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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

鎮魂歌 第4章 生と死の狭間

4【生と死の狭間】

夜になって、病院に友人達と牧野つくしの両親・弟も到着した。
身震いがする位、つくしの病状を親も弟も気にした。

居合わせる仲間達がつくしを見守った。

容体は医師が類に言った通り、見た目からも厳しいと想わせる状態だった。
刺された傷の他、転倒で打ち付けた頭部への影響もみられ、手術はまずは損傷した傷に対して施行された。

頭部も検査で必要で有れば施行の用意は整っていたようだが、外科的には見合わせ無ければならない状況下にあり、一先ず内科的治療で経過を追う事になった。
輸血はしたものの血圧が安定せず、ICUの治療下で大分時間が経過しているが意識は未だ戻らない。

人工呼吸器の音が胸を衝く様に病室に響き渡る。
類は相変わらず側から離れられずに、傍らの椅子に佇んでいた。

一旦は両親達もその場についたが母・千恵子が堪え切れず、3人はガラスの向こう側にしばし姿を移動させた。

何しろ、そこに行くや否や千恵子は泣き崩れた。支える晴男も泣きながら妻の背中をさすった。進は外廊下の壁に視線を向け、見られまいと涙を隠している。その姿に再び涙を誘われる友人達。

深夜になりようやく落ち着いて来たつくしの母・千恵子。それをみて、父・晴男が友人達に気持ちを語った。

「今日は娘のつくしが大変お世話に成りました。
今、娘は向こう側で必死に戦っております。
しかし、皆さんが、そのつくしの事で体調を崩す様な事が有っては困ります。
どうぞ、お体を休めて下さい。
そして、また見舞ってやってください。」

一杯一杯の気持ちの中で、絞り出すように伝えた言葉。

あきらがそれに答えた。
「はい。
心配で堪りませんが、お気持ちを汲み取り、一先ずお言葉通りに致します。
明日、また伺います。
類は、誰が何と言おうと離れない気がしますので声を掛けずに行きます。
気が付いたら、何時でも連絡を下さい。直ぐに駆けつけます。
それじゃあ。」

みんなの分も想いを伝え、その場を去って行った。

やがて、家族と類だけになる。そこに、つくしの恋人・司がいない事が不可解だった。
だからだろう!周囲には、その場に居合わせる花沢類がその存在に想われる。

親には全てがキツネに抓まれた様な事ばかり。
怪我で瀕死の重傷を背負った事や、あの財閥に関わる者が一人として居無かった事。

つくしの容体が落ち着き次第に聴く事にして、今は生への執着に期待し娘の側で祈り続けた。
4人になって、揃って側に付き添い朝を迎えた。

そして、尚も一進一退は続く。意識も血圧も安定しない。

疲労困憊の筈の類なのに、ギラギラした眼光をさせ僅かな飲み物を口にするだけでじっと側に居た。

面会時間が訪れると、徐々にあきらを筆頭に友人達が姿を見せ始めた。
そして、誰もが類を見て息を飲む。
借りの話しでも避けたい事では有るが、万が一「牧野つくし」の身が不運な結果に終わる様な事があれば、類も間違い無く後を追うだろう。
それが頭を過らせた。

「幾らなんでも、少し休ませなけりゃ類がどうにかなるぜ!」
総二郎が案じて声を荒げる。

「そうだな、お父さんやお母さん・進君も休ませよう!俺が話して来る。」
そう言い切り、中に入ろうとした時だった。

「牧野・・・牧野・・・!」
「つくし・・・・・解るか?つくし・・・」
それまでピクリともしなかった手が動き、眉間に皺を寄せる表情を見せたらしい。
類が、その変化に直ぐに気付き医師も看護師も駆け付けた。
処置をするからと4人は部屋から出され、ガラス越しに縋る想いで中を見つめた。

30~40分その状態は続き、不安にかられ始めた頃、医師が手を止めこちらに向きを変え微笑んだ。

その場に居た全員が喜びに震えた瞬間だった。

「牧野・・・・・良かった・・・・」

それだけ言うと、類がその場に崩れ込んだ。

類は病室で点滴を打たれ眠りにつく。
安堵に合わせて、疲労が限界に近かった。

つくしの家族も休む様にあきらが勧めた。近くのホテルに連れて行き部屋をチャージした。
病室ではつくしが人工呼吸器を外された。音が消えただけで病状が快方に向かう気がして来る。

類と家族が休む間、それまで遠目でしか触れられずにいた友人達が側についた。
輸血をし、少し赤みが差した頬の色。

それでも、触れる手も顔も生をまだシッカリ手にしてはいるとは想えず、友人達の胸を締め付ける。
その時、もう一人心底心配する仲間が加わった。

「司!!遅えじゃねえか?」
「うるせえ。そこどけ、どいてくれ!」

ようやく恋人の元に辿り着けた司。
力無く椅子に座り、つくしの顔を覗き込むと顔に手を触れ乱れた髪を指で整えた。

「ごめんよ!そして、ありがとな。
お袋は牧野のお陰で軽い怪我で済んだ。転倒で一時的に気を失ったが、幸い頭は打って無かったよ!
だけど・・・その分・・・お前が・・・」

初めて見せる若き獅子の嘆き。拭う事もせずに流す涙。
あきらも総二郎も、側にいても声すら掛けられなかった。

そして、2人にしてやろうと5人は部屋を出た。
ガラス越しから見る事もはばかられて、少しの間1階ロビーの待合室に全員が座り込んだ。
休日のお陰で誰も居ないロビーは薄ぼんやりと静まり返っている。

その時・・・

「あれっ・・・これって?」
滋が椅子の上の忘れ物に反応した。

「何?どうした滋?」
あきらが聞き返す。

「これ、司のハンカチじゃない?」
オーダーメードの名入りのハンカチ。間違い無く司の物だった。
そして、その椅子の下には、ブラックコーヒーの缶が数本並んでいた。

「バカ野郎!ここに一人で居たのか?
でも、司を追い掛けた滋は、あれからどうしたんだ?」
あきらが尋ねる。

「外までついて行ったら、一喝されて諦めた。だから、その後の事は知らない!」
「そうか・・・」
「どうりで服が同じだった訳だ!」
「えっ?そうだったのか?」
「ああ、司にしちゃあ珍しいが、お袋さんも入院してるかも知れないから、気にしなかった。
まさか、ここに居たとは想いもしなかったから!」

5人は複雑な想いに駆られていた。今まで以上に「あの3人」のこれからが心配になった。
優紀がポツリ呟いた。
「どうなるんだろう?」と

その頃司は
「牧野、お前の気持ちはどこに有る?俺じゃないのか・・・」
「・・・・る・・・・」

つくしがたった一言発した言葉。
この状態に陥って初めて微かでも口にしたのが聴きたくない名前に繋がる事で、張り詰めた糸がこの時音を立てて司の中で切れた。

「俺は放さない。離れたりしない。
覚悟しとけよ!牧野。
俺の気持ちをここまで追い詰めたのは、お前と類だって事。
こんな状態のお前に言っても仕方ないだろうが、聴こえたなら覚えておけよ!
迎えに来るから。
類には渡さないからな・・・・・」

司は立ち上がり、震える拳に更に力を込めてつくしを見据え部屋を出た。

この日を境に、病状は快方に向かって行った。
ただし、つくしの体と未来に爪痕を幾つも残して・・・・・

 鎮魂歌 

鎮魂歌


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