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ロード 27歩 義母

2010-10-08 Fri 00:00

【義母】

つくしは真正面から類の母と向き合い座っている。
面影は似ていても、自分へ向けられる不信感とも取れる感情は剥き出しに想えた。
なぜなら、紹介もしない間柄にも関わらず、我が子の子供を産んだ身勝手極まりない女に想われているだろうと、つくしが想うからだった。何しろ今の今まで、声さえ聞いた事が無かったのだから。

「あなたが牧野つくしさん?」
「はい。そうです。」
「今日は何の御用件かしら?」
「類さんに会わせて頂きたくて伺いました。」
「見ての通りの状態よ。会わせてと言われても、意識は完全には戻ってはいないわ。時折、顔をしかめたり・手を動かすけれど、ただ眠っている様な状態が続いているのよ。
あなたに、幾ら頼まれようと、どうにもならないわ。」
苛々しがちに答えられたが、不思議に怒りも悲しさも湧いては来なかった。むしろ母としての辛さが伝わり切なくて仕方ない。
「はい。ご心痛お察しいたします。愛する我が子が眼も開けない状況の中で、どれ程切ない物か子を産んだ今なら漸く少しではありますが、この身に届きます。
あたしも、小さく産んでしまい、今も病棟で小さな体で生と向き合っていますから。
そこへ、あたしの様な得体の知れない女が尋ねて来て本当にすみません。
でも、これだけはご理解下さい。
あたしは、類さんを心から愛して、宿った命を例え1人でも産んで育てる決心で決めたと言う事を。見返りとかの打算があっての事ではないとご理解下さい。
この先、類さんに相応しい方が現れれば、姿を見せないで生きて行く位の決意は持っています。」
「牧野さん?」
「会えずに不安で仕方なかったのがこうして近くにいる事が解り、しかも無事だと伺い矢も楯もいらずに伺いました。姿を少しでも見られて嬉しいです。そこで今日は、ひとつだけお願いがあります。」
「お願い?」
「はい。先程、子供の担当医からあと2日で退院が出来ると伺って来ました。その日、ここにその子を連れて来ても宜しいでしょうか?
ひと目だけでも、会って貰いたいんです。例え意識が今と同じであっても。」
「会ったからと言って、何も変わらないかも知れないのに?」
「はい。何も望んでいる訳では有りません!」
「私と主人は、あなたとそしてあなたの子を、許してはいませんし、認めてもいません。
ここへ入る許可をしたのは、類の親しい友人があなたに肩入れをして『どうしても会わせてあげて欲しい。』と言うから、已むを得ず許したまでの事です。勘違いしないように。」
「はい。勘違いしないように肝に銘じておきます。
ですから、あたしの子として、1度だけ許可を下さい。お願いします。」
「解りました。良いでしょう。1度だけ許します。」
「ありがとうございます。では、2日後伺います。
あの・・・・・その前に、今、少しだけ類さんの側に行っても良いでしょうか?」

「それは・・・・・」
「コンコン」
「どうぞ!」
丁度尋ねた時だった。回診とかでは無いのだろう?お付きを従えての訪問では無く、学長が眼の前に1人で現れた。
「どうかね?
アッ、先客がいらしたとは失礼を致しました。お嬢さん申し訳ありません。
おや、君はうちの医師ではないかね?」
「はい。お見知り置き頂き光栄です。この春から、研修させて頂いています。牧野つくしです。
花沢先輩とは、同じ高校で親しくさせて頂いていましたので、こちらに入院されたと伺い、初めてお邪魔したところです。丁度帰るところでした。お邪魔してすみません。
先輩のお母様、失礼致します。」
その場を繕い、懸命に堪えて部屋を後にした。拳を握りしめながら。
それは、怒りとかではない。近くへ行けなかった切ない想いの表れ。
ドアから離れ、暫し廊下の壁に凭れて天井を見つめた。でも、言い聞かせる。
『母は強しなんだからね!』
そう呟き歩き出した途端。
類の病室から、年配の方の女性が出て来るなり、周囲を探していた。
つくしが振り返ると、眼が合った。
『何・・・あたしに用?』
そう想った時・・・・・・・
「いらした!・・・・・・・・牧野様、お待ちください!」
「なにか?・・・・・・」
「はい。ここでは言い難いのでこちらへ。」
促されるまま、後を付いて行った。着いた先は屋上。
「何か、用ですか?」
「はい。お聞かせしておくべきだと思いまして。差しでがましいとは存じ上げながら、シャシャリ出ることに致しました。」
「エッ?」
「ベンチに掛けませんか?」
「は・はい。ここにいて良いんですか?」
「学長様とお話しをされてお出でですので、問題ございません。」
「そうですか。・・・それで、何ですか?」

「お聞かせしておこうと思いまして。」
「聞かせる?何をですか?」
「本当の奥様のお気持ちをです。」
「本当の気持ち?」
「はい。奥様は、偽っておいでです。」
「何をでしょう?」
「それではお話し致します。最後まで、まずはお聞きください。」
「はい。」

「今回の類様の件は、前々から策略する者の企みで、なるべくしてなった気がしております。
大きな声では申せませんが、横領を隠ぺいする目的があったようです。
類様は、お出掛けになるのを大そう気乗りがしないと、私にも申しました。でも、お父上様のご命令で行かれました。
類様の事故後お友達により、色々な情報を集めた物を警察にお渡しになりました。
数日前にそれに関係する幹部が、警察に事情説明を求められ連れて行かれ、横領も発覚し未だに戻って来れないようです。他の仲間も僅かではございますが、数名取り調べ中と聞いています。
類様を蔑ろの結婚式は、この状況も加わり無論帳消しになりました。
一番悔やまれたのは奥様です。可哀相な事をしたと。
『類の愛する人に会いたかった。許してあげてもやりたかった。』と。お察し頂けますか?」
「いいえ。そう想うなら・・・なぜそう素直に接してくれないのか悲しいです。」
「それは想いの他、類様のご容態がお悪い為に、心を鬼にしていらっしゃるからです。
牧野様がお見えになって下さった事、どれ程嬉しいか。でも・・・・・」
「エッ?・・・・・・・そうは想えませんでしたが。」
「はい。まだ類様が、快方に向かない今。牧野様を想い、敢えてぞんざいにしておいでです。」
「なぜでしょうか?」
「牧野様に無理をさせないように!気を使わせないように!もしもの時、花沢に関わりを持たせない為にです。」
「それでは・・・・・・・お母様は、あたしを心の中では、認めようとして下さっているんですか?」
「そうです。お子様にどれ程会いたくて仕方ないか。お側で辛くなる想いです。」
「どうして・・・・・気を使わずに言ってはくれないんでしょう?幾ら・・・・・・あたしを想っての事だとは言いながら・・・・・・大切な人のお母様と抱き合い、分かち合いたいのに・・・・・・・・」
堪えていた想いが堰を切り、次から次へと涙が溢れた。    

屋上の開放的な場所で話している筈が、箱の様な息さえ出来難い中に閉じ込められてしまった様な苦しさを覚えたつくしだった・・・・・


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