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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

LIE 5 桜

2011-03-04 Fri 08:22

5【桜】

あたしはその日、見てはならない光景を目の当たりにした。

それは、師匠が高等科の校舎裏で女子学生を口説く場面。それは偶然だった。セレブに面白く想われていないあたしは、時として嫌がらせに遭う。その時がまさに遭遇してペンケースを隠された。文句を言えばキット行為はエスカレートするだろう。だから、言わずに黙々と探して居たその時に目にした。

多分最初は女子学生の方から声を掛けたのだろう。それを逆手に取り、これぞチャンスとその先に話しを進めている気がした。
自然に師匠の行動に耳も身体も傾く。

「君が俺に声を掛けた。俺がそれに応えようとしてる。ねえ。もっと親しくなりたいと想わない?」
「はい。私で良いんですか?」
「勿論さ。深く知り合いたい。」

そんな会話。身震いがした。こう云う結果がいつかの追いまわされる結果に繋がったんだ。あたしは目からウロコの思いで影に佇み溜息が洩れた。
「師匠と崇めても、あのキレイな手がなければあたしは近付かないよ。」と。
でも、ふと思う。自分にはあんな甘い声も優しい態度も見せはしない事。

「あたしを女と見て無い証拠?」

複雑な気がした。ホッとする思いとバカにして!と思う感覚。
でも、今は安全に茶道を習得するのが先決。まあいいや!と溜息をもらしつつ、その場を離れた。


あたしは、師匠の元へ行く他に、バイトにも行っている。
団子屋のバイトだ。そこには親友の松岡優紀が居る。唯一あたしが心底本音も無様な姿も見せられる相手。

その親友に事件が起きた。それは、夢の男女交際開始のベル。
「エッ!彼氏?」
「声が大きいよ。」
あたしの口を手で塞ぐ親友。バイトを終えて、ファーストフード店で腹ごなしをして帰ろうと寄ったそこでの会話。

「だ・ダレ?その相手は?あたしの知ってる奴?」
「ううん。高校で知り合った男子。」

「何年?」
「1つ上。」

溜息が洩れた。最近溜息を良くするなと、思わず振り返る。

「そっか。良いな優紀。」
「先にごめん。それと、中々約束出来なくなるかも。」

「いいさ。仕方ないよ。」
「うん。」

良いと言ってはみても、寂しくない訳がない。しかも遊び難くなると言われれば尚更だ。あたしは、この日から師匠邸に行く事で、本当にバイト以外の日は拒む理由がなくなった。


師匠のスキャンダルな場面を目撃した翌日にメールが届いた。「金曜5時に来られたし」の内容。
『ゲットしたのかな?あの部屋で?あ~・・・イヤだイヤだ。でも、行くしかないや』

桜の花びらが舞う中で、木に沿う二つのシルエット。西山壮太と言う大学生が女子学生と向き合う姿が、あたしの脳裏に浮かび、モヤモヤする感情があるのに気付いた。
「ん?何で?」

「夜桜・・・見物。優紀と行きたかったな。」
窓から外を眺め、社宅近くの桜を街灯が照らす風景に呟いていた。

LIE

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