耳はなかった。
「・・・・・」
目が泳いでいるつくし。
「では、これで失礼致します。」
つくしの肩をポンと叩き、司は部屋を出て行った。

ドアが閉まるや否や、半田の前でつくしの瞳から大粒の涙が溢れる。
「牧野君!」
「行きたくないです。」
半田はジッとその顔を見つめ、少し考える様子を見せた後に言った。
「言わずにいるハズだった。」
「・・・・・」
真っ直ぐにつくしを見つめ言う。
「花沢子息の大切な人だから、見守ってあげて欲しいと引き継いでいたんだ。」
「エッ?」
頬を伝う涙をぬぐうことなく聞いた。
「なのに・・・入社間もないこの時期に、驚く人物が君を迎えにみえた。
凄い人なんだね!牧野つくしと言う女性は。」
「い・いいえ。」

「どうするつもりかな?」
「ここに・・・もういられないんですか?」
すがるように尋ねる。
「ああ。辞令が出てしまった。
選りによって、道明寺側に有利な会社に就職先が決まった事が、君の運なのかも知れない。
あとは、自分で選ぶしかない。」
「自分で選ぶ?」
意味不明なことを言われた。
「ああ。」
「なにをですか?」
教えてほしい。
「人が言う事ではない。」
「そうなんですね」
うなだれる。
「未青年の君には大変な選択だね。」
「自分が撒いた種です。
すみませんでした。
ここに残れないとわかった以上、これで失礼します。本当にありがとうございました。
あの日の・・・コーヒーの一件も。」
つくしは半田に深々と頭を下げた。
「僕がわかった事・・・君は気付いていたんだ?」
「はい。嬉しかったです。」
「君なら、乗り切れる。何があっても。
ただ・・・自分を見失わないで居たら・・だが!」
「はい。」

ドアの前に立ち、半田にもう一度深々と一礼し、ドアの向こうに消えた。
ドアの向こう側には、いつ連絡したのだろうか?川崎がつくしの鞄を手に待ち構えていた。案内を受ける前か、それとも、自分が司と話している時に、半田は川崎に部署に戻らずに済むように手配したのだろうか。もう、問う力も消え失せていた。
「係長」
「課長が・・・この方が良いだろうと!後の私物は、仲間にみてもらって、君の住まいへ送るようにするから。」
つくしの目は真っ赤だった。恐らく花沢子息とのことを知るうえで、つくしがどうなるかを見据えての配慮だったのかもしれない。
「ありがとうございます。」

「元気で!」
「はい。ありがとうございました。」
下げた頭は、川崎が去りきるまで、上げる事が出来なかった。
ポトリ滴が床に落ちた。

全てし終えたと、安堵の中で、司はつくしを待った。
「類!
これが俺の力。お前は、まだ甘いよ。」
直ぐに姿がわかるように玄関前に悠々と車を待機させていた。しかし、つくしは、1時間経っても姿を見せない。
気になり、再びエントランスに向かい受付嬢に半田に連絡を入れさせた。
もう部署には居ない。既に社屋から出ている筈だと言われ、司は慌てていた。周囲の視線を気にする事なく車に乗ると、つくしのアパートに急ぎ向かわせた。しかし、戻っていない。

焦る司は、類の携帯に連絡を入れる。大学の講義を終えたばかりの類が直ぐに出た。

「何の用?」
開口一番に出た言葉。
「牧野は?」

類の全身が司の声に集中する。

「牧野をどうした?」
「イヤ良い・・・」

それで切れた電話。類は、つくしに連絡を入れたが繋がらない。会社へ足が向いていた。


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