FC2ブログ
好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

LIE 6 複雑な心

2011-03-09 Wed 04:18

6【複雑な心】

それは、師匠が高等科の校舎裏で女子学生を口説く場面。

それは偶然だった。
セレブに面白く想われていないあたしは、時として嫌がらせに遭う。それに遭遇してペンケースを隠された。
文句を言えば、きっと行為は更にエスカレートするだろう。だから、言わずに黙々と探して居たその時に目にした。

多分最初は女子学生の方から声を掛けたのだろう。師匠から先手は打ちそうに無い気がする。だから、それを逆手に取り、これぞチャンスとその先に話しを進めているのじゃないかと。そう思った。

あたしは、自然に師匠の行動に耳も身体も傾く。

「君が俺に声を掛けた。俺がそれに応えようとしてる。だったら・・・ねえ。もっと親しくなりたいと想わない?」
「はい。私で良いんですか?」
「勿論さ。深く知り合いたい。」

そんな会話。

身震いがした。こう云う結果がいつかの追いまわされる結果に繋がったんだと。今偶然耳にして、あたしは目からウロコの思いで影に佇み溜息が洩れた。

「師匠と崇めても、あのキレイな手がなければあたしは近付かないよ。」と。

でも、ふと思う。自分にはあんな甘い声も優しい態度も見せはしない事。

「あたしを女と見て無い証拠?」

複雑な気がした。ホッとする思いとバカにして!と思う感覚。
でも、今は安全に茶道を習得するのが先決。まあいいや!と溜息をもらしつつ、その場を離れた。


あたしは、師匠の元へ行く他に、バイトにも行っている。
団子屋のバイトだ。
そこには親友の松岡優紀が居る。唯一あたしが心底本音も正直な姿も見せられる相手。

その親友に事件が起きた。それは、夢の男女交際開始のベル。

「エッ!彼氏?」
「声が大きいよ。」

あたしの口を手で塞ぐ親友。
バイトを終えて、ファーストフード店で腹ごなしをして帰ろうと寄ったそこでの会話。

「だ・ダレ?その相手は?あたしの知ってる奴?」
「ううん。高校で知り合った男子。」

親友の優紀は都立の公立高校に通っている。

「何年?」
「うん。1つ上。」

あたしは溜息が洩れた。最近溜息を良くするなとシミジミ実感した。

「そっか。良いな優紀。」
「先にごめん。それと、中々約束出来なくなるかも。」

「いいさ。仕方ないよ。」
「うん。」

良いと言ってはみても、寂しくない訳がない。しかも遊び難くなると言われれば尚更だ。あたしは、この日から師匠邸に行く日は、本当にバイト以外に拒む理由がなくなった。


師匠のスキャンダルな場面を目撃した翌日にメールが届いた。「金曜5時に来られたし」の内容。
『ゲットしたのかな?あの部屋で?あ~・・・イヤだイヤだ。でも、行くしかないや』

あの日桜の花びらが舞う中で、木に沿う二つのシルエット。
西山壮太と言う師匠とあたしが呼ぶ相手。その大学生が女子学生と向き合う姿が、あたしの脳裏に浮かび、モヤモヤする感情が自分の中にあるのに気付いた。

「ん?何で?・・・決まってる。師匠なのに呆れる事をしてるからさ」

複雑な気持からではないと、自分を取りつくろい言い聞かせた。そして、桜で思い付き部屋の窓に身を乗り出した。

「夜桜見物か。ア~アッ・・・優紀と行きたかったな。でも、誘えないか・・・」

窓から外を眺め、社宅近くの桜を街灯が照らす風景に呟いていた。

LIE

関連記事

別窓 | LIE 「総つく」 | コメント:0 | ∧top | under∨
<<短編 【お弁当 と ご馳走】 | STARLIGHT | MISOJI 10 悪寒と素肌>>
コメント
∧top | under∨
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

| STARLIGHT |