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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルほぼ【類つく】のお話です。一部【総つく】も含まれております。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

Destiny 11 合否通知

2012-03-27 Tue 00:00

11【合否通知】

今日は留学の合否の発表の日。

朝からソワソワしてしまう。

自分としては手応えはあった。でもそれは、あくまでも自分の感覚。ミスがないとは言い切れない。
その日の放課後に坦任の元に行く事になっていた。
そんな中、携帯が鳴った。
「アッ!優紀だ。」

この所、バイトを休んでいる為に親友の松岡優紀には会えずにいた。
「優紀・・・・・心配して・・・電話くれたの?」
「うん。もう解ってるの?」
「ううん。これから先生の所に行くんだ!」
「それって・・・張り出しされてるの?」
「ううん。あたしだけだから、書面で受け取るんだって!」
「そうなんだ。気になって何も手につかないよ!」
「ありがと!解ったら知らせるよ。例えダメでも。」
「ダメな訳はないよ!でもさ、正直言うと寂しいんだ!だからかも・・・・・・」
「優紀・・・・・」
「ごめん。とにかく待ってるよ・・・つくし。」
「うん。」

『優紀・・・・・ありがと!』
もう一度、心で呟いた。

意を決して坦任の元に歩き出す。
もう廊下にも、学生の姿は数える程。この日なぜか、クラスメイトは早々と帰り支度をして教室を離れて行った。

つくしは思う。ここまでの数日間、ようやく溶け込めた様に思えたクラスの中での関係は、思い過ごしだったのかと。
うな垂れ掛けた・・・その時だった。職員室の前に、見慣れた顔がアーチを作っていた。

「エッ・・・・・エエ・・ッ?な・な・何?」

クラスメイトが、合格を祈り激励の声と笑顔を向けている。
「牧野さん・・・大丈夫!きっと合格してる。」
「そうそう。牧野さんの頑張りを今日まで来たもの。」
「ああ。始めは貧乏人の・・・あっ、ごめん!もう、そうは思っていないよ。ここに居る僕達は。ホントに!!」
「うん。今は、誇りに思うよ。みんなが付いてる!」
「うん。ここで、祈ってる!!」

「み・みんな・・・・・ありがと!すっごく・・・・・嬉しい。ホントに・・・・ありがと!」

信じられない声援の中、熱くなる胸と潤む瞳で『友達』のアーチをくぐり教室に入った。
担任が座る席へゆっくり進んで良くと、騒ぎの事もありつくしを迎える態勢を整えている坦任。
真顔のその顔に、つくしは不安な気持ちをかき立てられた。

「牧野!早く来い。」
「は・はい・・・・」

テレビのクイズ番組の「ファイナルアンサー?」を掛け合う司会者と回答者の様に、つくしはその状況が思えていた。
「先生、そう言う顔は心臓に良くないです。早く・・・ください。」
「アッ!悪い悪い。興奮しててな!つい、こっちまで。」
「知っているんでしょ?」
「いいや。知らない。校長と、教頭だけが知ってるらしい!」
「そうなんですか?」
「牧野!」
「はい。」
「これが、その合否の通知だ!」
「は・はい。ありがとうございます!」
「牧野・・・・・そそ・・その・・だな・・・」
「解ってます。ここで開封して欲しいんでしょ?」
「ああ。」
「職員室の前にも、クラスメイトがいる以上、合否を知らせない訳には行かないでしょう!」
「そ・・そう・・だな!」
「じゃあ・・・開けます。先生、これお借りします。」
机の上のハサミを使い丁寧に開封すると、恐る恐る取り出し、折り畳んだ用紙を広げた。

無言のままの・・・つくし!
一筋の涙が頬を伝う。

「どうした?・・・何て・・・何て書いてある?・・・・・・もしかして・・・・・?」
何も言わず、涙するつくしに力なく座り込んだ坦任。
「いいさ。国立でも何でも、学費の掛からない所を2人で探そう!・・・・・なっ!牧野」

「ううん。先生・・・・・受かったよ・・・・・合格した。」
「エッ!」
鳩が豆鉄砲食らった顔で飛び上がり、その用紙を立ち尽くすつくしから取り上げると
「本当だ!・・・・・受かってる・・・・・合格してる!牧野・・・やったな!!」

当の本人より、数倍興奮している坦任を見ながら、次から次へと熱い涙が押し寄せて来た。
すると、待ち切れないクラスメイトが、その声を聞き付け合格を知り、歓喜の様子で教室になだれ込んで来た。口々に祝福の言葉を言いながら!
「おめでとう!」「良かったね!」「嬉しいよ!」
「みんな・・・ありがと!ホントにありがと!」


その日は週末。
来週登校すれば、英徳中に知れ渡っているだろう!
これから数日間、『行き先の事で!』心ない噂がピークを迎える予感に囚われながら、この満ち足りた想いがあれば、何も怖くはないと想えていた。

何人かの心配してくれる友達の所に報告の電話を入れると、見えない先ですすり声で喜んでくれる声を聞いた。
何度かの連絡を終えた後、物足りなさに辛くなる。
始めから気が付いている。最初に言いたかった人に・・・・・今も言えない・・・!
美作あきらは『気にしないで、牧野がしろ!』そう言い、連絡先を教えてくれた。でも、出来なかった。
似合いすぎる【美しい2人】が眼に浮かんでしまう!

「どうしたら良いんだろう?」
決めていた筈の行き先。合格した今、夢物語ではなく現実の事になったその事を、複雑な気持ちで考え始めていた。
「パパとママに話しに行かなくちゃ!」
行き先の電車に乗り込んだ。


Destiny
101112

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