STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

ロード 17歩 道明寺

【17歩 道明寺】

つくしは歩きながらも、息はまだ荒く鼓動は高鳴ったまま。
それでも一刻も早く大学から離れた場所に行きたい思いで先を急ぐ。
ふと・・・もしも?が頭を掠めアパートに帰る事を踏み止まらせた。
『大学を知ってると言うのであれば、アパートも知られているかも知れない?』
逃げる理由は何一つ無い。
別れは既に決めた事で、しかもあいつがそれを選んだ筈。でも・・・・・何故か1対1で会う事を今は拒まれた。

それはきっと、花沢類との関係に有ると解っている。もう、ただの仲の良いだけの関係では無い。身も心も漸くひとつに成れた文字通り正真正銘の恋人の関係。

迷いに迷った上で、自宅へ直ぐには向かわずに、アパート近くに開店したてのコーヒーショップへ寄り道をした。
携帯を取り出し、類に連絡を入れた。忙しいのか?何時もの回数コールでは声が聞けず、携帯を閉じる。溜息ひとつ落としフィックスガラスの向こうに視線を向ける。
「つくしさんじゃない!」
「エッ?」
後ろから声を掛けられ、目一杯ドキリとしたつくし。
「ごめん!驚かせちゃったみたいだね?」
見上げた先に立っていたのは西門祥一郎だった。
「先輩!」
「久し振りな気がする。」
「はい。コンパ以来です。」
「待ち合わせ?」
「いいえ。近くに出来たこのお店に一度寄ってみたくて、1人で来てみました。」
「そう。僕と同じだね!一緒に居ても良いかな?」
「ええ。勿論です。どうぞ!」
「ありがとう。今日は運が良いや!」
「えっ?」
「会いたかった人に偶然会う事が出来て!」
「良かったですね!その方ともここでお会い出来たんですか?」
「フッ。つくしさんて、かなり天然みたいだね?」
「済みません。あたし変な事言いましたか?」
「ううん。君に会えて良かったって言いたかっただけ!」
「先輩?」
「その先輩は止してよ!祥一郎で良いよ。総二郎の事は西門って呼んでいるんでしょ?紛らわしいから、名前で呼んで!」
「でも、みんなに妬かれちゃいます。って言うか、恨まれます。」
「それなら、高校の頃からの知り合いとかって返せば納得するよ。第一、構内で呼ばれた時先輩じゃあ・・・みんなが振り向くよ?」
「はい。解りました。」
「僕も、つくしさんは止めて、ちゃんにしても良いかな?」
「は・はい。」
「ありがと!・・・・・・ところで、つくしちゃん何か感じ・・・変わったね?艶っぽくなったって言うか?また、綺麗になった。」
つくしは真っ赤になり、緊張を解す様に意味も無くコーヒーカップの中をスプーンで掻き混ぜていた手を止め、慌ててコーヒーを口にした。
「御世辞は止めて下さい。照れます。そんな事、誰にも言われた事有りませんから!」
「ホントだよ!つくしちゃんが気になるから、他の奴に解らない事も解っちゃうのかな?」
つくしは、少女では無くなった事を指摘された様で、所在無い感覚になっていた。
「ごめん!気に障る様な事・・・言ったかな?」
「いいえ。言っていません。ただ、照れるような事ばかり言われている気がして!」
「可愛いね。やっぱり!」
「ほら!また・・・・・言われ慣れて居ないですから、もう止めて下さい!」
「フフッ。解ったよ。」
そう言いながらも、祥一郎はつくしを見つめていた。そして、言葉通り祥一郎は気付かされていた。つくしがそれまでに無い程、艶やかで女性らしくなった事を!それが意味する事?
「そう言えば、コンパの日は、二次会に居無かったね?探したんだよ。全然話し出来なかったし。どうしたの?」
「あ・ああ・・・あの日・・・初めてのコンパで、緊張して・・・・・疲れちゃったから、帰らせて貰いました。」
「そうだったんだ?残念。それじゃあ、あの日の変わりに僕と夕飯食べに付き合ってくれない?それに、専攻の事とかアドバイスもしてあげたいし!」
ただの夕飯の誘いなら、断っていた。でも、大学の専攻を口にされ、無下に断れず頷いてしまった。
「は・はい。でも・・・・・・」
「じゃあ、連絡するね!バイトやら有るだろうから、後で相談しよう!」
その時、つくしの携帯が鳴った。
「それじゃあ、行くよ!また。」
「あっ?せん・・・・」
携帯を受けながら、やはり夕飯は無理だと言おうとした所に電話が鳴り、それを幸いと祥一郎は去って行った。
「何・・・せって?誰かと一緒?」
「アッ・・・類!」
「うん。さっき出られなくて!どうかした?」
「う・ううん。何でも無い。声が・・・聴きたくなっただけ!」
「嬉しいな。つくしからそんな事言って貰えるなんて。でも、やっぱり何か有ったね?」
「ううん。な・無いよ。」
「まあ良いよ。今夜行くから。」
「うん。待ってる。何が食べたい?用意しておくよ。」
「つくし!」
「売って無いよ!それに料理の遣り方知らないもん。」
「バ~カ!もういいよ。何でも食べるよ。じゃあ、その時!あっ!」
「ん?何?」
「愛してる!」
「もう・・・・・ここで言えないよ!」
「フフッ!解った。じぁあ。」
類の甘い声が耳に心地よく響いてる。幸せな実感。そして、少ししてから思い出した事。祥一郎の事で言い忘れていた伝えたかった事。
『道明寺の事、言え無かったよ。どうしよう?大丈夫かな?』
祥一郎の事は勿論気になるが、それよりもさっきの経緯上が再び脳裏を過り、不安な気持ちに包まれる。もう一度連絡しようかと想ったモノの、忙しかったのかも知れないと想う気持ちが連絡を押し留めた。
『そうだよ!道明寺だって暇な人間じゃ無いんだし、心配はいらないよ。』
自分なりの解釈で、来ないと勝手に決め付けて事を治めた。

時刻は道明寺を見掛けてから1時間が過ぎていた。

つくしはコーヒーショップを出る際に周囲を警戒した。アパートからそれ程離れては居ないその場所。
つまり、祥一郎のマンションからも近いと言う事に成る。
「良い所に出来て嬉しいんだけど、チョット複雑!」
ついさっきの遣り取りを思い出し、祥一郎の自分に向けられる言動や行動に
『ふざけてるのか?もの珍しいのか?ホントにどうしたら良いんだろ?』
と気にしながらも、もう1人の脅威の存在に今は動揺する想いが呼び起こされた。

「今日は、何も買わなくても良いと思っていたんだけど・・・・・」
早く帰りたく無くて、もう1軒スーパーに寄り道する事にした。
つくしが入ったスーパーは、質の高さが評判のどちらかと言えば、価格もそれなりの高級志向的スーパー。
「ヤダな!よりにもよって、こんな高い店で買い物だなんて!」
それ程買おうとは思っていないけれど、形だけでもとカートを押して歩き出したつくし。
下町の威勢の良い「女将さんや大将」が声を掛け合う店とは正反対の雰囲気で、おしゃれなエプロンをした店員が品良く声を掛け、商品の近くには【野菜のソムリエからのワンポイントアドバイス】等と紹介するお品書きがある様な品の良い静かな店内。
「あたしは、時間になれば値引きが有ったり、今日の特価品とか有る店が好きだよ!」
そんな独り言を言った時だった。

「何にも入れてねえんじゃ、恥ずかしくって出れねえだろうが!ホラッ、これ美味いぜ!」

その声に、全身が固まり目を見開きながらも、恐る恐る・・・姿を確認した。
「どう・・みょう・・じ!・・・・・なんで・・・ここに?」
「アパートの前で待ってたけど、何時になっても来やしねえから、歩き出した所でお前がこの店に入るのを見つけたんだ!」
「歩き出したって?・・・車は?」
「別の場所に置いて来た。お前を追い掛けて来たんだから、しょうがねえだろうが。」
「じゃあ・・・あれからずっと?」
「ああ。そうだよ!!」
「今更・・・何の用が有る訳?」
「話しが・・・したかったんだ!牧野と。あの日偶然会って・・・それで・・・」
「無いよ!あたしは。あんたと、話す事は何にも無い。ずっと前に別れたんだもの。
それも、あんたが決めた事じゃ無い?あんたが・・・・・あん・・たが・・・・」

つくしは自分で、泣くとは想ってもい無かった。平然として答えられると想っていた。
しかも、今居る場所はスーパーの中。丁度今は、買い物客で混む前では有る時間。それでも相手が相手だけに人眼を惹く。しかも、泣いてまでいる状況では、不審げにされても仕方ない。
「オイ。他に行くぞ!」
それだけ言うと、カートに幾つかの食材とワインを入れられ、道明寺がレジに押して行った。
その光景が嘘の様で、夢の様な映像に想え、暫し動けず見惚れているつくしだった。
「道明寺が買い物してる。しかも・・・スーパーで!」
ポツリ、頬が乾ききれないままに瞳も潤ませたままに、呆然としているつくしの腕を支払いを済ませた道明寺が掴んだ。
「ボケっとしてるんじゃねえ!誰かに連れて行かれちまうぞ。」
腕を掴まれたまま外に出ると、さっき歩いた道を歩いていた。そして、再びコーヒーショップに舞い戻ったつくし。
「アッ・・・ここ・・・・」
「良いから座れよ!」
否応無しの行動は昔も今も変わらない。何故か懐かしく想える自分がそこに居た。
「泣くな!泣くお前を見ると抱きたくなる。良いのか?ここで抱き締めても?」
「良い訳ないでしょ!バカ・・・・」
「そうだよ。俺はバカだ。それにお前も。」
「何で、あたしまでバカな訳?」
「俺の・・・気持ちを一つも解っちゃいない。」
「今更、今更・・・遅いよ!あたしにはもう・・・」
「ああ。類が側に居るって言うんだろ?」
「知ってるなら、何で?」
「話しがしたかった。こうして、2人で。あの日、お前に久し振りに会って、見違える位に綺麗になった惚れてた女に・・・ドキンとした。」
「な・何・・・言ってんだか・・・・・」
「ホントだよ。牧野・・・綺麗になったよ。良い女になった。それって、類の・・・お陰なんだろうな。」
「道明寺?」
「今度、みんなで会えないか?」
「みんなで?」
「ああ。2人じゃ無く、みんなでだ!それなら、類もダメとは言わねえだろ?」
「類が、良いって言ったら考える。」

「それはどうかな?」

「エッ・・・・・類?」
「何となくつくしが気になって、早めに来てみて良かった。ここのガラス張りに感謝だよ!」
気が付けば、眼の前に想い人の類の姿が有った。その表情は険しく、穏やかさは消えている様に想えて!
「どうして、ここに司が居るの?しかも2人で?」
「それは・・・・・」
つくしが話そうとすると
「つくしのせいじゃ無いでしょ。ここに居るのが不自然なのは司の方。待ち伏せでもしてた?女々しいやり方、司らしくないよ。何がしたい訳?縁りでも戻したい?」
「フッ!類、ここじゃあ、不味いぜ。外に行こう。」
「ああ。つくし、ごめん。行こう!」
「う・うん。」
周囲はさっき同様に、美しい青年2人に囲まれたつくしとを交互に見て、外に出て行く姿を見届けていた。
「ホラこれ!」
「何?」
司が類に買い物袋を差し出した。
「どう言う事?」
類は司を見てから、つくしを見つめ事の成り行きを聞き出そうとした。
「俺が、牧野の後を付けて、スーパーに入って声を掛けたんだ。何にも買いそうに無いから、俺が勝手にこれを買った。それだけの事だ。」
つくしから司に視線を変えると、含み笑いをしながら司に言う
「それまでして、それからも今の店に入り込んで、しかも、今度はみんなで会おう?笑えるよ!
司がつくしにした事、解ってるの?大学一つ選ぶのだって、どんな想いで選んだか?
俺が会える様になったのだって、司の事が有るから・・・幾つも乗り越えてやっと、ここまでの間柄になれたのに!
サッと来て、知ったふうな事言うなよ!」
「そうだよな。類の言う通りだ。でも、これだけは言っておく。あの時、俺は別れるつもりは無かった。一旦、そう見せ掛けようって言おうとした。それを、天然女が早合点して、取り付く島も無かった。それが理由だ。」
「なら何故、ほっておいた?手を差し伸べ無かった?」
「何を言っても、言い訳になる。そうだろ?   
今更!何だろ?もう良いさ。名前で呼び合う関係になったって事も承知したよ。
だから、尚更気が気じゃないんだろ?
可愛くってな?」
「もう・・・もう止めてよ!2人とも。
道明寺、さっきも言ったけど、今更遅いよ。あんたが言う様にあたしの早合点だったのかも知れない。
でも、それでも・・・別れたんだよ。
あんたのお母さんに言われた事、忘れたいけど、きっと忘れられない。もう、元には戻れない。あたしは類が好き。愛してる。類はあたしを何時も温めてくれる。もしかしたら、あんたの時みたいに、反対されるかも知れない。でも、それでも、あたし・・・この恋は大切なの。だから、類がこんなに怒る姿を見せる道明寺とは・・・会えない。
もう、ここには来ないで!」

「つくし?」
「フフフッ。焼きが回ったな!
そこまで言われたら、もうここには来ない。
類、大切にしろよ。お前が捨てれば、間違いなく俺が拾いに行くぞ!   
じゃあな。」
「放さないよ。絶対に!!」

「それから、生まれて初めてスーパーとやらで俺様が直々に、買ってやったモンを粗末にすんなよ!」
それだけ言うと、颯爽とした後姿で去って行った。ポケットから携帯を取り出し、何処かに連絡を入れながら。
すると、間も無く迎えの車がその先に現れ、見送る類とつくしに手だけの挨拶を送り消えて行った。

「行こう。つくし。」
「うん。」
もうアパートが目前と言う場所での諍い。住人が居合わせなくて良かった。
「類?」
「ん?どうした?」
「ごめんね。」
「つくしのせいじゃないよ。それより、お腹空いた。」
「うん。何にしようか?」
「つくし!」
「だから言ったでしょ!売って無いって。」
類はそっとつくしに耳打ちをする。

「ヤ・・ヤダ・・・もう・・・類ったら・・・エッチ!・・」
真っ赤になり、プイと横を向くと類を置き去りに

「確かに、天然だよね!
それじゃあ・・・天然つくしをいただきますか!」
早足になったつくしを追い掛け、司のくれた買い物袋を提げてアパートへと入って行く類だった・・・

 ロード 

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