STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

鎮魂歌 第2章 事件

【事件】

花沢類を久し振りに間近に見て、つくしの心が騒ぐ。
揺れる想いは、相手が未来の伴侶でない事が問題。

やっぱり、これで良い訳がない。

ましてや、婚約者の道明寺にだって良い筈がない。
『言うしかない!』

「明日、ハッキリ言おう。」


漸く心の迷いに踏ん切りが付く。その夜、つくしは一睡も眠れずに朝を迎えた。

翌朝突然迎えは訪れた。
「牧野様、お迎えに参りました。」
眠れなかったせいで、早朝に既に軽い食事を済ませ、身支度を整え終えていた。

「エッ!聞いていませんが?」

パーティーは夕刻。確かつくしを迎えに来るのは昼過ぎの3時頃と聞いていた。
「司様のご命令で参りましたが、いかが致しましょうか?」

困り果てる迎えの者の様子が気の毒に成り
「解りました。
幸い支度も出来ていますし、問題は有りません。行きましょう」
「左様でございますか。ありがとうございます。では。」
「はい。」

つくしは司の気持ちの成り行き上での事と察した。
それは、恐らく昨日の花沢類が尋ねた事情を知ったのだろう!そう考えれば、有り得ない事では無い。

到着したのは高級サロン。
予定には無かったフルコースのエステを施され、全身を磨き抜かれる。
この日のドレスは、婚約披露で着る為に用意したドレス。
その日のドレスは、改めて作らせると会った早々意気込んだ口調で言われた。

この日のつくしは
髪をふわりとアップに結い上げキラキラと髪に付けたラメが煌めき、ドレスは司の望みからパールホワイトのオフショルダーのカクテルドレス。胸元には真珠と刺繍で薔薇の柄が施されている。
つくし自身も、ドレスに負ける事の無い美しさが眼を見張る。ライトを浴びれば間違いなく主役の光を放つ姿に輝いていた。

その姿にサロンのメンバーが歓声を上げる。
そして、何より驚き見惚れたのは・・・サロンに後から訪れ、仕上がりを待っていた道明寺司。
ソファーから無意識の様に立ち上がると、唖然としまま一言呟く

「本当に綺麗だ!」

滅多に褒める事をしない道明寺司が、何の迷いも無く口にした言葉。一歩づつ、つくしに近づく

「あの、道明寺・・・」
「待て!何も言うな。見つめさせてくれ。」

漸く自分の婚約者にして誰にも渡さずに済む。そして、今宵の2人の行く道も伝えてある。
今の司には、つくしの言葉は耳に届いてはいない。

つくしの眼の前に着くや否や、顎を上に向けさせると触れるだけの優しいキスをした。

「気持ちの成すままでなら、このまま滅茶苦茶にしたい位に抱きたいけど、後の事があるから我慢する。
後は今夜だ。
覚悟しとけよ!眠らせないから。」

つくしは途方に暮れる。言えない自分とギラギラした司の眼。
「どうしよう?」

つくしの手を握り待機させていたロールスロイスに乗り込んだ。
時刻は予定時間の30分前。
道明寺傘下の高級ホテルでのパーティー。招待客は今回は50名ほどの極僅かな親しい仲間のみ。

この日の道明寺の衣装もパールホワイトのタキシード。
傍目から見れば、ウエディングに見紛う2人の支度。
それも全て司の思惑。

つくしは自分の妻になるとだと解らせる為のパールホワイトのカラーを敢えて選んだ。
示す相手は
恐らく・・・・・『花沢類』

今、控室にはつくし一人。司は招待客に顔を見せると言って席を外した。
今夜は、両家の親抜きのパーティー。
お偉い方も居ないと確か言っていた・・・なのに?

高校・大学の友人が殆どと思っていたが、行ったきり返って来ない。

こんな時、本来なら早く戻って欲しいと望むに違いないのだろうが、今のつくしはホッとしてしまう。
むしろ来て何をされるのか動揺する気持ちで、ひとり時間を持て余していた。

コンコン。
「どうぞ。」
「つくし~!!」
優紀・滋・桜子の3人が顔を出した。
「「「綺麗~!!」」」
「あ・ありがとう」
「スゴク素敵。その色だと、もう花嫁って気がしちゃう!」
「うん。」
「ホントだね。もしかしたら司の策略?
どう?つくし・・・司が決めたんじゃないの?」
「うん。
どうしてもこの色でって聞かなかったけど。」
「流石滋さん!良く解る。」
「エッ!
だとしたら、少し怖いですね。
愛が深くて、何が何でも逃さないぞって感じがしちゃう。」
「桜子!変な事言うとつくしが心配するじゃない!」
「は~い。済みません。」
「つくし・・・大丈夫?」
「うん。大丈夫。
ありがとう優紀。」

4人で話しをしていると
コンコン
「はい」
「失礼いたします。間も無く始まりますので、ご招待のお客様は、会場にお運び下さいます様に。」
「「「はい」」」
「つくし!向こうでね!」
「うん」
3人はドアの向こうに消えて行った。

再び一人に成ったその時
「牧野、行くぜ!」
司が漸く姿を見せた。つくしの元に行くと手を取り歩き出す。

会場のドアの外で二人並び、開け放されたドアから共に歩きだす。
歓声が沸き起こりやがて拍手へと変わって行った。

2人がステージに立ちつくしは客席に視線を移す。
するとその中には、昨日「来る」と約束した花沢類も居た。
容姿端麗のその姿が、見た事の無い位に冷たい表情に見える・・・今日の花沢類。
『花沢類』

「どうした?気分でも悪いのか?」
それを見て、様子がおかしくなったつくしに司が声を掛ける隣りの司。

「アッ・・・ごめんなさい。大丈夫です。」
「そうか!何か有ったら言えよ。」
「う・うん」

祝辞は無く無礼講で行こうと云う「主催者・道明寺司の意向」で司の簡単なスピーチの後にカンパイの掛け声。口々に
「カンパイ」とグラスを掲げながら口にした。

2人がステージから折りきったその時
その少し前・・・司とつくしが現れたドアが再び開いた。

そこから、予想外の人物の登場に一同が一斉に視線を向ける。

「ようこそ!皆様。
今日は我が息子のパーティーにご列席頂きまして、心よりお礼を申し上げますわ!」

道明寺楓の思い掛けない登場に、誰もが驚きを隠せないでいると
「ババア・・・今日は来るなって言ったろうが!」

機嫌の良かった司の表情が一変し、側に居るつくしも固唾を飲む心境に陥る。

「お祝いの席よ!その言い方はお止しなさい!」
司を一括し、蔑む様な視線でつくしを斜めに見るが、声は掛け様とはしない。

つくしは、楓に一礼し隣に俯きがちに身を置いた。
ここで場を離れれば、招待客が気分を害すだろう!
取り敢えずは折角のパーティー。ここで嫌な気分にはさせない様にと想うつくしの配慮だった。

楓のやり放題は登場だけではなくスピーチをする事。
その為、直ぐ後方のステージのステップに上がり始めた。

その時つくしは、近くで声を聞いた。
「地獄に行きな!」

司に知らせ様としたが、憤慨した為に少し先に後ろ向きになっている。SPは両サイドに居るが気付いてはいない様子。
それよりも、既に誰かに言おうが声を出そうが間に合いそうに無い状況に思え、つくしを突き動かす。
恐らくつくしの直ぐ後ろのシャンパンを運んでいた会場のバンケットに成りすました男性に違いない。それしか考えようが無い。

楓があと1・2段で上りきるその時、つくしは振り向くより楓を庇う様に我が身もステップに脚を掛けた。
つくしの想像通り、バンケットがグラスを載せたトレーをSPに当て、隠し持っていたナイフで斬り付けた。それは狙う相手ではなく助けに入ったつくしを貫く。

庇った楓も体制を崩し床に転落した。
つくしは、楓が転落する際にその身体で突かれる形になり、同時に床に弾かれ倒れ込む。

SPに犯人は直ぐ取り押さえられ、負傷した者の側を招待客が取り囲む。
楓の落ちた場所に司が居合わせた。
つくしを心配し人垣の合間から微かに見えた。
類が、つくしの側に居る姿。

つくしの方に行こうとしたが、司は「母親の側にいなさい」と招待客の中でも力のある人物にたしなめられた。
想う様に行動出来ず、やがて救急隊がストレッチャーで会場に現れた。

「こっちに!早く」
その年配の声に従い楓を乗せ様としている。

「その人より・・・こっちでしょう?」
類が怒りを露にし声を掛けたが

「意識が無いんだ!
こちらの方が体力も劣る事を考えれば先に決まっとる!
ホラ・・ぐずぐずしないで、良いから運べ!」

「は・はい」

言われるままに搬送されて行ったのは道明寺楓。
司もその年配者に背中を押されるままに、つくしを置き去りに出て行った。

招待客は殆どが道明寺サイド。
その為、残されたのは友人のみ。類の他に6人だけ。
高校・大学の上辺だけの知り合いは係わり合うのを恐れ姿を消した。

「あきら!このままだとつくしは・・・間に合わなくなるかも知れない!
家の出資してる病院知ってるよね?」
「ああ」
「連絡して!
来る筈の救急車だって音さえしやしない!
俺が車で運ぶ・・・急いで!」
「なら・・・俺が車直ぐ出すからエントランスに来い!」
「ありがとう。総二郎!」
「だったら、つくしのパパとママには私が連絡します」
「優紀が連絡なら私は類君と一緒に行くね!」
「私はホテルに事情を話して置きます。警察が来ると思いますから!」

それぞれが、必死の想いで役割に着く。
類が抱きしめる腕の中のつくしは楓同様に意識は無い。
しかも、パールホワイトのドレスは後ろ側を真紅に染めている。
動かす事が言いも悪いも無い!
このままだと出血で手遅れになるのが眼に見えて、愛する者をそのままになど出来るはずは無い。

「牧野・・・・・俺が付いてる!絶対逝かせやしない!」

類のダークブルーのスーツも、真紅に成りながら・・・・・


 鎮魂歌 

鎮魂歌


作品作りの励みになりますので、是非「ポチっ」とお願い致します。
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
 
関連記事
別窓 | 【完】 鎮魂歌   | コメント:0 | トラックバック:0
∧top | under∨
<<未来  No.2 | STARLIGHT | 流星 前編 夏祭り>>

この記事のコメント

∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| STARLIGHT |