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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

Happy Birthday(つくし)

2011-01-17 Mon 00:00

短編【Happy Birthday】(つくし)

あれは1週間前の事。

クラスメイトの小島美優のその日は誕生日らしく、仲の良い山田さつきと尾上順子が美優に
「誕生日おめでとう!」と声を掛け小箱を渡す光景を間近で見ていた。
満面の笑みで受け取るその姿に、羨ましいと感じる自分が珍しく存在していたつくし。

幼い頃、両親にポツリ言った事があった。

『どうして、学校がお休みの時にお誕生日なの?
みんなは、そうじゃないから『おめでとう!』って、言ってもらえるのに。』

そう言って困らせた事がある。

休み中の誕生日は、友達から忘れられやすい。

親友の優紀はそうではないが、それでもかつて2度程、家族旅行の為に年明けまでお預けの事があった。

小学校を卒業と共に、さすがにこだわる気持ちは消え失せてた。

何も変わる事なく過ぎて行く日々の中で、明日は少し違う一日。

この冬が、3年間の高校生としての最後の冬休み。

相変わらずバイト三昧。しかし、明日の12月28日は休みにせず、敢えてバイトを入れておいた。

今回だけは、独りで居る事のない様に。相手が解らなくても、賑やかな中で「自分の記念日」を迎えられる為に!

唯一の誤算。
それはあいにく、団子屋の定休日に重なっていた事。

だから、もうひとつのバイトの喫茶店が、その日のバイト先。

つくしのバイト時間は、18時から閉店の21時まで。

年末で買い物帰りの影響なのだろう?
いつもよりお客が多い。一息付いて家路に向かう会話が聞こえて来た。
それでも、忙しいのは20時までだった。
閉店1時間前ともなると、常連のカウンターに座る客も今夜は姿を見せない。やはり年末は、みんな忙しいんだ!
つくしは改めて実感した。

閉店間近、マスターがつくしに声を掛けた。

「つくしちゃん。済まないけど、これを見て倉庫の在庫確認してくれる?足りない物を明日買いたいから。」
「はい。解りました。」

マスターに言われて倉庫に行ったつくし。
正月休みを取り入れる商店が多いから、飲み物等が購入しずらくなるからだとマスターは言った。

しかし、既に補充は充分で、確認が必要ないほどだった。それでも一通り見終わると30分掛かっていた。

「心配性なのかなマスターは?」
独り事を言いながら、店内には言ったつくし。

「あれ・・・停電?」

閉店まで残すところ、あと30分。

踏み入れた店内が真っ暗で、入口で立ち止まったまま中に入れないつくし。

「マスター・・・いますか?」

「いるよ!つくしちゃん。」

意外な事に、店内ではなく後ろからその声が聞こえて来た。

「ブレイカーが落ちたみたいだ。上げて来るから店の方を頼むよ!」

「は・はい。」

暗闇で、見え難い店内ながら1・2歩と前に進んだ。

どことなく人の気配がすると想った瞬間・・・・・

店内が『パッ』と明るくなり、そこには見覚えのある顔が幾つも揃っていた。

「Happy Birthday つくし!!」

一斉にお祝いの言葉が飛び交う。

「う・・うそ!!」

呆然と立ちすくむつくしの肩に、後ろから近付いて来たマスターが手を乗せて

「良い友達を持ったね!30分貸し切りだよ。いや、1時間は必要だろう!」

「エッ・・・これって?」

「つくしちゃんの為に誕生日したいから、貸し切らせて欲しいって言われたのさ。
さっきの倉庫の確認は、用意の為の時間稼ぎ。
こんな時間に頼むのは可笑しいだろ?」

「マスター?」

「さあ。行きな!
つくしちゃんの友達は、スゴイな。
明日、開店前に掃除の人を頼んでくれたそうだ。思いきりお祝いしてもらうと良い。
俺は、飲みにでも行って来るよ。
最近、歳のせいで酔い潰れやすいから、来れないかも知れない。
だから、帰りの鍵と火の元にはくれぐれも気を付けてな!

鍵はスペアがあるから、この鍵はつくしちゃんを信じて預ける。
次のバイトの時に持って来て。
じゃあ 頼むよ!」

「は・はい。」

それは、時間を気にせず楽しめと言ってくれたに違いない。明るく返事を返したつくし。

今は、驚きと嬉しさで一杯!
去り際にマスターに背中を押されて、みんなの中にようやく歩き出す。

待ち切れず、中から優紀が迎えに来た。

「主役が来ないと!」

「う・うん。」

進んだ先には、バースデーケーキが置かれていた。
その中央にはチョコレートプレートに『つくし』と書かれて。

それぞれの手には、リボンが付いた箱や袋を持っている。夢にまで見た光景が、今目の前にある。

「電気を消すぞ!」
マスターが言い、真っ暗になった店内にロウソクの灯が際立つ。

「つくし、おめでとう。さあローソクの火を消して!」

「うん。」

18本の火を一気に吹き消せたつくし。

一斉に拍手が沸き起こる。優紀をはじめ、滋・桜子・あきら・総二郎・そして・・・類。
笑顔のみんなが、そこに居た。

「司は来れなかったけど。みんな顔を揃えられた。」

「先輩、美作さん達は先輩の為に、旅行中止にしたんですよ!お礼言わないと!」

「エッ!それ本当?・・・どうしよう・・・・・」

「桜子!余計な事言うな。俺らは旅行より、この方が楽しいからそうしたの。気にする必要ないからな!牧野。」

「美作さん?」

「そうそう。俺らは行こうと想えばいつでも行けるの。なっ!類。」

「うん。それより牧野のお祝いの方が、何倍も大事!」

「西門さん。花沢類!」

「すみません。余計な事言って・・・。
先輩!これプレゼントです。使ってください。」

「ありがとう。桜子。」

「つくし、おめでとう。これ私とお揃い。履いてね!」

「滋さん!ありがとう。」

「つくし。良かったね。初めてだよね?こんなに沢山の中でのお祝い。」

「うん。ありがとう。優紀でしょ?きっと・・言い出してくれたの?」

「うん。桜子ちゃんに偶然会って、そんな話をしていたら、滋さんにも伝わって!結果、こうなったの。」

「ありがとう。高校生活の良い想い出になるよ。ホントに嬉しい。」

「これ、私からのプレゼント。
みんなみたいに豪華じゃないけど、バイト代で買った物。私とお揃いのポーチ。使って!」

「ありがとう。優紀。大切に使わせてもらうね。」

「うん。」

「それじゃあ、牧野!これは俺とあきらから。」

「エッ!お二人もくれるんですか?」

「当り前。呼ばれたからには、それが常識!なっ、あきら。」

「ああ。牧野が大学生になって、恥ずかしくないように。トートバックにしたぞ!」

「す・スゴイ!ブランドのバックなんてあたしらしくないです。」

「バ~カ!
らしいとか、らしくじゃないの。自信を持って使えば、バックがお前に合わせてくれるようになるよ!」

「は・はい。ありがとうございます。」

最後に、笑顔でつくしを見つめていた貴公子が眼の前に近付いた。

「牧野、おめでとう。」

「ありがとう。花沢類。」

見つめ合う類とつくし。
2人きりの空間にしてあげようと、仲間達はマスターが作ってくれた料理テーブルに移動し始めた。

向き合った2人。
「牧野、眼を閉じて。」
「う・うん。」
類はつくしの後ろに回り、ネックレスをその首に付けた。

道明寺と恋人を解消し、友達になりたいと告げたつくし。

その相手の道明寺司は
『イヤだけど。側に居られない俺にも、責任がある。』
その言葉で、それ以来『親友』の想いで、司とつくしは接している。

類は、まだ司を想い気持ちをつくしに告げてはいない。
つくしは、司と親友になったのを境に、着けていたネックレスを外した。

寂しげに映っていたその場所に、一番先に贈りたかったプレゼント。

「イヤなら、外して構わないから。」
心にもない言葉を添えた。

「花沢類・・・」

それきり、何も言えず・・・つくしは、そのペンダントトップを掌で包む。

見て居られず、笑顔を残しみんなの元に歩き出した類。
つくしは、手の中の形を知るのに戸惑いがあった。

『ハートなら嬉しい。
でも、そうだとしたら・・今は、しては居られないだろう。』

握った瞬間。それがハートではないのが解った。
可笑しなもので、それはそれで、言いようのない気持ちが湧き起こる。

そっと、自分の目で確かめた。

『星!』

それは、大小の3つの星が、まるで流れ星のように弓を描いているデザイン。あたかも、その星に願いを託した様な!

「花沢類・・・同じだと、想って良いのかな?」

小さな声で呟いた。
まだ言えない胸の中の想い。聞こえないハズの位置に居るその人が、そのすぐ後に振り向いた。

そして、唇だけを動かして、つくしに何か伝えてた。

「ん・・・何?」

ハッキリは解らなかった。でも、何となく

『願いを込めて。』

そう動いた気がした。

そして・・・つくしも想う。

「いつの日か、願いが叶います様に!」

その日まで

「この星にお祈りします。」と・・・・・

今日12月28日。

最高の【Happy Birthday】

  Fin 


2009年作品。

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