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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

風の行方 9 慟哭

2014-01-12 Sun 22:14

9【慟哭】

類と司。

問答無用と云うつくしの行動で、2人は部屋から出された。最後に顔すら見る事も出来ずに!

男ふたり。
アパートの外にたたずみ、鍵の音と共に閉ざされた壁の前に呆然としていた。




「類!  あいつ本気なんだな。」
「司・・・そうじゃ無いよ。気が立ってるだけさ。これまで待ち続けて来たんだよ。
俺はずっと見て来たよ。司を恋しがってるだろうって思える牧野を!」

「フッ!そこだよな・・・やっぱり。行き着く先は。」
片方の口角を少し上げて、一瞬類に視線を向けた後、ドアを斜めに見つめてつぶやく司。
「エッ!どう言う事?」
その視線の流れが気になり類が問い返す。

「側であいつを見続けて来たのは恋人の俺じゃない。
類!お前だってことさ。
そして、あきらと総二郎も、この俺よりあいつの側に居てやった。」

「司!!」

「俺だって、あいつの側に居られないことで寂しい思いをさせてるってわかってたさ。
思うように連絡すら出来ない俺の状況にも、あいつは文句ひとつ言わないでこれまで来た。どれ程無理させているんだって百も承知してた。
でも、それは手前勝手で、俺が牧野に甘え切ってたんだ。
今の自分の行動はあいつと俺の為で、だから、これでいい。このままでも続いて行けるんだって。
未来を想えば、たかが4年や5年!問題ない!ってな・・・

でも、考えてみたら・・・今・この10代のその瞬間が、何より貴重で宝物なんだよな。」
ドアの向こう側に居る相手に語りかける司。

「牧野!聞いてるか?
冷水を浴びた思いがするぜ。怒り狂ってたさっきまでが嘘みたいだ。
お前の言う通りだよ。俺は忙し過ぎて正直考えがそこに行き着かなかった。でも確かにその通りだ。
いつだったか滋に言われたことがある。
強がっててもつくしだって生身の女。寂しくない訳がないってな。
俺ん家の都合でNYに暮らし、迎えに行くからそれまで1人で待ってろなんて・・・考えてみれば、これ程虫が良過ぎる話しはないよな!
これは・・・俺の戯言だったんだ。」
冷静な声でジッと一点を見て話す司。
「それで良いの?後悔するよ?」
親友の決断を間近で聞く類が真意を問う。
「ああ。絶対に人生最大に後悔するに決まってる。
でも・・・だからって、俺はまだ日本には帰れねぇ。
きっと、牧野もNYには来れねぇだろうし、仮に来てくれても相手をしてやれる時間さえあるか解んネェ。
何しろトップに近い状況の上に・・・まだ学生だしな。」
言いながら、次第にドアから視線を外す司の想いが側に居て伝わる。
「今・・・司は、色々考え過ぎて興奮して言っただけだよ。」
類もドアの向こう側に親友の速い結論に弁解を口にする。
「類!いいんだ。
つい疑って済まなかったな。
類が、そう言ってくれるのは嬉しいが、案外こう云う時って本音が出るもんさ。」
司はその口調も表情も落ち着き、穏やかに類を見つめた。

「縁があれば、またスタートから出直せることもある。運命の赤い糸って奴がさ・・・繋いでくれるハズだよ。
俺にしても・・・・・
類!お前と牧野にそれがあったとしてもな?」

「司・・・・・俺・・・」

「何も言うな。今は聞きたくない。済まないけど。」

類は司を見つめたが、司は類を見なかった。

「牧野   頑張れ!
何もしてやれないが、俺はNYからお前の先行きが明るい事を、世界・・・イヤこの宇宙の中で一番祈ってるから。
そして、縁があったらまた会おう。
今はまだ・・・友達でも良いから・・・とは言えない俺だけどな。

愛してる。

今まで言い難かった言葉。
今しかチャンスがないだろうから、ここで言っておく。

じゃあな!
俺からは、別れの言葉は言わない。何しろ本音は違うんだから。」

去り際に類に視線を送り、片手を上げると歩き出した。

類はドアとその親友の姿を交互に見つめ、数メートル先に進んだ親友を追いかけた。


ドア越しから一部始終を聞いていたつくし。嗚咽する声を殺し、流れる止めどない涙を拭いながら・・・
それでもドアの外には出ないで聞いていた。

「これで良いんだ!道明寺にとっても、あたしにとっても!」
自分に言い聞かせて。

ここに今夜
類と居会わせなければ、どうなっていたんだろう?

他愛ない言葉を交わし、変わる事ない状況が続いたのかも知れない。
でもなぜかこれで良かったと思う自分が居ることに、つくしは不思議な気がしていた。

司との出会いは大切だったし後悔もしていない。恐らく日本で学生同士でいられたなら全ては違っていた。
でも、さっき司が言っていたように「運命」それなんだと思う。

これで全てが本当に新たに始まるんだ!

泣きながらも、前をみようとするつくしが    そこには居た。

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