STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

続・熱愛  3

【3. 直感】

イブの約束を交わした夜から、早いもので1カ月。
あの朝、2人でキッチンに立ち食事を作り、清々しい朝の空気の中で朝ごはんを頂いた。
2人は、類の母からの手紙を発端に、それまでの幼い日の事を茜色に染まる頃まで話した。
そして、夜も2人で、朝と同じ様に用意をして夕飯をマンションで共に。例え交わりは無くとも、朝をそこで迎えた事で、心は更に絆を深めた気がする。
「牧野・愛してる!」
「あたしも・類!」
確認し合う様な口付けを!

そして
あの日、誤解をされ掛けた西門家元講師による【お茶と食中毒の密な関係】の講義が2回に渡り行われた。
つくしは、自分とは関わり無い振りをして欲しいと、総二郎に前もって固く釘を刺す。そのお陰で、知らぬ振りをして貰えて、安堵の中でその講義を無事終了させられた。
総二郎は、何処へ行ってもその見目麗しい外見の為、相変わらずつくし以外の女子の視線を釘漬けにする。群れを成す様に講師・西門総二郎に瞳を輝かせて近付く女子を尻目に、男子は唖然と見入ってる。しかし、その中で一人だけ見向きもしない女子が、男子に混ざり席に着いたまま。
「悪いけど、あの女子の事知ってる?」
メンバーの一人の男子が、隣に座った男子に尋ねた。
「いや、知らない!」
「そう・・・」
他の女子とは違う雰囲気の、つくしの事を気にする男子がじっと視線を注いでいた。
資料を机に忘れた総二郎が部屋に戻ると、かつて親友が一人の少女に初めて会った時に見せた・・・あの瞳と同じ「瞳」をそこで見付けてしまった。
『あいつ・・・何て奴だ?』
総二郎は、纏わり付く女子の中の一人に尋ねた。
「あのイケメンの彼の名前は、何て言うのか知ってる?」
「ああ、確か関田君とか言ってた気がします。」
「ありがとう!」
『類君・心配は的中かもよ!』
総二郎の心配を他所に、つくしとしては何事も無く終えた『西門講師の講議』。

この後間も無く、実施教育研修が始まろうとしていた。
類とは、あれから週1回は、会う事にしている。ただし、食事をする位の短い時間では有るけれど。
それでもそのお陰で、どうにか類の気持ちもセーブが出来ていた。

そうしている中でも、日は廻り・・・
実施研修が始まった。
牧野つくしが就職した会社は、食品業界でも1・2を争う企業。
東京採用者だけで200名。
その200名が、23区と都内近郊35店舗に振り分けられる。
つくしの研修先は下町台東区と決まり、メンバーは男女それぞれ3名づつ。
近くに有名動物園が有る為に、店舗中でも3位に食い込む繁盛店だと説明を受ける。
客層はその条件の行き掛かり上、8割をファミリーが占めているらしい。そのせいか、賑やかさの面でも群を抜いているとも聞かされた。
食産業のクリスマスと正月は稼ぎ時。つくしの研修先も例外では無い。
前もっての希望で、クリスマスと正月のいずれかと言う選択肢の中で、連休が研修メンバーに許された。
つくしは類との約束が有る事から、連休はクリスマスを選択。仲間の事情のお陰も有り、クリスマスに休みが取れた事で、仕事は正月に必然的に決まった。
つくしが大企業の御曹司と付き合っている事は誰も知らない。
同じ研修メンバーの女性3人中、つくし以外の2人もどうやら彼氏持ちらしい。でも、つくしは話さずにいる事から、居ないと想われているのかも知れない。
彼氏の仕事に合わせ正月を共に過ごすと言ってる1人と、帰省先の地元で彼氏が待っているので、正月を休みたいと云う1人が、クリスマスの担当を希望した。
男性も相談し合い、クリスマスの1人。つくしと同じ正月に2人。
これで、研修の6人の年末のシフトが決まった。

つくしは毎日の仕事が楽しかった。学生時代、バイトの時も嫌だと思った事は1度も無い。そして今も、変わる事無く生き生き仕事に就けている。
既に聞かされてはいたが、レストランは親子連れの数が本当に多く、その賑やかさも想像以上の物だ。
それが特に苦手な研修仲間が1人。
そのメンバーの名は『関田仁』MBAまで修得した秀才。
その彼が、その企業を選択したのには曰くが有りそうだった。
しかし今それを憶測するより、そのメンバーが苦手に振り回され、何時辞めても可笑しくない程、見た目からも疲労感が見て取れている事の方が問題に思える。
そして、その為か?手を抜きがちで仕事をする関田に、つくしはイライラしていた。
回りから、この二人の関係は『犬猿の仲』と俄かに噂される程。それが運悪く、今回の連休選択で同じ枠でのシフトに成り、指導担当が頭を抱えると、創業当時から就労する店長が
「気にする事は無いよ。寧ろ別の心配が必要かもしれん。それ位に、上手く行くかもな。」
そうアドバイスした。
「エッ?この二人がですか?」
「2人と言うより、こいつがさ!」
関田のシフト表を指差す。
「どう言う・・・事ですか?まさか・・・惚れるとかじゃ無いですよね?」
「まあな!おや?渋い顔して、何か問題でも有るのか?」
指導担当の三ツ矢が、眉間に皺を寄せ
「はい。この関田は、本名・粕谷なんです。」
「エエッ?創業者も社長も・・・確か・・・・・粕谷じゃ無かったか?」
「その通りです。」
「参ったな!何で・・・研修なんか?しかも、何で・・・ここ?」
「先輩の所を、私が推薦しました。」
「三ツ矢・・・」
「こうして私が、続けられたのは先輩の下に付いたお蔭なんです。だから、仁君も先輩に指導して貰うのが、良いのではないかと思いまして。」
「ありがとな!そんなら、今の事は聞かなかった事にして、指導させて貰う!」
「はい!お願い致します!!」


その日、研修中でも初めて経験する程の繁盛振りを見せた。その理由は、小学校と幼稚園に割引券が配られた事に有るらしい。
開店早々、待ち構える様に数組の家族連れが入ったのを機にカップル、美術館に見学に来たと想わせる資料片手のご夫婦らしき年配のカップル。そして、これから入場するらしい数組の親子連れ。
つくしのこの日のシフトは、朝9時~6時。シフト表を見て、眉間に皺を寄せる。
「あれっ?今週のシフトも、牧野さんと関田さん同じね!牧野さん、ムキに成らないでネ!」
従業員の中でも、研修メンバーに優しい30代後半の女性・辻が声を掛けて来た。
「は・はい。でも、ムキに何て!」
「彼、子供嫌いだなんて口にしたり素振りをしてるけど、ホントは違うと思うわ。店の者がお客様を叱る事は良くないかも知れないけど、他のお客様のご迷惑に成るなら仕方ない事も有るから。その方法が彼の場合少し行き過ぎているだけ。悪い面ばかり見ないで、良い所を褒めてあげるとああいう子は伸びるのよ!」
「はい。」

つくしは、言われて気付いた。関田に対し注意ばかりで良さを見出した事が無かった事。
その日のピークを少し越えた2時過ぎ、テーブルを片付けて厨房へ戻る時、店内を自由奔放に走り回る子供が1人居た。つくしもそれは知っていたが、忙しさや客と言う事も有り、見て見ぬ振りに成り。そこで見たのはその少年と関田。
少年は、レジ近くで販売中のおもちゃを手にし、落とした拍子に壊してしまったらしい!それを隠そうとしている所に関田が居合わせた。
相手に見えない位置からつくしは見守る。
関田は子供と目線を合わせ何か言ってる。

その日の店内責任者の辻を関田は呼ぶと、少年と隣り合わせに成り辻に詫びる。辻は、一瞬厳しい顔を2人に見せ、何か言うと次に頬笑み、関田同様目線をその子に合わせ言葉を掛けてる。少年は頷き、2人に返事をし、席に戻って行った。少年が席に着くのを見送る2人。つくしもその子に視線を向けた。
無言でいるか?いないか?それを気にして見ていた訳じゃない。
ただ、受けとめ方を知りたかっただけだ。すると少年は母親に話し掛けている。下の子に食事をさせるのに精一杯で、上の子の行動に気に停められなかったらしい。本人から仕出かした事を聞かされ、母は我が子の両手を握っていた。その表情から、問い詰めたり頭ごなしに怒鳴る事も無く、かと言って擁護過多に成る素振りも見せない親の行動。

数分後、食事を終えたその親子は、レジに精算で訪れると。
「先程は、色々ご迷惑をお掛けしてすみません。放置し過ぎた親の責任です。それなのにご配慮いただいて、ありがとうございました。この子が、お兄ちゃんに宜しく伝えてと言ってます。
また、依らせて頂きます。ご馳走様でした。」
少年は、笑顔で店に眼をやっている。探したその人の姿は無く残念そうにはしていたが、母に呼ばれその後に続いて外に駆けて行った。
「ごめんなさい」「ありがとう」の言葉は共通して温かいもの。「また来ます。」「お待ちしています」に繋がって行く。
後で聞くと、関田は今回に限らず、見過ごす事無く同じ様に子供に接していると聞かされた。その結果、仲間に知られない様に行動する為、『サボっている』とかに繋がる事を知る。そして、過保護な相手の親の問題で『親も怒らないのに・・・』それで苦情も受けがちになる。そんな時に、悔し紛れに取った態度を悪意に捉えた事をつくしは反省した。
辻から聞いて、初めて合点が行った。それでも、直ぐに見る眼を変えるまでには行けそうにも無い。
でも、明らかに今までとは違う眼で見る様には成っていた。

そして、変わる事の無い同じ日常は続いている。
週に1度の食事デート!時間が有れば映画も楽しんだ。
でもこの所、マンションには行ってはいない。
もう直ぐ「クリスマス・イブ」何故か、その日まで行くのを躊躇されて。類も、敢えて口にはぜずにいる。
気不味い雰囲気に成るのを避けるためにも!
「牧野、仕事はどう楽しい?」
「うん。体動かすの好きだし、接客業は向いてるみたい!」

その日、総二郎から紹介されたイタリアンの繁盛店。総二郎が行く筈だったが、仕事で行けないからと権利を譲られた。2~3か月先まで予約で一杯の店。流石にパーフェクトで楽しめている。
「牧野に言い寄る奴はいない?」
「プッ?な・何、急に・・・」
サラリと言う類の顔を、思わず噴き出しながら見つめた。
「意味は無い!気に成っただけ。」
「居る訳ないって、前にも言ったでしょ?」
「なら、問題無いよ!」
「そう言う類は・・・どうなの?綺麗な人、一杯いる中で、仕事してて?」
「綺麗な人が、一杯いるって誰が言った?総二郎?あきら?」
「ううん、誰にも聞いて無いし、憶測だよ!」
「ふぅ~ん?まあ、信じる。でも、仮にいても気に成る訳が無い。俺には、牧野しか女に見えないモノ。」
「や・・やだな!恥ずかしい・・・」
「何で?NYまで、追いかけて行く位『愛してる』って、いい加減認めなよ!」
「うん・・・ありがとう。」
「牧野は?」
「へっ?」
「もう、へッじゃ無いよ!何か言う言葉は?」
「あ・・ああ。あ・・い・・し・てる・・」
「聞かれなくても、言ってくれれば嬉しいのに!」

NYから戻り、類の両親からほぼ許しを得てから、類の行動にはパワーを感じる。
何処かれ構わず抱擁したがり、肩を抱く。初夏に着ていたミニキャミソールワンピは、類の前でのみ着る様にと差し止めされた。確かにこれからは、類の相手として相応しい身支度は必要だとは思うが、類の場合はそう言う事よりつくしが心配なだけ。

早いもので、後10日程で約束の『クリスマス・イブ』
まだ、類へのプレゼントが用意出来ずにいる・・・つくし。



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