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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

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お正月 

2013-01-07 Mon 00:00

新規更新ではございません。修正版になります。ご了承くださいませ。


短編【お正月】

それは、正月明けの2日にバイト先である和菓子店千石屋にかかって来た電話が始まりだった。

「はい。千石屋です。」

女将さんは取引先へ出向いていて店には居ない。牧野つくし一人で店番の最中にかかって来た。

「牧野 俺。」

それは意外な相手からの電話だった。

「な・何?   お店に電話なんて!」

「だって、バイト中は携帯ダメだって言ってたじゃない。」

「そ・それはそうだけど・・・まさかお店に電話して来るとは思ってもみないもん。」

「今日は1人?」

「う・うん。優紀は休み。お正月は交代にしたんだ。

2日があたしで明日が優紀の日。でも、良く今日1人だって知ってるね?」

「元旦はどこに居たの?」

尋ねた問いの答えはなく、聞きたい質問をぶつけて来る。

「言ったじゃない。久し振りにパパの実家に30日から元旦まで行くって。」

「聞いてない。」

不満な顔が目に浮かぶトーンの声。

「言ったよ!

これでもバイトがあるからあたしだけ先に帰って来たんだよ。3人は明後日までゆっくりして来るんだから。

それより花沢類!これはお店の電話。また後でね!」

ツーツー・・・・・・・」

これ以上店番の最中に長電話をしてはいられない。それに不満な態度の相手に電話越しでの会話はスムーズにいく訳もない。キリを付けるしかないと思ったつくし。

「牧野?」

今年の団子屋の正月休みは1月1日の元旦を休みにした。そして2日から新春営業開始。去年までは1月3日まで正月休みだった。

でも、今年は既にお得意さんから初釜の菓子の注文があった。その影響で暮れの30日から元旦までが正月休みになった。

しかも、今年は更に3日にも別の茶会の初釜で使う練り切り菓子の注文が入っている。

千石屋は直接菓子職人のいる本店からの運び出しで、それがショーケースに陳列する。

その本店の規模は千石屋とは違い職人10人を抱える大きな店舗。初釜の取引は勿論幾つかあり、毎年元旦から営業している。ならば本店経由に切り替えれば済むかもしれないが、千石屋女将として今後の取引の兼ね合いから、大切な付き合いが始まる道を潰す訳にはいかない。そう考えて快く支店・千石屋として初売りを2日から出す事を選んだ。

女将自身、今年は飛躍の年にしたい。そう思っての仕事始めになった。
ただ、バイトの子には恐らくすまないと思ったに違いない。注文があるのを知ったつくしが女将さんに聞くまでは、それを切り出さずにいた。去年通りの休みにして、自分1人で営業する気でいたらしい。

それを『バイト代の正月増しはありますか?』つくしの勇気ある一言で女将さんが答えた。

『勿論あるわよ!正月以外の休日より上乗せするわよ。』活きの良い返事を返してくれた女将さん。

それならばと『あたし帰って来ます。バイトしちゃいます。』『だったら・・・私も。』優紀も笑顔で答える。

こうして、つくしが2日で3日が優紀の新年のバイト開始が決まった。

ただし、正月はさすがにバイト時間を短くしてくれた。初釜の予約時間10時を過ぎれば客足はそれ程でもないに違いない。通常夜の7時までを昼の1時閉店にしてくれた。団子屋周辺の店が軒並み休みだと言う事も閉店時間を早める理由になったかも知れない。

そして、つくしのバイトの1月2日。

初釜の予約品出しを無事に済ませた後、驚いた事に常連のお客さんが次から次へと買い物に姿を見せた。それは恐らく2日から営業すると云う年末からの貼り出しのせいだ。

新年早々は限定の粗品を和菓子購入のお客さんに『オリジナルの湯呑み』が配られる。若いつくしが見てもセンスの良い粗品で、それを目当てに毎年欠かさず買いに来る客がいる程。その甲斐あって、12時にはショーケースの練り切り・生菓子が殆ど売り切れた。

途中女将が初釜の取引先から戻ったが、電話が入り再び出掛けて行った。そして、つくし1人になったが何とか乗り切り、気が付けばあとわずかで1時と云う時間になっていた。

そして、客足が途絶えた途端の『電話』だった。

「見られてるみたいにグットタイミングだったよね?・・・まさか・・ね?」

独り言を言いながら、そのまさかを確かめる為と店仕舞いの為に店の外に出たつくし。

「花沢類!」

「もう終わりだね。初詣行こう。」

空いた口が塞がらない。長身の綺麗な顔が眼の前にある。ビー玉の瞳がいつもよりキラキラ光って見えた。

「いつから居るの?」

「ん~・・良く解らない。」

つくしは類の元に近付いた。ペーパーバックを持つ手に自分の手を重ねてみた。すると驚く程に冷たいその手。想わず両手で包んでいたつくし。無意識にそこへ息を拭き掛けた。

「こんなに冷たい。中に入って来れば良いのに」

「ううん。生き生きした牧野が、ここで見ていたかったから。」

「花沢類。」

「でも、もう終わりなら手伝うよ。この、ノボリて呼ぶ旗みたいの仕舞うんでしょ?」

「うん。ありがとう。良く覚えてたね?ノボリって!」

「うん。賢いからね。」

「もう!自分で言うかな?」

「言わなきゃ解ってもらえない!いつだったか、同じ台詞を牧野が言ってたよ。」

「ハイハイ!言いました。あたしが花沢類に言いました。」

「クスッ。こう言う会話良いね!」

「そう?でも・・・ホントにそうだね。何かほっこりする。」

「うん。」

「待たせちゃったし・・・後片付けのお礼しなくちゃね!」

「ん?」

「お正月だし。あたしからのお年玉みたいなもん!

でも、高い物はダメだよ。ん~出来れば・・・お茶位にしてよね?」

「うん。解った。」

それだけ言うと類は何も言わず片付けを始めた。すると、あっと言う間に片付けを終え、つくしの着替えも済んで外に出た2人。

「牧野!」

「ん?」

「お礼!今が良い。」

「今?ここでって事?」

「うん。」

「初詣に行ってお茶するとかじゃないの?」

「行くけど違う。」

「うん。良いけど・・・何が良いの?」

「フゥ~フゥ~・・・もう一度して欲しい。」

つくしは目を真ん丸にして、首と顔を前に出し・・・類に聞き返す。

「ハァ?フゥ~フゥ~?」

「そう!こうして。」

類がつくしの両手を包み、そこに息を吹き掛けて見せた。

「アッ!さっきのって事?」

見る見る間に首まで真っ赤に染まるつくし。

「あ・あれは・・トッサに出来た事だよ。やれって言われて出来るもんじゃないよ。」

「だめ?」

「ん~・・・」

「ダメならキスして良い?

俺からさせてもらうよ!待った代と片付けのお礼のキス!」

「な・なに言ってるのさ・・・代わりがキバツすぎるでしょ?」

「じゃあ・・・してよ!そうでないとホントにするよ?」

「わ・解ったよ。」

つくしは類の両手を包み息を吹き掛けた。

それと同時に類はつくしの髪にキスを落とす。つくしが慌てて放した手を類は引き寄せた。すると、つくしの身体は長身の類の胸の中にすっぽり収まった。小さく想える身体全部が、まるで心臓に想える程に拍動してる。

「待ってて良かった。またお礼貰える様にしようかな?」

「嬉しかったよ。とっても。ありがとう。花沢類。」

抱き締めた腕の中で久し振りの素直な言葉。

冷えた身体が温まるのと一緒に心がマスマス熱くなって行く。

「じゃあ行こうか?初詣。

牧野と行きたくて行かずにいたんだ。」

「うん!何お祈りする?」

「秘密。」

「ウッ!イジワル。ならあたしも言わない。」

「良いよ。言わなくても解るから。」

「ウソ?」

「ホント。牧野ウソ付けないから、顔に現れてるモノ。」

「エッ!じゃあ・・・効き目なくなる?」

「ううん。大丈夫さ。俺はいつも側にいるよ。」

「何で解ったの?」

「クスッ。やっぱり牧野は素直で可愛いいよね。」

「ん?
解んないよ。何で解ったのか教えて。ずるいよ花沢類。」

「顔に出てるって言ったろ!

さっ・・・行くよ。」

自分の顔に両手を当てるつくし。その額にキスをした類。

「これで消えた。他の奴には見せられないからね!」

「う・うそ?・・・ホ・ホントに消えたの?」

真に受けるつくしが可笑しいのと可愛いのとで・・・・・

いつもはポーカーフェイスの類なのに、珍しく笑い通しでつくしの手を握り締め歩き出した。

『これだから、一生側に居たくなるんだよ。放さないからね。花沢つくしになるまでは!』

「笑ってばっかり!

そんな花沢類は・・・らしくないよ!」

類とは対照的に珍しく不機嫌なつくし。

そんな日もあって良いもんだと膨れっ面のつくしを見てはツボに嵌ったままの類。

やがて類を見ているうちにつくしも釣られて笑いだす。

もう神社は直ぐそこ。

ずっとこれから、こうして2人が居られます様に・・・・・・

・・・・・・・カラン・カラン

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