STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

続・熱愛  1

【1.夢の続き】


季節は初夏。
紫陽花の花が庭先から姿を消し、向日葵の茎が背を伸ばし今か今かと待ち構えている。

帰国当初、つくしのNYでの事情から【警察・大使館・大学】と様々な事情説明に追われた。
重要な体に関しては、記憶障害の症状が有った事などから、NYで治療にあたっていたMrフランク・ベイン氏の紹介状を持参し病院も受診したが、幸い一切問題無いと結果を報告された。

花沢類の両親は、我が子・類のつくしへの深い愛を知った。
NYへ留学までし、求める愛の深さで、つくしを探し当てた事。類の一途さが無ければ、つくしの帰国は何時になっていたか解らないと言う事も。それ程の愛。もはや引き離せない。
ならば2人を尊重し、見守りながら成長して行って欲しいと願う事から類に条件を出した。

日本に帰国し1年。つくしの住む場所は、昔のままのアパート。
類が、どんなに花沢の持ちビルにマンションが有るから入ってと頼んでも、ここが自分らしいと云い張り移ろうとはしないつくし。
仕方なく承諾したものの、社会人に成った類に取って、不便さは否めない事から、類が使うと云う名目でマンションの1室の鍵を受け取っていた。
類は、つくし以上に2人で居る事を望み、仲間達が想うよりもつくしへの眼差しは熱かった。
それは夏の日差しよりも!

その日、2人は待ち合わせをした。銀座にある生活雑貨が豊富に揃うデパートのカフェで。
「遅いな・・・牧野!」
約束の時間を5分過ぎた位でしかないのに、類はしきりに時計を気にした。周囲の客は、その仕草一つに溜息を洩らす様に視線を類に注いでいる。
類は全面ガラスから見える外に視線を向け、外の景色につくしの姿を探す。

「牧野・・・?」
その日、朝から気温が高く、日中の猛暑も予報で伝えられていたせいでだろうが、類はつくしの服装に驚きを隠せない。
ミニのキャミソールワンピース姿。確かに薄い上着の様な物は手にしているが、今は着ている訳ではない。胸元も脚も露わに成り過ぎる位に晒している様に見える。
類を待たせていると気にしているのか、駆けて来るのだが、その度に裾が乱れ、類は周辺の男の視線が気になって仕方無かった。案の定つくしを食い入る様に見つめる男に気付き、苛々が止まらない。
「早く!牧野。」
眼の前の信号で立ち止まり、時計をしきりに見つめるつくし。その時、ずっとつくしを凝視していた男が、つくしに何か話し掛けている。
首を振ると信号の変わったのを機に、こちらに向かってつくしが駆けて来る。漸く中の類に気付き、笑顔で大きく手を振る。店内のあちこちで、その2人を交互に見ながら何やら言っていた。
そんな事はお構い無しに、つくしが店に入り類の元に駆け寄ると、類は腕を掴み引き寄せた。

「何をあいつに言われたの?」
「何も・誰にも言われてないよ!」
周囲の客は、立って抱きしめ合う2人を、ドラマのワンシーンを見る様に見つめる。
「信号の向こうで、話し掛けられてたじゃ無い?」
「ああ…あれの事!良く聞かなかったけど、何かの勧誘みたい!」
「えっ?じぁあ何て?」
「覚えて無い!時間が気になって、聞く耳オフモードだったから!」
「まきの・・・・・」
「遅れてごめんなさい!類・・・」
「ずるいな!名前で呼んだりして!怒れないじゃない。」
「へへッ!解った?」
「もう!・・・でも、許してあげるよ。駆けて来たから。」
「ありがとう。類。」
「サッ、座ろう!」
「うん。」
回りも、もはやその熱い2人に呆れ出し、見る者は無くなって、それぞれの身近な話をし始めていた。

「それにしても、その服何とかならない?」
「エッ?可愛いって言ってくれると思ったのに?」
「ま・まあ・・・可愛いけど、露出が多い気がしてさ!」
「だって、この天気だよ?みんな、これ位着てるモノ。」
「心配じゃない!さっきみたいに。」
「類・・・」
「何?」
「ありがとう。」
「ン?何が?」
「類みたいな人に、妬かれるのって凄く幸せ。」
「牧野!」
2人は見つめ合い、注文さえ忘れ、手を握り合う姿に再び店の客の視線が注がれていた。
2人の世界に入りはしたものの、大切な時間を悟り、漸くつくしはアイスティーを注文すると喉を潤し、目的を果たす為に店を出た。

そこで待ち合わせたのには理由が有った。、それは買い物。マンションで使う物を揃える為。
家具も一通りの物は既にあるが、食器やスリッパと言った細々した物が不足している事から、今日はそれを揃えに来た。
「ここで、買い物したかったんだ!」
「そう?女の子が好みそうな可愛い物が沢山あるね!」
「うん。でも、あたしには手が出無くて、来ても見るだけだったから。」
「じゃあ、思いきり買うと良いよ!牧野の好きな物。」
「何か、新婚さんの買い物みたい!」
「そうしようか?」
「本気で言ってるの?」
「ああ。実は、言うの迷ってたんだけど、良い機会だから話そうかな!
今日、俺のマンションに寄って行かない?」
「い・・良いよ。気になるもの・・・今言えないの?」
「その時ね。」
「うん。」

2人は、あれこれ夢中で小物を選んだ。
お揃いやら、色違いやら。一頻り買い込み、その日の予定の物は全て手に入れた。
夕飯はつくしの提案で、マンションで食べ様と言う事で、デパ地下で一流シェフのテイクアウト料理を買い込んだ。
「つくしの手料理じゃ無いんだ?」
「たまには、こんなの食べてみたいもん。良いでしょ?」
「解ったよ。なら、ケーキは良いの?」
「要る・要る!家なら美味しい紅茶を貰ったばかりだったけど・・・今度来たら、入れてあげる!」
「貰ったの?誰に?」
つくしは、シマッタと云う顔を見せた。
「気にしない。気にしない!」
「牧野?」
こうして、食材も手に入れて予定通り、類のマンションに脚を運んだ。
類の譲り受けたマンションは、新築の一等地に「そびえ起つ」と言わんばかりのビルの1室にあった。
普通以下の暮らしを送っていた庶民のつくしには、またしても唖然とするばかり。
「入って!牧野。」
「うん。・・・あっ!スリッパ使いたい!類・・・良い?」
「良いよ、出してあげる。でも、取り敢えず上がって!」
「うん。」
2人が並んでも余裕が有る廊下を通り、リビングへ向かう。
クリームイエローのソファーセットが、部屋を明るく温かい雰囲気にして、癒される空間として迎えてくれた。
「可愛い色だね!和む。」
「そう!牧野が嬉しそうで、俺も嬉しい!さあ、座って!」
「うん。」
言われるままに、つくしがソファーに座った。
類はキッチンでお湯を沸かすと、紅茶を入れてテーブルに運んで来た。
買い求めた食材をテーブルに出しながら、何気なくつくしに話す。

「一緒に暮らせない?」
「エッ?な・なに・・・急に!」
「ここに住もうよ一緒に!」
「だ・・・だって、類が必要に応じて使う為にマンション貰ったんじゃないの?」
「そうだよ。でも、驚かないで!両親は許してくれた。牧野との事、許しを貰えたんだ。」
「うそ・・・」
「NYの件で、俺の牧野への気持ちにが本物だって認めてくれた。ただ・・・・・」
「やっぱり、その先が有るんだね?」
「そうだね、確かに。住むのは眼を瞑るって言われたけど、結婚には条件を出された。」
「条件?それはどんな?」
「牧野が社会人として2年、外の世界を見聞する事。その間に俺も後継者の地盤を固める事。
それが、親父の条件。」
「でも、嘘みたい。それで認めて貰えるなんて。」
「ああ。俺もそう想う。でも、牧野の社会人って、少し不安。」
「ひどいよ!ろくな事出来ないとか、雇って貰えないとか思ってるの?」
「バ~カ!何一人で騒いでいるの?どっちも違うよ。」
「エッ?じゃあ・・・なあに?」
「牧野って、人が嫌がる事も面倒だって思う事でも、進んでするから心配なんだ。」
「それの、何が心配なの?解らないよ。」
「仲間に気に入られないかって心配なんじゃ無い。」
「ハハハハハッ!そこまで心配されるなんて、思わなかった!しかも、類の様に星の王子様みたいな人に言われると、凄い幸せ。でも、大丈夫だよ!有り得ないから。」
類は溜息が出る。つくしが余りに解っていないから。NYでも、スティーブがつくしに惹かれた事や、こうして、自分や司を魅了し続けている事。

「でも、類・・・真面目な話。就職浪人になったら、どうなるの?」
「その時は、花沢で働いて!」
「ダメ!コネも、裏で手を回すのもしないでよ!・・・・・もし、就職出来なかったら、バイト一生懸命するって言うのでも良いか聞いておいてね!」
「牧野、最初からそれじゃあ駄目でしょ!一応聞いておくけど。でも、ホントは働いてなんて欲しくない。俺の気持ちも解っておいてよ!」
類は熱い瞳で見つめながら、囁くようにつくしに言った。どうしていいか解らず、誤魔化す様に
「そ・それより・・・たっ・・・・・たべようよ・・・一流シェフのご馳走・・・・・」
「そうだね!」
一先ず、団欒のひと時を類は楽しみたいと、つくしを見ながら思う類だった。


花沢類の新築マンションの1室。新しく買ったばかりの小物達。嬉しくて、あちこち視線が移動する。そして1か所に釘ず付けになった。
「アッ・・・あれ!」
視線を止めた先に、類が同じ様に視線を合わせる。
「俺の宝物。」
「使ってくれない無いの?」
「ううん。ずっと・・・・・抱きしめてた。使うと云うより!」
「エッ?どう言う事?」
「受け取ったあの日から、NYの生活の中でも、何時も一緒に俺の側に居てくれてたんだ。変かな?」
「類!」
類は立ち上がり、リビングボードの上にディスプレイされている様に置かれていた1つの物を手に取り、つくしの隣に座り直した。
その手には、つくしがNYへ発つ前に、類にと私邸に届けた筈の、マグカップが大切に包まれていた。

「NYにも・・・持って行ってくれてたんだ?気付かなかった。」
「だって、あの部屋に牧野が居たのは僅かだけど、慌ただしかったものね!」
「うん。・・・それでマグは、どうするの?」
「牧野と暮らせたら、それから使おうと決めてるんだ!牧野も、買ったんでしょ?」
「うん。笑わない?」
「何が?」
「買った直後、使おうとしてキッチンに持って行ったけど・・・・・使えなかった。」
「どう言う事?」
「記憶を戻して、帰国後・・・尚使えなくなって!」
「ん?」
「うちに来て、気付かなかった?食器棚の中?レースのマットの上に置いてあるカップ?」
「うん。解らなかった。」
「そっか?あたしもね・・・類とのお揃いって事で、壊れるのが嫌で使えずにいるの。」
「牧野!」
「ここに・・・持ってこようかな?」
「うん。一緒に使おう!但し、形ある物は何時は壊れるって事、覚えて措いて!でないと、割ったら凄くショックを牧野は受けそうだから!」
「うん。解った。」
カップを元の場所に戻し、つくしの隣に再び座り、華奢な肩に手を置いた。覗き込むようにつくしの顔を、数センチ先で捉えると、身を固くして大きな瞳を更に大きく見開き、類と視線を合わせる。
「な・・なに?」
「今日は、騒がないで!無理はしないから・・・・・」
瞬きが激しくなるモノの、声は出さずにじっとしているつくしに、類はゆっくり唇を重ねた。
つくしの体を両手で包み、始めは触れる位に優しく。つくしの柔らかな唇に誘われる様に、類の両手は次第に抱く力に強さを増して、片手をつくしの首と頭の境にその手を添えた。角度を変え、徐々にキスの深さも増して行く。つくしが苦しさで、一瞬気を抜いたその時に、類は想いをするりと滑らす様に、唇の中に想いを忍び込ませた。
尚、つくしの体が固くなり、類の胸元にその手を当てて小さく震える。
それでも、今夜の類は、それでは止まらず、片手を腰に廻すと、肩の細い紐をスルリと腕の方に下ろし始めた。
「・・・・ん!」
精一杯の力で手をそこに運ぶと、類の手に小さな手を重ねた。
漸く我に帰る様に、唇を放し身を放すと、眼の前には大きな瞳を潤ませたつくしがいた。
「ごめん。嫌だった?」
「ううん。そうじゃない!でも・・・もう少し待って欲しい。」
「何で、今じゃダメ?」
「自信が無い。」
「何の自信?これ程・・・牧野を愛してるのに?」
「そうじゃないの・・・・・そうじゃ・・・」
「まだ、拘ってる?色んな事?」
「・・・・・・」
「そうなんだね!」
俯くつくしをそっと引き寄せ抱きしめた。
「ごめん。きっと俺が想うよりずっと、色々有るんだね?待つよ!」
「ごめんなさい・・・・・」
つくしは類の腕の中で、小鳥の様に身を縮ませ震えてた。声を押し殺しながら。
きっとそれは、司との一連の事が有るからだろう?そして、NYの件も!
何時もは、変わり無い様に振る舞いながら、体を求める時になるとつくしは何故か別人になる。それをみて、嫌が上にも憶測してしまう司との関係。平気だ!とは想いつつ、その顔が眼の前をチラ付く。
どれ位そうしていただろう?例え・・・生まれたままの姿の交わりで無くても、抱き締めただけでも、体は離れたがらなくなる。愛しくて張り裂けそうになる位。
「泊まった方が・・・良い?」
時間を見て、つくしが尋ねて来た。
「イヤ・・・送るよ!今夜・・・牧野と一緒に居たら、嫌がっても止められそうに無いから。」
「るい・・・・・」
「気にしないで!怒ってる訳じゃないから。俺・・・さっきも言ったけど、待つから!」
つくしは小さく頷いた。


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