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風の行方 13 い・ご・こ・ち

2014-04-04 Fri 16:00

13【い・ご・こ・ち】

思いがけない類のまちぶせにささくれていた心が和んだ気がするつくしだった。しかも、久し振りに会えた嬉しさと楽しい夕食は、身体の奥が温かくなる。

つくしに会いに車で来た類。
少しの間会わずにいても、会った瞬間から時間が動き出す関係は、誰にとっても心がなごむ。とりわけそれが互いに心惹かれあう間柄ならひとしおのことだ。

「牧野は強情だね。おごってと言うわりに、俺の言うこと聞かないんだから。」

素直にご馳走させてはくれなかった相手に不満のひと言が思わず洩れる。

「強情は今に始まったことじゃないじゃない。それに、前においしい中華のお店があるって言ったら、花沢類が言ったんだよ!そこに今度行こうって。」

ご馳走になると言っても引けないことがあるとばかりに反論する可愛いつくし。

「確かに以前言った気がするけど、あの店にはラーメンと餃子とチャーハンくらいしかないじゃない。」

他の女子なら、花沢と云う家柄や類と云う外見で、自分の意思など全く表すことなどしないだろう。眼の前の女子は、知り合った頃から自分を持っている。譲れないものは、わずかなことでも引き下がったりはしない。

「生活水準の差が出たんだね。あたしにしたら、あれで、れっきとした中華店だもん。」

親しくても、度を越えた贈り物は受け取らないのが牧野つくしの流儀だ。しかも、つくしが案内する中華店には駐車場がなかった。恐らく花沢類がこれまで経験する中で、そんな店に案内するのは、牧野つくし以外有り得ない。
それでも、その食事はどんな食事より美味しくて楽しい時間を過ごせたのは言うまでもない。
そんなひと時を過ごした2人は、車を停めたパーキングまで久し振りの会話を更に弾ませながら歩いた。

「わかった。もういいよ。牧野に任せた俺が悪かった。」

不満でも何でもないが、つくしの反論が楽しくて、思いとは別の言葉で話しを紡ぐ。

「エッ!じゃあ、美味しいって言ったのは嘘な訳?」

きっとそう返すだろうと想像した通り、イタズラっぽい笑みを見せながらつくしが答える。類は待っていましたとばかりに返した。

「嘘じゃないよ。スゴク美味かった。だって、牧野が旨いって太鼓判の店じゃない」

当たり前だよと言ような口調と笑顔で類は返した。

「う・うん。じゃあ・・よしだね。」

褒められる返し言葉は、つくしにとっては少し予想外だったのかもしれない。そして、それなら問題ないと納得するように言った。

「クスッ」

類が含み笑いをさせると、数歩先に進んで立ち止まったつくしが、振り返り尋ねる。

「ん?なに?」

なんで笑うのか意味がわからない。だから、たたでさえ大きな瞳を、更にきょとんと見開き声をかけた。

「ううん。何でもないよ。」

つくしのすることも言葉も、どれ一つにしても可愛いと思ってしまう。思わす身体が反応してしまっていた。ただし、深く尋ねられても、素の気持ちを口にはできない。何でもないと気持ちをぼかした。

「変な花沢類」

幸い感情に鈍い相手でよかった。その相手は、意図がわからず、自分を変呼ばわりするひと言を呟き、ぷいっと再び前を向いて歩きだす。

その後、少しの間、互いに言葉は発せずに歩いたが、気まずさからではない心地良さの中に居た。そして、もう直ぐ眼の前がパーキングと云う時につくしが足を止めて類に言った。

「ねえ 花沢類!もう少し歩かない?」

類を覗き込み言うつくし。

「うん。良いよ?」

類も同じ思いだったが、言えずに迷いの中に居た。この夜は、その誘いや腕を不意に組まれる無邪気な行動をするつくしにドキッとさせられている。いつも以上に心が揺さぶられていた。

「ありがとう。何だか楽しくて、直ぐにバイバイしたくないんだ!」

「うん。俺も。 牧野とまだ一緒にいたい。」

類にとってとても嬉しい誘いだし、表情も笑顔ではあるが、どこか不自然な明るさに見えるつくし。気になる類は、何気なくつくしに尋ねてみた。

「牧野、仕事と大学はどう?」

「・うん。楽しいよ」

一瞬だが、答えに間があったのを類はキャッチする。本来の性格から、例え聞いたからと云って、言うはずはない。

「変わってないね牧野は。嘘を吐くと斜めに視線を逸らす。自分で知ってる?」

「エッ!う・うそ・・・どうして?」

心配は的を得ていたらしい。つくしは立ち止まった。

「やっぱり!  ねぇ・・1人で抱え込まないで俺に言えよ。聞くしか出来ないかもしれないけど、少しは気が楽になるんじゃない?。それとも、俺じゃ役不足?」

類はつくしの数歩先で足を止め、後ろを見ずに語りかける。

「ううん。そうじゃ・・・ないよ。そうじゃ・・・。ただ・・・自分が歯痒いだけ。どうにもならないから・・・だから」

その声のトーンで、それまでの表情は消えているのが伝わって来る。類は振り返るとつくしの元へ歩み寄り、包み込むように抱き締めた。珍しくどうにもならないと言葉にしている。そう言わせるのはどんなことだろう。類の心がざわつき、抱き寄せずにはいられなかった。

「エッ!」突然抱き締められて驚くつくし。

「これは司の代わり。あいつがここに居たら、きっとこうすると想うから。俺が変わりにしてあげる。」

本当はそうじゃない。でも、本心は言えない。誰の為でもなく自分の為に。会えなくなりたくない心が、類にそう言わせた。

「花沢類!」

抵抗する事はなく、その胸に包まれるつくし。

「いつも強がってばかりじゃなくて良いんだよ。素直になりなよ。俺が聞いてあげるから。」

思う以上に華奢な身体を包み込み、せめて今は春のまだ少し肌寒さから、少しの間守ってあげたい思いにかられた。

「ありがとう」

「うん」

微かに震える小さな肩。いつも強気で前向きなつくしが泣いている。
何よりも大切な存在の女子。友達とは割り切れない。でも、恋人では・・勿論ない存在。好意を抱く親友の彼女。

言ってはいけない感情とわきまえて、口には出来ないだけ・・・・・



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