STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

風の行方 16

16【止められない】

心が温かいせいで自然にほころぶ表情。言葉に出さなくても、居心地がいいと感じ合える関係。

まだ一緒に居たい。そう思ってしまう相手は、恋人の親友。

少し前
つくしの部屋のドア越しで、あやふやな別れをした2人。
ただの喧嘩とも取れる様な・・・・・



類は、身近にいることで、つくしの家の複雑な事情を知っている。
仕事も家も、学校の事でさえ、上手く行くように、これまで、道を照らし、そして支えてきた。

つくしが、今回の様に心が折れそうな時に、不思議に現れて側に居てくれる類。そんな相手を、気になるようなったとしても、それは不思議なことではない。
例え、恋人と呼べる相手がいたとしても、心が揺れるのを誰も止めることは出来ない。

一日を共に過ごし、別れ際に、類はつくしを抱きしめていた。その腕の中は、切なく、でも温かかった。
「花沢類!」
「牧野、今夜一緒に居たい。」
言う相手と言われる相手の視線が絡み合う。言った相手は、場合によれば拒絶も有り得る。これが原因で会い難くなるかもしれない。それを承知で、少しばかりの可能性を願い、思い切って告げていた思い。

「・・・あた・・し・・も」
ためらいは、確かに一瞬あった。でも、つくしは言ってしまった。

その思いは、全てを知る類なら、充分過ぎる程わかっている。だから、喜べる返事を聞いた今は、それ以上の言葉は必要なかった。
2人は、言葉を口にせず、互いの手を握りしめて、静かに車に向かい歩いていた。

座席に着き、類がつくしに言う。
「行くね!」
「うん。」
それだけで充分だった。

やがて、二人の乗った車は、山道を抜けて走っていた。そして、車内には、類がスイッチを入れたオーディオの優しい曲が、2人の間を静かに流れている。
外国の女性ボーカルの声が、耳に心地良く響き、幾つものメロディーが奏でられていた。何も言葉を出さなくてもいられる空気感。それが2人。ただ一緒にいられるだけで幸せと思える関係。
程なくして、海が広がる景色が、二人の目の前に現れた。

「うわぁ~・・・キレイ!」
海面に日が落ちて行く様が目前に広がり、歓声を上げたつくし。
「いい景色を見られたね。牧野は海は好き?」
「うん。すごく好き。」
隣で瞳をキラキラさせているのが感じ取れる声に、同じ様に嬉しさを感じていた。
「俺も。」そう言わずにはいられない。

そして、更に数分、車を走らせて見えて来た1軒の旅館。見るからに高級そうな構えの入口付近。すると、類は迷いなく車を門の中へ進ませた。建物に着く前に見えたのは、広い庭先だった。数メートル中を行くと、高級外車が数台並ぶ駐車スペースが眼に入った。

「ここで待ってて!」
そこへ、慣れた仕草で同じ様に車を停めた類は、つくしにひと言告げると車から降り、その建物を目指し歩いて行った。
つくしが類を眼で追う。すると、外に現れた旅館の関係者らしき50代の男性が、類を見るや否や頭を下げているのが見えた。2人は、話しをしながら旅館の中に姿を消した。

数分後、中から姿を見せた類が、つくしの待つ車に駆け寄る。

「ここに決めたから!」
そう言うと、つくしの手を取り車から外へ出るように声をかける。握った手は、放さず旅館の中に歩みだす。自分で選んだといえども、つくしの胸は最大限に高鳴り、わずかだが足元も震えていた。

玄関先では、既に連絡を受けたらしく、女将が笑顔で出迎えてくれた。慣れないつくしは、類の側に寄り添い小さくお辞儀をする。
「ようこそお越し下さいました。ご案内致します。」
そのまま、女将直々に部屋まで案内された2人。

「このお部屋からは海が見えます。それにお部屋の露天風呂からもご覧いただけます。
ごゆっくりお寛ぎ下さい。
当館のこのお部屋は、寝室がございます。
ベッドですのでいつでも、お寛ぎ頂けます。
お食事は7時になりましたら「潮騒」のお部屋にお越し下さい。
では、失礼致します。」

緊張しているつくしを察してか?説明だけすると女将は直ぐに席を外した。

「牧野!」
女将が入れてくれたお茶を進める類。
「う・うん。あり・・がと!」

その緊張を解そうと立ち上がりつくしの元に行き手を差し出した。

「おいで!海を見ようか。」
見上げて頷き、その手を握る。

既に夕暮れ。オレンジ色に染まる水平線。その向こうに船が見えた。でも、大きさも形もハッキリは解らない。

「いつか・・・2人で旅をしようか?」
「エッ?」

「船の旅は贅沢な気分になれる。海を渡りながらショーも観られるしプールで泳ぐ事も出来る。」
「凄いんだね?」

「ああ。でも時間が必要だから、余程気を許した間でないと疲れるらしい!」
「誰かに聞いたの?」

「ああ。前に母が言ってた。父と2人のハズが、取引先のご夫婦も行きたいと言い出し、2組で行ったらしいが、心底疲れたと溢していたのを覚えてる。」
「クスッ。そうだよね。気を使うか使わずに済むかで、楽しさも変わるよね!」

「うん。
だから俺は牧野と行きたい。」
類はつくしを抱き寄せ、見つめ合う体勢になった。
「牧野を見ていて、もっと支えになりたいと思う。牧野を愛してる。」
「花沢類!」

潤む瞳で見つめられ、類はそれ以上の言葉を望まず唇を重ねた。

今宵・・・2人だけの時間が過ぎて行く。


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この記事のコメント

類君の気持ちが切ないです。
私も類のような優しく包みこんでくれるような男性が大好きなのでつくしには類と幸せになってほしい。
翻って実際にはあまりというかほとんど類的な男気のある男性はいませんね。ストーカー男達のニュースで埋め尽くされていてうんざりです。


2333
2014-07-02 Wed 13:42 | URL | 野ばら #-[ 内容変更] | top↑
> ルナミミさま
>
> お久しぶりです!
> 広告が消えていたので、もしや・・・?!
> と思い、次の瞬間はやった!!でした(^O^)
>
> お話しとっても素敵でした!
> もう恋人の感じですね・・・
> 司との旅行なんて疲れそうだし、
> 類との旅行は穏やかでしょうね・・・
> 船の旅行なんて、本当、気の許せる相手としかいけないし、二人はまさにそれが当てはまると思います。
>
> またお話し楽しみにしています(*^_^*)

好きな人との旅行。良いですよね!
風の行方、そろそろ佳境になりました。これからもよろしくお願いします。
2014-08-19 Tue 22:55 | URL | ルナミミ #-[ 内容変更] | top↑
> お待ちしていました。               類、つくしが好きで色々な方のお話に訪問しています。でも深刻すぎたり、ちょっとなー
> と、思ったりの中で、こちらのお話(何回読んだ事か)で、ほっこりしております。      リクエスト 初恋の続きをぜひに。この初恋大好きです (^◇^)  

いつも、心温まるメッセージありがとうございます^^
初恋は、作品の中でもリクエストの多い作品のように思います。何とか次回作、検討してみたいと思います。
2014-08-19 Tue 22:57 | URL | ルナミミ #-[ 内容変更] | top↑
> 類君の気持ちが切ないです。
> 私も類のような優しく包みこんでくれるような男性が大好きなのでつくしには類と幸せになってほしい。
> 翻って実際にはあまりというかほとんど類的な男気のある男性はいませんね。ストーカー男達のニュースで埋め尽くされていてうんざりです。
>
>
>

最近のニュースは確かに気持ちも滅入ることばかりですね。おっしゃる通り作品の中だけでも男気は幸せですよね。頑張ります。
2014-08-19 Tue 23:01 | URL | ルナミミ #-[ 内容変更] | top↑
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