FC2ブログ
好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

スポンサーサイト

-------- -- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨

君雪

2013-01-03 Thu 00:00

2011年1月の作品です。新作更新出来ない中でのピックアップで申し訳ありません。一部改正致しました。

短編【君雪】

ひらひら舞いおりる粉雪。

「3年後。
あたし、ここに来ます。

その時、御曹子の立場なら、もう大切な相手が隣に居るかも知れない。

だからその時、ここに来ても30分待って現れなかったら諦めるって決めた。」

最後の日、一方的に告げられた言葉が約束になった。

親友とその恋人。
男同士の関係を気遣い、自らその2人の元から離れることを決めた牧野つくし。

親友とその恋人の関係を友達である俺が引き裂いてしまった。

大切な親友の恋愛関係を・・・


それと云うのも
俺の想いの抑えが効かなかったが故だった。抑えていた想い。それをその時、俺は堪え切る事が出来なかった。
そう思う相手に俺がキスをしたせい。

なのに、その相手は自分を責めた。そうさせたのは「自分だ。」と・・・自分に原因があると思った。
そんな奴だ。
それが解るから、あの時・・・俺は言われた言葉をただじっと聞くしかなかった。


俺の親友は、学生の頃から仕事もしていた。世界的企業の後継者としてNYに拠点を置く生活は超多忙だった。
日本になかなか戻れない親友は、そこに居る恋人と思うようには会えなかった。

そんな親友をじっと待つその恋人。耐えて笑顔を見せても辛さも口にしないその彼女。その彼女を支えて行くうちに好きになってしまっていた。
最初は一緒に居るだけで良いと思っていた。

そんな付き合いの中で、一年後輩の彼女が大学を卒業した。そして就職したその恋人の牧野つくし。

事もあろうに俺の会社の自社ビル近くに本社を持つトラベル会社に就職先が決まった。

その内定が決まった時。

「どの支店に配属されるか解らないんだ。」

その言葉を聞いた俺は、一瞬会社近くのトラベル会社が頭に浮かんだ。でも、まさか本社はないだろうと打ち消した。
しかし願う。

「近くなら嬉しい。」と!

今まで祈った事などない天への願い。初めての祈りは聞き入れられた。

ビルを出れば眼に入る位置に笑顔が居る日常が始まった。本社の1階の店舗に席を置いた牧野。

就職直後に後悔するようになったその願い。眼の届く先に居る事で募る想い。

祈らなければ良かった。でも・・・嬉しい。と矛盾する思いが見え隠れする。


相手は親友の恋人。
言い聞かせるが、気が付くとビルの外に足が向く。視線もそこに行き着く。

終えない仕事で誘えないと思う日は、彼女の退社時間が気になって、事ある毎に窓越しから見下ろしている。

友達としてだろうが、牧野から電話で誘う言葉を言われれば、心は浮かれ足取り軽く会いに行く。

そんな日々の中、約束が叶った何度目かの友達デートの日。
転びかけた身体を支えて至近距離で目と目があった。思わず引き寄せた細い体。抵抗されても離せない。そう思った。
なのに違った。
ゆっくり眼を閉じ、小さな手がコートを掴んでた。思わず塞いだ可愛い唇。たった数秒のフレンチキス。

同時に眼を開けた先で、俺が捉えたのは大きな瞳から溢れる涙。

「ありがとう。」ひと言残し駆けて行った。

追い駆けてはイケない気がして、見えなくなるまで見送っていた。

俺達は恋人にはなれない。でも大事な友達以上の関係として保って来たこれまで。


その後、自分から電話も偶然を装い待つ事も出来ないままに1か月が過ぎた頃。

忙しい親友から誘いの電話が入る。
少しばかりの後ろめたさはあるけれど、拒む理由も見つからず、承諾して久し振りの再会をした。

「別れたんだ。俺達。」
「ウソだろ?」

「ウソなら良いな。でも、正真正銘の事実。」
「どうして?」

「好きな奴が出来たんだって。そう言われた。」
「そ・う。」

「驚かねえのか?」
お前も惚れていたんだろ?」

「エッ?」

「相手の名を言わねえんだ。」
「それでも別れる訳?」

「あいつは、他の女と違う。一度言ったら取り消さない。」
「いいの?」

「良いか嫌だで言えば、間違いなく嫌に決まってる。
思いきりそいつを殴りてえよ。ボコボコと言わないまでも、思っ切り1発。」
「それで気がすむ訳?」

「んな訳ねえだろ。まだ惚れてるんだ。」
「司!」

「類」
「ん?」

バシッ!

「ウッ・・・・・」
「あいつは名前を言わない。
類!恐らくその相手は、お前だよ。」

「つ・・か・・さ・・」

「許すも許さねえも、答える事なんか出来ねえ。俺が悪いと解っていても、寛容に何かなれねえ。俺は女々しいんだ。
お前から、言って来るかと思ったが。
フッ。言い難いよな。
その様子じゃ、あいつの気持ち、直接は聞いてねえんだろ?」
「・・・・・」

「俺は先に帰るぜ。
ここの金も俺が払う。類にだけは、金輪際借りなんか作りたくねえからな。
しなきゃ良かった。」
「エッ?」

「チビの頃、類のクマのぬいぐるみ。壊すんじゃなかったぜ。」
「司!」

「しばらくは会いたくねえ。連絡は、あきらか総二郎の二人を通してなら聞いてやる。
じゃあな。」

あの日、挟み合う関係の彼女に近い瞳がそこにあった。
親友も同じように見つめ合う瞳が潤んでいた気がした。

「俺のせい。・・・あのキスの?」

確かめたくて、店から出ると自然に足は目的地を目指してた。しかし、もう閉店時間を過ぎている。

「アッ。電気が点いてる。」

閉店から1時間。
直ぐ近くに居ながら、直接行かず電話を掛けた。すると、カーテンの隙間から見えた愛しい姿。

カウンターの向こうに座っているその人。俯くだけで腕の動きが見られない。

「出てくれないんだね。」

諦めて閉じた携帯。次の瞬間カウンターから姿が消えた。でも、そこから離れた様子はない。
だったら・・・ひとつ。
椅子ではなく・・・床に居る?

「苦しんでるんだ。」

姿が目に浮かぶようだった。
俺はメールを送ってみた。

   あの場所で、明日の夜7時。待っています。

送信!

送り終え、後ろ髪引かれつつその場を離れた。振り返り、振り返り・・そこから出て来てくれたらと願いながら。

でも、今度の願いは聞き入れてはもらえなかった。親友の嘆きが天に届いているのだろう。

  あの場所!

暗号のようなそこに、来てくれるだろうか?

翌日の夜6時。まだ1時間前。俺はもどかしくて既に佇んでいた。

いつしか天から舞い降りて来たその年初めての雪。

あと1時間。
「どれくらい降るんだろう?」
見上げて呟く。

漆黒の闇から真っ白な綿菓子が、次から次へと落ちて来る。見上げた顔に降りて来た雪は冷たさを沁み渡らせて行く。

俺は、瞼を閉じて少しの間、その雪に身を任せていた。

その時。ピタリと雪が感じなくなった。

開けた瞳の先に傘が飛び込む。

「エッ!」

持ち手を確かめ瞬きを繰り返し、錯覚ではないと凝視する。

すると傘を差す人が俺に言う。

「風邪引くよ。」

「来てくれたんだ。  ここ・・・解ったんだね。」

頷いて「傘を持って」と小首を傾げ差し出した。

「アッ!うん。」

「寒いと思っていたら降ったね。」

「うん。」

「キレイね。雪。」

「ああ。キレイだ。」

「積もると、それまであった物を覆い隠してくれる。溶けるまでの間だけど。」

雪よりあんたの方がキレイだと言いたかった。

「そうだね。 ここは寒いから、どこか店に入ろうか?」

「北海道に移動になった。」

突然言われた言葉に聞き間違いだと思った俺。

「エッ?」

「希望・・・受理されて。」

「どうして?」

「辛い・・から。」

「辛いから?」

「うん。」

ヤッパリ苦しんでた。

「司の事で?それとも・・・俺のせい?」

聞いたばかりの親友との別れ話。俺は上擦る声で聞いていた。

「聞いたんだね。」

「あ・う・うん。」

「気が付いちゃった。」

「なにを?」

問い詰めるように聞く俺に、絞り出すように言葉を言った。

「キモチ」

「それって・・司に好きな人がいるって・・・打ち明けた事?」

「うん。」

「その相手って・・・」

その先が聞きたかった。

「覚えてる?あたしが、ここで言った事。」

忘れる訳などない。

「じゃあ・・・俺の   せい?」

「誰のせいでもなくて、強いて言うなら・・・あたし。」

「違う!」

それから牧野つくしは語り始めた。

「まさか、配属先が目の前だなんて・・・神様は意地悪だって思った。

さびしい時、頼ってしまいそうで。
でも、きっと花沢類は忙しいだろうから、あいつと同じだろうって。

だから大丈夫だって!

でも・・・違ってた。

ヘコタレそうな時。疲れきった時。挫けそうな時も不思議と察したみたいに側に居てくれた。

あの日。ここで偶然だったとしても・・キスをされて・・・本心が行動と言葉で出て。」

「俺は!」

偶然じゃないって叫びたかった。

「お願い。言わないで。」

俺を遮った。

「なぜ?」

「3年後。
あたし、ここに来ます。

その時、御曹子の立場なら、もう大切な相手が隣に居るかも知れない。

だからその時、ここに来ても30分待って現れなかったら諦めるって決めた。」

「3年後?」

「うん。
花沢類は大事な跡取り。

いつだったか、道明寺が言ってた。仕事に就いて少なくても3年は覚える事もする事も山ほどあるって。
だから、あたしとなかなか会えないって。

それなのに、恋人でもないないあたしの寂しさを気使い大学の頃から一緒に居てくれた。
申し訳なかったって思う。」

「そんな事ない。」

大学の頃とは違い、自分が卒業し牧野が卒業してのこの1年半近く、自分でも褒めてやりたいくらい社会人になってから頑張った。でも、苦だなんて思った事はない。
それどころか、励みになり癒されていた。
ただ、指摘される事も頷ける。
きっと会社の周囲は物足りなかったかも知れない。休日は必ず取り、ソワソワして退社する事もあった。

「あたしは、ツアーコンダクターになる。そして色んな国に行く。」

目の前の愛しい人は毅然と言い放った。望みではなく「なる」「行く」と。
返す言葉が見つからない。俺がそれを阻止してはいけないと。

「雪が・・・キレイ!」

俯いていたその隙に、俺の差し掛ける傘から前に出ていた牧野。

降る雪の下で、両手を広げ天を見上げる姿に見惚れた。

目の前で、白いコートでクルリ回る姿は、まるで「雪の精」に想えた。

そして、ピタリ止まった後、俺に声を掛けた。

「アッ!ここで温かい紅茶が飲みたい。」

「解った。買って来る。あのオーニングの下で待ってて!」

「うん。」

駆け出す俺に声を掛けた。

「我がまま言ってごめん。」

「ううん。言われた俺は嬉しい。」

可愛い笑顔が眼に焼き付いた。


5分後、買って戻った時には消えていた。辺り周辺見渡し探した。でも居なかった。

電話を掛けようと携帯を開くと眼に止まった着信メール。

   それをポケットに入れて、冷えた体を温めて下さい。
   大好きでした。
   ありがとう。
   
      花沢類様  牧野つくし

直ぐに鳴らした携帯。でも・・・電源は切られていた。


あれから3年。

3年経って変わった事。

1年前に道明寺司に会った。あいつからの連絡で。
俺と牧野が付き合っていると想っていたらしい。そうでない事を驚いていた。

「なんで離した。」

俺は思った。可笑しな奴だと。「ダメだ」とあの日は言い。今度はそうでない事に腹を立てる。

「雪のせいさ。」
「ん?」

この日を境に降り積もっていた俺と司の雪は溶け、新たな芽を共に掴んだ。

その親友は、政略結婚をさせられ掛けた因縁の相手と1年前に結ばれた。他の親友2人も今では既婚者。

俺にも機会は何度かあった。それは、親から名のある令嬢の写真を幾度も出された。けれど1度も会う事なく過ぎた。

あの日のキス。あれが変えた1組の行方。
いや・・・2組の未来。

そして会う時に、あの日のように雪が舞い降りたなら、全てを真っ白にして春を迎えられそうな気がする。


今日が約束の日。

「3年後。
あたし、ここに来ます。

その時、御曹子の立場なら、もう大切な相手が隣に居るかも知れない。

だからその時、ここに来ても30分待って現れなかったら諦めるって決めた。」

それが、あの日の言葉。

その日がようやく来たのに、今夜の俺はなかなか約束の場所に行けずに居た。

俺の気持ちも環境も変わらなかった。イヤ変わらない絶対的自信があの時もあった。

でも・・・あいつは、来るだろうか?
それは、気持ちが変わると言うより、気を使い約束の場に現れるかどうかという事。

偶然耳にした牧野のその後。
あの日の言葉通りツアーコンダクターになり、海外支店に転勤したと知った。

「司の事を知ってるかどうか?それに帰って来れたかどうか?」

それが、俺を引き止めていた。
それに、雪が降ってもいない。牧野を動かしているとは想えなかった。

窓から思わず見上げる暗闇の空。

願いは届いていない。それでも時間は刻々と近付いて行く。

約束の7時にあと少し。
どうにか近くに来たけれど、少し手前でそこを見つめた。

「いつから俺は、こんなに臆病になった?」

姿ななかった時を想像して苦笑する。

そして、その時間を迎えたたけれど現れなかった。それでも立ち去り難く、更に30分の時が過ぎた。

「あと1時間。」呟いた。

すると白いものが視界に入る。

「雪だ!」

ひらひら舞い降りる雪。
諦めかけたその場所に自然に足が向く。

傘も無い中、あの日のように天を仰ぎ、瞼を閉じて顔に雪を受けてみた。
そして祈る。

「会えますように。」

すると遠くから微かに聞こえきた。

タッタッタッタッ・・・・・

駆けて来る足音。眼を開け、その足音を探す。

「牧野?」

「ハアハアハアハアっ・・・・・」

息を切らし向かって来る人にようやく視線が合う。

「来てくれたんだ。

相手は・・・いないの?

それに、もう・・・時間・・・過ぎてるのに・・・」

「時間・・・過ぎてた?気が付かなかった。」

ウソを吐いた。そして言う。

「ずっと前から俺の相手は1人だけ。あんたしかいない。」

「・・・・・」

「それに、俺は雪と話をしてた。」

すると、今度は聞き返された。

「雪は・・・何て言った?」

「来るって教えてくれた。」

俺が見つめて自信あり気に言うと

「少し・・・違ってる。」

笑みを見せて言った。

「ん?」

答えに首を傾げた俺に、後ろにしていた手を前に出し、俺の前に両手を差し出した。

「これ!」

その手にあったのは

「ん?   紅茶!」

「どうしても渡したかった。
あったかい紅茶。
でも、この辺の販売機は売り切れで。時間がないって解ってても、渡したかった。」

「探してたの?」
「うん。」

「もらって良い?」

手を伸ばし、取ろうとした俺を避けるように缶を引っこめた。

「ううん。もうあげられない。」

「どうして?」

一瞬 焦った。それに動揺した俺。それを知ってか知らずか、寂しげに言う。

「遠過ぎて・・・ここに来るまでに・・・」

「エッ?」

俺の不安とは別物なのか、2本の紅茶の缶をシミジミ見つめてた。

俺は側に近付き、そっと1つを手に取った。すると、その紅茶は温もりが仄かに解るくらいに冷えてしまっていた。どんなに探していたか解るくらいに。

思わず冷えた身体を引き寄せ抱き締め耳元にささやく。

「あったかいよ。缶も心もそれに身体も。」
「ごめんなさい。」

俺はもう少しで、掛け替えのない愛しい人を再び手放すところだった。
誰より知り尽くしているハズと自負していた相手の考え。

現れないハズはないのに、来ないと思った自分が恥ずかしかった。

冷えた身体を抱きしめ合えば、降る雪の冷たさも敵わない。

「君雪」

「ん?キミユキ・・・って?」

「これからは、初雪をそう呼ぶ気がする。」

「良い名だね。」

「ああ。」

前に天に祈って思いが通じたあの時のように。聞き入れられた願い。だからこれからは、そう呼ぼう。



3年の距離を置いた2人。ようやく約束の日を迎えた。何年経っても消えない思い。
隣は誰でも良い訳じゃない。

「東京に帰って来たよ。」

俺の耳元で今度は牧野がささやいた。

再びソワソワする日々が訪れる。
でも今度は、同じ屋根の下で、その姿を追う自分がもう目の前だ。

雪が溶け、その下から雪割り草が見られる頃には・・・・・

        FIN


作品作りの励みになりますので、是非「ポチっ」とお願い致します。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
 

別窓 | 君雪 | コメント:4 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<お正月  | STARLIGHT | 皆様へ>>
コメント

★ Re: 楽しんでます

こんばんは 寒いのは辛いけど、雪って大好きです!切ないけど、あたたかくて類とつくしには何時も幸せになってほしくって。 サイト運営は、本当に大変かと思いますが、こちらに遊びに来て癒やされています。ずっと続いてほしいです!応援しています。

2011-01-19 Wed 21:28 URL | ゆっぴー #5h.aGyeY[ 内容変更]

★ ありがとうございます

昨日に続いて今日もお邪魔させてもらっています。パス頂けて、本当に感謝です。類くんに「雪」って、すごくピッタリはまりますね。素敵なお話、ありがとうございます。

2011-01-23 Sun 00:37 URL | hina #-[ 内容変更]

★ Re: Re: 楽しんでます

ゆっぴー様
類も冬が好きでしたよね。雪ってロマンがある感じですね。

2011-02-06 Sun 23:57 URL | ルナミミ #-[ 内容変更]

★ Re: ありがとうございます

hina 様
はい。雪と類君会いますネ。

2011-02-07 Mon 00:05 URL | ルナミミ #-[ 内容変更]
∧top | under∨
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
∧top | under∨
| STARLIGHT |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。