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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

ロード 25歩 出産

【25歩 出産】

牧野つくしの出産を聞いてはいても、直ぐに掛け付けられずにいた祥一郎。
遅れながら、弟・総二郎から聞かされた病室に向かおうとしていた。しかし、その前に『つくしの子供!』に会ってから行く事を決めた。医師の特権を使い、NICUに院内関係者側から入室した。
「今日出産した『牧野ベビー』は、どの子ですか?」
「はい。このベビーです。!」
保育器にオムツひとつで寝ている可愛いベビー。産まれたてはどの子も皺が多く、まるで子猿に似ていると表現される事が多いが、眼の前のそのベビーも同じではあったが、それでも目鼻立ちが『類だ!』そう想わせ、可愛いと悔しいながら心で呟く。
「このベビー、とっても可愛いいお顔してますネ!きっと、美人さんに成りますネ。それに、とっても元気です。この中で良く手足を動かしてますよ。」
看護師が隣で笑顔を注ぐ様にその子を見つめ話している。
「何か問題は有りましたか?」
「いいえ、今の所ありません。少し小さかっただけの様です。担当医にお会いになりますか?」
「はい。でも、今では無く改めて伺います。元気そうな様子が見られて良かった。ありがとうございました。」
安心して会いに行けると、ホッと胸を撫で下ろしつくしの病室に向かった。

つくしの病室は、大部屋の予定だったのを『元・恋人』の鶴の一声で特別室に切り替えられた。
「コンコン」
何の返事も無いまま部屋に入って見ると、その人は眠りに着いていた。
「何だ、寝てるのか?」
さっき会ったばかりのベビーの顔が重なる。
『親子だな!類そっくりだと思ったが、目の前の愛しい人にも良く似ていた。』
諦めたつもりでいたが、やはり想いは残っていた。あのベビーの『父親』になる事も苦では無い程に。でも、音沙汰が無かった花沢類の消息が解り、今同じ病院に身体を癒す為に存在している事を知り悲しませずに済んだ嬉しさと、やはり手の届かない人だと言う寂しさで複雑な想いではあった。
『ごめん。これ位は許して!』
眠るつくしの唇に祥一郎は唇を重ねた。
離しながら瞳が潤む想いで、慌てて窓の近くへ歩き出す。空を見上げ、夕暮れから夜に変わったばかりの景色を見つめていた。
「せんぱい?」
「ん?・・・アッ!起きた?」
「来てくれたんですか!ありがとうございます。」
「ううん。直ぐに来れなくて済まなかったね!でも、ベビーに会って来たよ。小さめだけど、元気で可愛い顔のベビーだった。問題も無いらしい。後で、担当医にも挨拶しておくからね!」
「色々ありがとうございます。」
「良いんだよ!今はゆっくり身体を休めて、ベビーが帰ったら育児が待ってるんだから!」
「はい。」
「類・・・・・良かったね!・・・・・会えたの?」
「いいえ。・・・会う直前に破水と痛みで動けなくなりましたから!突然激痛が起こって、先輩の弟さんにはご迷惑を掛けてしまいました。」
「迷惑だとは想っていないと思うよ!寧ろ大事な時期にショックを与えたと電話では気にしていた位だから。」
「いいえ、それは全くないです。衝撃ではあっても、嬉しいのが含んだ事ですから!」
「一日も早く、意識が完全に戻ると良いね?」
「はい。」



翌日つくしは、我が子と初対面を果たした。保育器にいながら元気良く手足を動かし、可愛い声で泣いている。
小さい筈のベビー専用のオムツが、それよりはるかにぶかぶかで可愛いのと、いたいけな想いとで胸が熱くなる。
別室で搾乳気を借り初乳を絞り出すと、黄色見の母乳が哺乳瓶に流れて行く。痛みは嬉しい喜びとして心を震わせた。
両乳から搾乳した母乳を看護師に渡す。
「お預かりします。お母さんの大切なお乳をベビーに飲んで貰いますネ!」
「宜しくお願いします。」
「ご存じでしょうか?このノート宜しかったらご利用下さい。私達とママの連絡ノートです。心配な事をお書き下さい。ここでの様子をご連絡します。でも、産後は疲れやすいので、ご無理はしない様に!」
「はい。色々ありがとうございます。子供を宜しくお願いします。」
「はい。」

我が子との対面を果たし、次は愛する人に会いたい!
でも・・・・・この姿では、その部屋には入れない・・・・・途中まで行くモノの、引き返した。


その後つくしは、順調に回復し退院が決まった。その間、色々な顔が病室を訪れ、つくしを祝福・激励して行った。
それでも、鶴の一声をした人物はつくしを想い、自分が顔を出せば職場でも有るその場にいずらくなるのではと判断し、その後姿を見せる事は無かった。総二郎・あきらも、類を見舞う傍らで、周囲を気にしながら1・2度面会に訪れるにとどまった。
そして退院の日。我が子と恋人を残し、その場を去る心残りを感じながら迎えの両親と共に我が家に戻った。車はあきらが用意してくれていた。部屋に向かう道が違う事に気付き、両親に声を掛ける。

「つくしには今日まで言わないでおこうってパパと相談してたの、行けば解るわよ!」
「どう言う事?ママ?・・・・パパ?」

着いた先に声を出せないつくし。
迎えの車から荷物を受け取り、心配顔の運転手に母は礼を言い大丈夫だからと言葉を掛けた。それならと、走り去る車を見送る両親。
すると、眼の前には・・・・・
「どうして?」
つくしの今迄とは雲泥の差の豪華マンション。そのエントランスを見上げ声を掛ける。
「誰の仕業?」
声を荒げ、事情を親に問い詰めるつくし。
何故なら、自分の気持ちも聞かずに思い入れの有る部屋を削除扱いされ、傲慢な行為に思える現実に立たされている自分が情けなく想えた。

「牧野!」
声に振り返ると、そこには道明寺が寂しそうに立ち尽くしていた。
豪華なマンションを前に、一歩も引こうとしないつくし。様子を伺う両親。
切なそうに思える司の悲喜交々な様子。幸い人通りは無くて済んではいるモノの・・・・・

「あたしをアパートに戻して!」
「牧野・・・・・俺はただ・・・・・」
「施しは入らないの!あたしはそれを喜ぶ女じゃないって知ってる筈じゃ無かったの?」
「知ってるさ!でもな・・・・・・」
「でも何?あんな、おんぼろアパートじゃ子育ては出来ないって言うの?」
「牧野、まずは人の話を・・・・・・」
「聞きたくない!あそこは、想い出が詰まってるの!今ここにいるあたしが、人生を転換させたスタートライン。そして、音信不通の類を待って必死でお腹の子と暮らした場所。それを・・・・・あんたに壊されたくないの!」
泣きながら抵抗する我が子の元に歩み寄り、間髪入れずに平手打ちが飛んだ。
「いい加減にしなさい!!」
「ママ?」
「つくしは間違ってる!あんた親になったんでしょ?
人の気持ちを思いやる事も出来ないなら医者も親も辞めなさい!!」
「・・・・・」
「ママは言ったでしょ!1人で子育ては出来ないって!
幾ら昔、事情が有る人だからと言って訳も聞かず取り乱してどうするの?
ママだって、ぼんやりここに来た訳じゃないのよ!理由が有るから、好意に甘えた。
道明寺さんは事前に話そうと言って下さった。でも、前もって言えばつくしが来ないとも限らないとパパとママとで判断して、言わずに来たの。まさかここまでの状況になるとは想わなかったから。」
「理由って・・・何?」
「掃除にママがアパートに行くと、管理をしてる人に聞かたのよ。『娘さんは、出産後は越されるんですよね!』って。」
「どうして?一度も言われた事は無いよ?」
「アパートの人が連絡したみたい。あそこはワンルーム。学生が殆ど。しかも既婚者はいない。それで解るでしょ!赤ん坊が帰れば、泣くじゃない?それを危惧したのよ。」
「でも・・・なんで・・・それだからって・・・道明寺が?」
「今回の類さんの事で動いてくれてる人に、教えて頂いたそうよ。まずは道明寺さんから聞いてごらんなさい!」
親の初めてとも言える激しい叱責で、漸く冷静になったつくしが、司に向き合い話し掛けた。
「ごめんなさい。訳も聞かずに・・・・・」
「いや・・いいさ!
・・・・・実は、俺の身近で手足の様に動いてくれる仲間がいて、類の事を知る中で牧野を知って、お前が入院中に、そこに居合わせた際に住人同士が話すのを耳にしたんだ。
『出て貰わないと、勉強に影響が出るから、管理会社に連絡しよう!』とね。それを俺に教えてくれた。それで喜んで手を貸したって訳だ。始めは、あきらか総二郎に頼もうかとも思ったが、敢えてそうしなかった。俺の手で、類と牧野・そして、可愛い子供の力になりたかった。それだけだ!
何れ類の病状が回復すれば、ここに居ようと居無く成ろうと好きにすれば良い。
これは、牧野に贈っただけじゃない!親友の大切な子供に贈ったんだ。覚えておいてくれ。

お母さん!ありがとうございました『母は強し!』そして、偉大な存在なんですね!
出来る事なら・・・あなたの息子に成りたかった。」
「道明寺さん?
私は本当には義母にはなれませんでしたが、今でも道明寺さんは素敵なつくしの先輩です。何時でも、遊びに来て下さい。お金は有りませんが、自慢出来る楽しい我が家です。」
「ありがとうございます。」
「道明寺さん!何時か一杯飲みましょう!但し安い酒しか無理ですが。」
「はい。是非!
お父さん・お母さん・・・・・掴み損ねた原石は、ダイヤより貴重なモノでした。今更遅いですけど!」
「道明寺・・・・・」
「牧野・・・・それから、安心して類の病室に見舞いに行け!」
「エッ?でも・・・・・1人では?」
「1人だろうが、2人でだろうが、連れて行きたい奴と行け!・・・・なっ!!」
「道明寺?それって・・・・・」
「後は知らない!牧野次第だ。それで・・・玉砕でもしたら、俺んとこに来い!もう放さないから・・・・・」
「・・・・・・・」
「じ・じょうだん・・・だぜ!   な・・なあ?」

「ほ・ほら・・・・入れよ!解ってくれたんだろ?」
「・・・・・う・・うん・・・・・ありがと!道明寺。」
「ああ。」
「つくし、これが鍵よ。」
「はい。ママ。」
「じゃあ・・・俺は行くな!」
「うん。・・・・・道明寺!」
「ん?」
「・・・類が・・・類が治ったら、会おう!・・それで・・あたしの子・・あんたの親友の子供・・抱いてくれる?」
「・・・・・・エッ?・・・・・ああ・親友の子供を抱かせて貰う!
泣いても抱きしめて、キスしまくるかも知れねえが・・・親友の子だから・・・大目に見ろよ!」
「う・・うん。大目に見る・・・だから・・・絶対に会おうね!」
その時には既に、後姿であの日の様に片手を挙げ振りながら、その先を歩き出していた。

大きく想えた背中が小さく見え切なさが込み上げる。振り返れば2人の親も咽び泣いていた。
「パパ・ママ!行こう。」
「行こう。」
「行きましょう!」

ここから、また始めればいい!!新しいロードに向けて・・・・・

 ロード

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