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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

ロード 20歩 第二ステージ  

【20歩 第二ステージ】

早い物であれから5年が過ぎた。
類は、仕事に就いて2年になる。
専務と言う肩書から重役に昇進した。その為に、今迄の様に気軽には会えない日々が続いていた。
つくしもまた同じ様に、医学部6年での全ての試験を終えて卒業を待つだけの日々を過ごしていた。後は医師免許の合否のみ。

「類、会える?」
「・・・・う~ん。・・・ごめん。無理みたい。ホントにごめん。」
「ううん良いよ。今迄が逆だったもの。でも、ちゃんと食事してる?」
「うん。してるよ。心配無いって!」
「それなら良いけど。この前会った時、また痩せた気がして、心配だったから。」
「ありがと。つくしも気を付けて!また連絡して。」
「うん。じゃあ。」
「じゃあ。」

つくしは未だ学生だが、類は後継者として着実に先を進んでいる。経済紙には「未来の華有る後継者達」と題された記事が紙面を飾っていた。言うまでも無くその後継者とはF4の道明寺を除く3人。
美作あきらは、先日見合いをしたと西門祥一郎から聞いた。総二郎も話しが来ているらしい。
それは、英徳の頃から解りきっていた事。あきらと総二郎が放蕩三昧をしていたのもそこにある。
ふと、類を想い浮かべた。それが、類の元にも来ていない筈はない。類の事だから、曖昧にはせず牧野つくしと言う存在を口にしているかも知れない。今の所、何の影響も無い日々を送ってはいるが、何れ何がしかの事態は推測される。
既に大学を卒業した総二郎の兄・祥一郎は、大学付属病院へ進んでいる。あの類との話し合い以来、つくしの良き相談者になった祥一郎のお陰で、どれ程助けられたか知れない。
つくしは今では、先輩というよりも兄の様に慕っていた。

つくしに取って、臨床実習は想像よりも難題だった。それまで健康が取り柄のつくしは「病院」と言う中に患者として身を寄せた事が殆ど無い。「患者の気持ちになれ!」そう指導員の医師に言われるが、中々難しい。「元気をあげたい。」と想い明るくすると、時として「健康な人は元気で良いね!病人は、なりたくてもそんな風には出来やしないよ。」と年配の入院患者からチクリと言われた。みんながそうではないが、対応に迷いは生じる。
しかも、大学での授業内容とは違う。生身の人の身体で、しかも合併症を幾つか重なった患者もいる。「生」を眼の前にして、この手に掛かる重さを想い知る毎日。

この道を選ぶキッカケになった「魔女」の言葉が頭を過る。
『対等に話したかったら、先生と呼ばれるように成ったら出直しなさい。』
その意味が何となく理解出来る。人の人生を背負う「魔女」の大企業トップとしての重責。そして、牧野つくしが選んだ道「医師」それもまた、人の「生」を握る重責の職業。
今そのフィールドに起ち掛けている。いや既に実践に入った今「掛けている」のではなく「そうなのだ。」しかし、向き合う日は、遥か先の気がするつくしだった。

その日、大学からアパートに戻るとドアに紙袋が下げられていた。
【会え無くてごめんよ!今度おしゃれして出掛けよう。類】
袋の中の短い文に胸が熱くなる。中にはシフォンのパステルブルーのワンピースが靴と合わせて入っていた。
「類・・・・・会いたい。」
そっと呟く。

簡単に食事を済ませ、久し振りに銭湯に行って来た。温かい身体で寝ようとした時
「コンコン」
「はい。」
「俺・・・類。」
「エッ!・・・・・類?」
慌ててドアを開けると、少し何時もと違う類の姿がそこに有った。
「どうしたの?」
「少しだけ・・・・・良いかな?」
「う・うん。入って。」
部屋に入ると、突然つくしを抱き締めた。
「どうしたの?」
「こうしたかった!あったかい・・・・・」
「類?」
身体を放したかと想った途端、それまでに無い様な激しいキスが注がれる。抵抗は到底出来ないほどの。やがて、素肌にされて、会えなかった分を埋め尽くす様に類はつくしを愛し始めた。
「どうし・・・たの・・?」
「愛してる!つくし。」
「あたしも愛してる!」
「何があっても・・・・・俺を信じて!」
「・・・う・うん!・・・類・・・・・今日は危険日なの!・・・・・るい?」
「・・・・・・・」

ひとつになれた後、再びキスを唇・額・頭、そして手にし終えると、強く抱きしめ
「良いね!何があっても、信じて!」
「うん。・・・・・類、もしかしたら?お見合い?」
「うん。したくないって幾ら言っても聴いてはくれない。つくしの事を話したけど・・・・・」
「類・・・あたし、信じてるから。心配しないで!」
「つくし!・・・・・いざとなれば、家を出る覚悟出来てるから。でも、その時はついて来てくれるよね?」
「そんなのは当たり前。類が大事だもの。」
「つくし。」

「それから、服ありがとう。」
「ああ。買っておいたんだ。時間が作れたら出掛けたいと想って。この所ハードスケジュールで、何もしてあげられなくてごめんよ!でも夕方から、急に時間が開いて、そしたら無性に会いたくて!
でも、まだ戻って無かったから、一度は諦めたんだけど。でも・・・もう一度引き返して来た。会えて良かった。」
「う・うん。嬉しかった。」
「でも、もう行かなきゃ・・・・・・じゃあ行くね!」
「うん。無理しないで!あたしなら類を信じてるから、安心していいよ!」
「うん。次はその服で食事に行こう!」
来た時とは違う安堵が見える面持ちで帰って行った。見送りながら何故かつくしは想った。
『次が有るかな?』
つくしは胸のどうしようもない不安な気持ちに、その先を垣間見た気がした。

最後の逢瀬?
どうか、そうなりません様に!!

類が突然現れたあの日から、あっと言う間に1カ月が過ぎた。
類の言った通り、幾つかの情報誌に「花沢物産・御曹司婚約・間も無く成立!」の記事が掲載された。
「類・・・・・」
一番に西門祥一郎が連絡をして来た。
「つくしさん、平気?」
「あっ・・・ええ。平気・・・です。聞いてましたから。お見合いの事。」
「そう。なら良いんだけど。・・・・・何か不安な事が有れば言って!話し位は聞けるから。」
「はい。ありがとうございます。」
その後、美江からも。
状況が許さないのだろう?類からは、連絡は来ない。

つくしは卒業し、祥一郎と同じ附属病院の研修医としての毎日を送っている。国家試験も合格し。
何時もの様に勤務に就いていたつくしだが、その日仕事中に具合が悪くなり倒れてしまう。
病室に運ばれ、つくしが眼を覚ますと、診察を受けている自分。眼の前には30代の女医の姿。
「気が付いた?」
「は・はい。」
「貧血よ。」
「そんな、今迄貧血になんか?」
「牧野さん?って言うのよね?」
「は・はい。」
「医者のあなたなら、解るんじゃないの?気付いていない筈無いわよね?」
「エッ!・・・は・はい。」
「どうするの?」
「生みます。」
「医師には完全に成った訳じゃないのよ?これから臨床が有るのに、どうするの?」
「叶えます。」
「随分欲張りね!」
「はい。愛してる人の子供ですから、産まない訳には行きません。医師は目的があるので捨てられません。」
「独身よね?籍はどうするの?」
「それは、考えていません。1人でも産もうと思っていますから。」
「・・・・フッ。たいした覚悟だわ。昔の自分を見てるみたい。」
「エッ?」
それまで、頑なな表情を見せていたつくしが、女医の顔を眼を輝かせ凝視した。女医は椅子に座り
「そんなに見つめないでよ。」
「すみません。」
「聞きたいんでしょ?」
「は・・はい。」
「私も男の子生んだの。但し、研修中では無かった。やっとそれを終了して、これからって時よ!
・・・・・あなた、大変よ!きっと考えてる以上に。それでも、産むの?」
「はい。」
「なら、覚悟しなさい。」
「はい。」
「甘くは無いわ?」
「はい。」
「辛いだろうけど、医者としては赤ん坊のあなたが、子供を産み育てながらが、どれ程過酷か?
子供は予測不能よ!生まれる前は、何が有るか解らないし、生まれた直ぐはシングルじゃあ並大抵ではないのよ。」
「はい・・・・・」
「たかが子育てって、甘く見ていない?」
「そんなつもりはないです。」
「そうかな?私は甘く見てたの。シングルでも立派に育てるって。だから、親に見て貰って夜勤もしてた。でもね、間違いだって途中で気が付いたの。
見てくれていた親が具合が悪くなって、ホントに1人で全てしなくちゃ行けなくなって、初めて我が子と向き合った時。
我が子の筈が『ばあば・ばあば・・・』そう泣くの。
幾ら母親の私が抱こうとしても、腕から逃れようともがくのよ。悲しかった。」
「それで?」
「辞表を上司に出したわ。そしたら、休職したらどうかって?
1人で育てるなら、建て前より現実にに金銭の事を考えろって!良い上司に付いたって、心から感謝した。一時の感情で辞めていたら、精神的だけじゃなく、経済的にもどれ程のダメージだったか?
・・・・・それで、そうさせて貰った。
育児休暇の期間、ぴったり寄り添って漸く絆が出来た。
死に物狂いで泣く我が子を抱いたわよ。『ばあば・ばあば』から『ママ』になって貰う為に。」
「なれたんですね。」
「ええ。でも、今想うとあの時、母が具合が悪くならなかったら、母子の絆はどうだったのかなって震える想いがするの。
牧野さん。知りもしないで言うのじゃ無く、人を育てるのって並大抵ではないのよ。例え我が子でも。
愛する人の子供が産みたいのなら、それを充分に頭に入れて!
先輩として、忠告するわ。それに、何か起こしてからじゃ遅いのよ。私達の仕事は。
牧野さん、良く考えて!それで、決めたのなら頑張りなさい。でも決して、1人で頑張り過ぎない事よ。
道しるべは、どこかに必ずある筈だから。」
言い始めの顔とは全く別の優しい母の顔をそこに見た。

「はい、鞄!帰って良いそうよ。」
「ありがとうございます。・・・あのぉ~・・・・・」
「まだ、誰にも話していないわ。そんな心配より、貧血も有るし早めに診察を受ける事よ。あなたの意志に関わらず、お腹の中で成長してるのよ。」
「はい。ありがとうございました。先生のお名前は?」
「結城美也。    じゃあ。」

その日帰宅したつくしは、翌日が休みだった事も有り、産婦人科に行く事を決めた。
何があっても子供を産む事は決めている。
女医・結城美也の忠告は的を得ている。全てに納得する事ばかり。

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