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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

風の行方 8 訪問者

2013-07-18 Thu 00:01

8【訪問者】

ドアを開けた先に立っていたのは怒りを露わにした司だった。

「道明寺!」
目の前には、しばらくは会えないと思っていた恋人と呼び合える関係になった男子がいた。しかも、その男子の表情は険しさが強く表れている。

鋭い視線で2人に言い放った。
「なんで恋人の俺にはひと言も連絡がないんだ。しかも、女1人の部屋に男の類が居る。
なぜだ!!答えろ。」
他の住人の部屋にもとどろいているだろうと思えるトーンで問いただした。

「あのね、道明寺・・・そ・それは・・・」
言い始めたその時、類が事態を治めようとした。
「ごめん。俺は届け物をしに来たんだ。もう帰るから。」
しかし、そんな類を司は鋭い目つきで流すように眼据えながら無言のまま部屋の奥へ入って行った。

そして、入口に立つ2人を背にすると、顔だけを2人の方へ斜めに向けつつ言う。
「類!何が届け物をしに来ただ。そんな奴が、なんで2人仲良く茶を飲もうとしてた。下手な言い訳すんな。」
「それは!」
「だから、道明寺!」
つくし言いかけたのを司に解らないように類が制した。怒りの真っ只中の司には聞く耳はないことを悟った。

今、その司は、ジッと部屋の中を見渡していた。
「この家具は類のお情けか?それとも、3人が牧野に恵んだ家具なのか?」
「お情けとか恵んだとかは・・・言い過ぎだ!」
類の視線がその言葉で険しくなった。

「うるさい!!
しかし、牧野!お前は全くバカな女だ。ひと言俺様に言えば、こんな手間暇かかる事なんてないものを!
あげく、俺は恋人にも連絡されない哀れなピエロにされちまった。
なあ・・・牧野そうだろ?」
その口調は怒りを越え切なさを想わせる様子にも感じさせた。

つくしも複雑な思いの中で、必死に誤解を解こうと話し出す。
「そうじゃない!
心配かけたくなかったし時間が合わなくて・・・
電話も・・しようとかって・・でも、気が付くとNYは夜中だったり・・・思い通りになかなかいかなくて!
だって、メールじゃ言葉の行き違いが恐くて出来なかった。
でも、でもね・・・こうなるならメール・・・すれば良かったね。」

背を向けられている司につくしは必死で言葉を返した。しかし、幾ら説明しても焼け石に水の状態のまま。司の怒りは消えそうになかった。

「フッ・・・NYで俺は必死に牧野との未来を考え動いてるのに、当のそいつは親友と良い気なもんだぜ。
その親友の類も類だ!俺の居ない間にどうしようとしてるんだ?
横取りでも考えてたか?信じてたのに悲しいぜ。
なあ!類。」

2人に向きをようやく変えたが、その表情は冷たいものだった。冷めた視線で類を見つめた。

「そうじゃない。仲間の俺を信じないのか?」
「信じないのかだと?この状況で?」
「ああ。少なくとも俺が司なら信じる。」
「フッ!ハハハハハッ。今の状況でお前が俺にそう言うのか?」

拳を握りしめていたつくしが絞り出す様に言い始めた。

「道明寺、いい加減にして!
花沢類にそれ以上ひどいこと言わないで。甘えてたのは・・・あたしの方かもしれない。
そう・・・全部あたしのせいなんだから!」
うつむきながら両手の拳に更に力を込めつつ話すつくし。
「牧野?」
隣の類もつくしの様子に驚きを見せる。
「おまえ・・・何が言いたい?」
男2人がつくしを見つめた。

「廻りを見れば、楽しそうなカップルばかり。そんな2人が話す言葉はね・・・・・
今・・会える?ウン良いよ!そう言い合って、お互いに直ぐに自転車を走らせれば駆け付けられる距離にいる。
そんなのいつも目の前にしてて、あたしだって、羨ましくない訳ないじゃない。
電話をかけても声さえなかなか聞けない。聞けてもあっと言う間の一言二言だけ。
励まして欲しい時にも声さえ直ぐには聞くことは出来ない。大事な相談も顔の表情を見ながら言い合えない。
わかってるよ!それが無理なこと。
はじめは平気だと思ってた。そんなの気にならないって・・・でも・・・」

つくしに向きを変えた司がトーンダウンした声で尋ねる。
「そうじゃなかったって言うのか?」
「うん。・・・正直に言えば寂しくてたまらない時があるのが本音。」
そして、驚きの言葉をつくしが切り出した。
「別れよう!道明寺。疲れたよ。
こう云う誤解も何もかも。無理だよ遠距離過ぎる。生活パターンが違い過ぎるんだ。
あんたにあたしはふさわしくない。
もっとあんたの家に釣り合う彼女を選んで!
あたしは・・・もう・・いいよ。」

「「エッ!」」
部屋に居る男子ふたりが同時に発した。

「るい・・・類と付き合うのか?」
「司!」
言われた言葉に悲しい笑みを浮かべつつ返事をした。
「フッ・・・そう発想するんだ!なんか・・・言葉に出来ないよ。」

「何が?」

「だって、別れよう=付き合う相手がいるからって決め付けられる事がだよ。」
「この状況を前にすれば、そう想うだろうが!」

「あんたと別れて、その人の親友と付き合えるほど頑丈な心は持ち合わせてないよ。」
「「牧野」」

「ハァ~・・・・疲れたよ。2人とも帰ってくれない。・・・・・1人になりたい。」

こみ上げる感情を必死でこらえ、ふたりを無理やり押し出す様に部屋から出すと、素早くドアに鍵を掛けた。扉の向こうで開ける様に叫ぶ声に耳をふさぐつくしだった。





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コメント

更新ありがとうございます!
心待ちしておりました(#^.^#)
類君の優しさが心にしみますね(>_<)

2013-07-25 Thu 11:30 URL | kazigon #-[ 内容変更]
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