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好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

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ロード 6歩 女友達

2010-09-20 Mon 01:20

【6歩  女友達】

月日は瞬く間に過ぎて行く。そして、つくしは知らずにいた。美作あきらや西門総二郎がつくしを探している事を!
新学期少し過ぎた頃、花沢類からあきらに連絡が入った。それは「牧野つくし」の事。

何度も連絡したが、不通状態が続き挙句の果てには、繋がらなくなっていたと心配する内容。
『牧野、一体どうなっているの?』
久し振りの親友が、位の一番に聞いて来たのは他でも無く、貧乏少女・牧野つくしの事。
『消えた!』
『エッ・・・なんて言った?』
『だから、消えたって言ったんだ!』
『何処にいるのか解らないって事?』
『ああ。そう言う事。』
『司は?あいつは知らないの?』
『ああ、恐らく知らない。それが証拠に、あいつ自身総二郎から聞くまで知らなかったみたいだ!』
『それって・・・・・二人は?』
『俺らには解らん。知りたいなら、そろそろ戻って来い!』
『ああ。5月下旬には、一旦帰国出来るから、あきらの所に連絡する。』
『待ってるから。じゃ・・・』
『待って!アパートは?』
『牧野のか?』
『う・うん』
『有れば、そう言ってるよ!もう、引っ越してて蛻の殻!』
『そ・そう・・・』
類は考えても居なかった。
仮に英徳の大学に進学しなくても、生活スタイルまで変えて居るとは夢にも想わずにいた。自分が最後見ていたつくしは、大学に進むとも取れる行動をしていたからだ。自分を変えたい!そうじゃ無かったのか?だから、プレゼントに「鏡」をプレゼントしたのに。しかも、道明寺司とはどうなっているんだ?
花沢類自身のこの1年も、目まぐるしい変化と環境の違いに翻弄され続けた1年だった。でも、戻ればまた他愛ない事で笑い・喜び・時に、喧嘩し合える場所が待っていると信じて疑わなかった。そしてその中で、最も大切な場所が消えたと聞かされ、呆然とするしかない。

そんな事とは露知らずに過ごす牧野つくし。
担当では無いが「東郷祭」の準備も大詰めを迎え、初めての大学祭が待ち遠しく感じられる。つくしの身の回りで変わった事。クラスに美江と云う一歳年上の女友達が出来た事。
山崎美江・浅草でレストランを営む両親と兄が2人の3人兄弟の末娘。容姿は可愛いか美人かで言うなら、美人の部類に入るだろ。スタイルもプチグラマー。上・中・下で、言うなら「中の上」と云った感じで、気性は江戸っ子気質と持って生まれた明るさが有り、美江の方からつくしに歩み寄って来た。
「ま~きのさん!いっつも忙しそうね!だから、眠いの?」
「へッ・アアッ!」
「ヤダ!ごめんね。寝てたのに。でも、こんな時でも無いと、牧野さんとは話しが出来なくて!」
「・・ん・・・ご・ごめんなさい!チョットバイトに講義って、詰め込み過ぎたもんで、流石に疲れてるみたいで!」
「みたいでって、何か人事みたいじゃない。倒れちゃうよ!」
「ありがとう!大丈夫、今日・明日って全く何も入れて無いから、ゆっくり休めるんだ!」
「そう!だったら、家来ない?美味しいご飯ご馳走するから。」
「エッ?・・・・う・うん・・で・でも?」
「アッ!うんて言った!言ったよね!そうと決まれば、善は急げ!牧野さん、行こう」
かなり強引な気がしないでは無く、寝ぼけ眼の思考が幾分欠落しているつくしの鞄を持ち、腕を掴むと明るい笑顔で、連れ出して行った。向かった先は、美江の実家「レストラン・ヤマサキ」。
屋号は現在の当主美江の父の父、美江の祖父が付けた物。既にその人は他界し、今は次期当主の長男と采配を振るっている店。そして、男ばかりでは無く、年齢寄り遥かに若々しい美江の母が、客の応対を受け持ち、3人で老舗の味を守っている。
行きながら携帯で、つくしと云う友人を連れて行くから「店の自慢料理を」食べさせて欲しいと伝え。
辿り着いた店の前。周辺は今も、下町の色濃く残す明治大正昭和の店構えが眼を惹く。その中に、美江の実家は肩を並べる。外観は当時流行った煉瓦を使い、モダンと言われた時代を彷彿させた。その頃にしては大きめな窓に、おしゃれな主のセンスも伺える。その窓の下にはプランターが所狭しと並べられ、色鮮やかな幾種類もの花が寄せ植えされている。外にイーゼルが出されて「本日のお勧めメニュー」それに合わせた挿絵が書き込まれ、想わず入りたくなる雰囲気の店。
「牧野さん、こっちこっち!」
自宅玄関に誘い、美江の部屋に鞄を置くと、店にドアから顔を出す。
「ただいま!」
「お帰り、良かった!今丁度お客さんが捌けたところだ。」
「そう、良かった。」
話しながら店の中に入る美江の後ろに付き、カウンター越しに調理場が見える位置に座った。
「あっ。牧野さん、この3人が私の家族。あと一人いるけどね。」
美江が話し終えると、美江の母親が2人に向かい
「牧野さん、下のお名前は?」
「初めまして、アッ・つくしと言います。牧野つくしです。宜しくお願いします。」
「まあ、かわいらしいお名前ね!なら、つくしさんて呼ばせてね」
「ママずるい!私だって苗字で呼んでるのに!」
「ア・あの呼んで、つくしって呼んでください。」
「ホント?ありがとう!」
「良かったな美江!宜しく、つくしさん」
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
「つくしさん、俺長男の尚樹です。宜しく!」
「宜しくお願いします。」
美江の母の言葉を皮切りに一気に家族が紹介され、初めて来たのが嘘の様に溶け込んで
「何だか、ずっと前から知ってたみたいだね!」
嬉しそうに美江が言う。
「ありがとう、誘ってくれて。美江さん!」
「アッ・呼んでくれた!美江って、ありがとう。」
こうして大学に入り初めての友達が誕生。
それとこの日、美江のたっての勧めで大学生に成り初めてつくしは友達の家に泊まった。
また一歩つくしの前に明かり広がる。


一方その頃、あきらの元に
「あきら、帰国するよ!」
花沢類からの連絡だった。


つくしは美江の家で、寛ぎのひと時を過ごした。
先日の実家での安らぎに加え、この所温かな団欒を味わい、心が穏やかな気持ちに包まれていた。忙しさに追われ、辛いと言う事を無理に認めない無い様に過ごして来たのが、今・少しづつ解れ初めて表に出る事を拒む気持ちが薄らいで行く想いがし始めている。

疲労困憊だった身も心も、山崎美江により回復出来た。少しささくれていた心が解かれ、優しい気持ちで過ごす日々を送る事がどれ程大切かを感じている。
そして迎えた「東郷祭」の朝。天気は快晴、気分を盛り上げる青空が広がっていた。
つくしは、決めていた向かう時間より少し早めに家を出た。それは、初めてのその内容に触れたくなったから。
美江はバトン部。そしてそのサークルは、イベントを企画していると言っていた。その担当に1年ながら加わり、野外ステージでの比較的大掛かりな物らしい。
「絶対に来てね!」
そう、つくしに笑顔で声を掛けていた。勿論行くつもりでいる。教えて貰えなかったそのイベントの内容も、今のつくしは知りたいと思えるし、触れたいとも思えた。
キャンパスには既に前日に準備を終え、後は本番に向けての最終準備に追われていた。
数年前から「エコ=箸・皿」の参加をうたっている大学が増え、ここもその一つ。その為、つくしも鞄には「箸」を持ってきた。そして、皿では無く蓋付きの容器も持参した。
あちこちを、見て回りその多さに驚きながら、活気にも胸がワクワクする。
そして、サークルのテントの前に辿り着いた。忙しそうに用意に励むメンバーに声を掛けようとしたが、タイミングを逃し、手を止めさせてしまいそうで躊躇した。遠目で「たのしみ会」の働く姿を見つめ、おちゃらけた意味無しサークルにも思われた部のイメージが一変する。生き生きしたその姿に見入った。そして何より驚いたのは、出店の内容。「たしなみ会」は何でも楽しむサークルのイメージでいた。しかし、この日初めて意味の有る事を知る。「茶を嗜み会を催す」それは、茶道サークルだった。
つくしは「なんで?」そう想いながら、言いようのない感覚を全身に感じた。そして言い聞かせた、ただの偶然「茶道」=では思い込み過ぎだと。しかも、ここは大学。一般社会では無いのだ!関連付けても仕方がない。
「何でも、結び付けるのは止そう」
もう過去に囚われずに進むと決めたんだ!
つくしは、踵を返しサークルの側から離れようとした。その時
「西門先輩!」
その声に耳を疑った。何故なら、茶道に西門の姓を聞いたから。でも、有り得ない「西門総二郎」は英徳の筈。しかも、その親戚筋にしても、ここよりも英徳である事の方が確率が高い。何より親戚が仮に居ても何ら関係なく済む筈だ。
「きっと、只の偶然」
つくしは言い聞かせて、その場を離れた。そして、少しの胸騒ぎを覚えつつ開始時間を迎える。
来場者が姿を見せると、一気にボルテージは上昇する。あちこちから、呼び込みが始まり、イベントテーマの衣装に身を包んだ学生が、何処からともなく湧いてきて首から看板を下げる者。大きなプラカードを誇示する者が現れ出した。コスチュームでビラを配る女子学生。お化け屋敷の宣伝マンなのか?全身を白い布でぐるぐる巻きのミイラ男。見ているだけで楽しめる。
夢中になり歩き廻り過ぎて流石に少し疲れを感じ近くのベンチに座った。持参の麦茶を飲みながら一息付いていると携帯が鳴る。
「つくし、今何処に居るの?」
「美江のイベントステージ裏手のベンチ」
「良かったぁ~。今行くから、そこに居てよ!」
「う・うん。解った。」
嫌な予感を秘めながら、美江の来るのを待った。間も無く笑顔で駆けて来る美江に手を振る。
「何?どうした?」
「これから用事有る?」
「ううん。本番を見て回ろうと思ってる位かな。」
「良かったぁ~!丁度良いよ。うちのイベントの本番体験してくれない?人がまだ集まらなくて困ってたの。お願い、つくし!」
「良いけど。でも、どんな内容?」
「イイって!言ってくれたよね。じゃあ行こう」
つくしは失敗したと思った。美江の場合、先に受け入れたと誤解させる様な返事をする事は、そのまま解釈され兼ねないと云う事を!勿論この場合も例外でなく、受け入れたと判断され、即刻その場から連れ出される事になる。
つくしが美江に連れて行かれたのは、野外ステージ裏手に位置した建物の1室。衝立でし切られ、その合間に机とその上には鏡・箱が用意されていた。1か所の空きスペースに座らせられたが、同じ様に全部で10か所程用意されているらしい。既に布で隠され、他9か所にも人が配置している様だが、全く見えない。声だけが聴こえて来る。「どう?」「もう少しかな」「これにしよう」「良いね」
一体何をしているのか?全く内容を聞かされていないつくしは不安になり
「何するか言わないと、出て行く!」
美江の顔を座りながら見つめて言った。
「あれ?言わなかったっけ?」
つくしは半ば呆れ、笑ってしまった。
「美江、全く何も言わずに連れて来たし、前に何するか聞いた時も、後のお楽しみだって言って教えてくれ無かったよ!」
「アッ・・・・・そうでした。ごめん、つくし。」
「まあ良いけど、それにここまで来たら逃げないけど、何される訳?」
「変身ショー」
「エッ・・・・・な・なにそれ?」
「言葉通り、変わって貰うの!」
「なにに?」
「違う自分に!」
悪びれる事無く笑顔で答え
「前から、つくしは普段全然構わないけど、磨けば光るってスッゴク思ってて、一度やってみたかったんだ!」
「ねえねえ、変身したらどうするの?」
「もう、良いでしょ!時間無くなっちゃう!」
つくしは仕方なく、されるままの覚悟を決めた。
意外な事に、美江の動きは手際良くて、しかも心地よかった。大学を選び間違えたのでは無いかと思う位、鮮やかな手捌きと化粧のセンス。芸術性が際立つ気がつくしはしていた。勿論表情にも、それは伺える様な感じがした。
次々にコーナーから出て行く気配を受けながら、美江の作業も時間内に終了した。次は隣の部屋で再び同じ様にセッティングされたコーナーに、たくさん用意された学生が持ち込んだ自前の洋服。
美江がつくしに着せたい服は、既に他の学生に持って行かれ、仕方なく残った中で服を選びつくしに渡した。
化粧と服・ヘアースタイルがマッチしていなくてはならない。
美江は正直な所、用意した服が無い事でショックを受けていた。誰が持って言っても良い決まりだが、きっとそれぞれが自分で持参した服を選ぶと思っていたからだ。まだ、幾つか服は有ったが、どれもつくしのイメージしたデザインには思えず途方に暮れる。自分で持ってきた服を着せたかった。・・・と!
「美江、ショウって言ってたけど、優勝には賞品は有るの?」
気を紛らす様に尋ねる。
「うん。学食1か月分とか言ってた。何で?」
「何でじゃないよ!だったら、張り切ろうよ。サア、ここまで来たら優勝しよう!」
沈んでた美江の顔が明るくなり
「うん。つくし、凄い!!」
「スゴク無い、火事場の何とかだよ!あと、残り物に福!とも言うよ」
「うん」
尻込みしてたつくしが、美江の落ち込む姿を前に、奮起する様になっていた。そして、支度が完了した。
支度を終えた参加者がベールを羽織り、アイマスクをした状態で担当者と並ぶ。最初だったせいで、参加者が少なかったが、2回目の申し込みは予定数を越えていると、美江もつくしもこの後知った。
ショーは開始され、MCが内容説明をしている。優勝賞品は美江が言っていた通り「学食1か月」が貰えるらしい。つくしには有りがたい賞品だ。でも、有り得ない!只それより今は、美江の才能を垣間見えた事が何より嬉しかった。つくしは化粧も着替えた姿も見てはいない。美江の表情や手捌きに気を取られていたからだ。
やがて、参加者をステージに呼ぶ声が聴こえた。つくしは想い出していた「高校のTOJ」の事を!
「サア、美江やるだけやろう!」
「うん、つくし!」
2人は、一番最後にステージに上がった。

つくしは知らずにいた。その日帰国した類を伴い、あきらと総二郎が国立を受験した筈の牧野つくしを探し、「東郷祭」に訪れていた事を!
「類、ここに居るとは限らねえからな!こんな広い中から1人を探す方が所詮無理な話さ!」
「なあ、イベント覧に幾つかショーが有ったよな?暇つぶしに可愛い子観に行かないか?」
「ああ、そうだな!」
「行きたくない!」
「そう言うなって!急がば回れって言うだろうが、それに想い出さないか?TOJの事。」
「解ったよ、行けばいいんだろ!」
「アッ!最初のが始まりそうだぜ?」
3人はつくしの参加した野外ステージに間も無く到着しようとしていた。

つくしが美江とステージに立って間もなくだった。客席後方が騒がしく、一瞬野外ステージの客席の視線がその方向へ注がれた。勿論参加者にしても、ステージ上からそこへ視線が向けられる。それをつくしも見て、声にはしないまでも
『何の騒ぎ?迷惑な感じ!』
今・イベントをしている最中なのに、何が起こっているのかと気分不快で眺めた先を辿り息を飲む。
そして・・・見間違う事無く、体が凍りつき
「何で、ここに?」
花沢類・美作あきら・西門総二郎の3人が揃って客席後方に立っていた。しかも、その3人に釣られて女子学生が回りを囲う様に群がってもいる。
「お静かに願います!申し訳ありませんが、只今イベントの最中ですので騒がしくされるのであればお引き取り頂けますか?」
MCが憤慨を露わにし3人と伴って現れた女子学生に注意を促し、あきらが了解とばかりに手を挙げ応え、類と総二郎に目配せをしその場から外れて行く。しかしその時、類はステージに視線を流しながらあきら達とその場を離れて行った。それを見たつくしは、アイマスク越しに、全身が成す術を無くす程の硬直状態で立ち尽くす。
類の流す様に向けられた視線は、紛れも無くつくしに向けられていたからだ。
『解ったのだろうか?』
不安が過る。それと同時に
『帰国したんだ!元気そうで良かった。』
見えなくなって、漸く解れた心が呟く。そうして居る間にも、エントリーが次々されていた。
「つくし?」
美江に呼ばれ、ハッとし
「アッ・・・ご・ごめん!・・・・・はい!」
返事をして、一歩前に出た。この時にあの3人が居無くて良かったと、溜息をし胸を撫で下ろす。
そのつくしの様子に美江が気づかない筈は無く
「大丈夫?つくし」
「う・うん・・・大丈夫!」
視線を合わせ確認し合い、さっきのエントリーの次の段階のベールとアイマスクを取る時が近づいていた。
「それでは、エントリーNo.10牧野つくしさん」
「はい」
ベールを取り、アイマスクを外し客席に視線を向けた。そして・・・・・再び体が凍りつく。
「はなざわるい・・・・・」

・・・・・・・・・・追記につづく

 ロード 

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一番後方で、不思議に回りに女子学生も居無い中、鋭い視線でつくしを見据えている美しい青年がひとり。
それに気付き、つくしの呼吸が荒くなり、表情も青ざめているのを隣で心配して見ている美江。
つくしの視線を辿り、息を飲んだ。驚くほどの綺麗な青年が鋭い視線でこちらを凝視している。しかも、その視線は恐らく隣のつくしに向けて!2人の様子に美江でさえ胸が高鳴った。
「つくし・・・知り合い?」
返事は無い。・・・やがて、つくしが美江に呟いた。
「美江・・・ごめんね!訳は後で・・・・・」
つくしは、踵を返しステージの後ろに駆け降りた。
「牧野さん!どこへ・・・・・・・」
MCが後方で叫んでいる。客席もざわついていたが、最早つくしはそれどころでは無い!
「見つけた!」
類は外に出ると、裏手に回り駆け出した。
「類・・・・・どうした?」
待ってる様に言われ、あきらと総二郎は女子学生を相手に野外イベント会場の外で、類を待っていた。
出て来るや否や、さっきまでの表情では無く、鋭い形相とも言える面持ちで類が飛び出して来たと思ったら、更に走り出して行った。それを見て、只成らないと2人も顔を見合わせ
「ごめん、またね!」
その場に声を掛け走り出す。裏手からつくしが行きそうな方向に類は追い駆ける。つくしもまた、必死で先を急いだ。
そして、「たしなみ会」のテントの前まで辿り着いた時だった。
「まきの・・・・・」
類がつくしの名を呼んだ。テントに居た部員が
「あれ!・・・うちの牧野じゃない?」
「違うよ!あんなかわいい娘じゃないよ!」
「誰かに追われてるよ!」
「スゴイ綺麗な男の子!」
サークルの一人が、奥から静かにテントの前に姿を出す。そしてつくしが、走り疲れサークルのテント前で脚を已む無く止めた。そこには、何時かの先輩の姿が有り
「先輩!」
すると、追い付き掛けた類がその相手に
「祥一郎兄さん?」
「エッ・・・・・?」
息も絶えだえに肩を上下にしながら、つくしは交互に2人を見つめ
「類、何でここに?それに、何で牧野さんを?」
サークルの先輩が声を出している。そして、追い駆けて来た二人を見て
「あきら?・・・・・総二郎?・・・・・なにしてる?」
「兄貴?」
その中で総二郎が、一番驚きの声と表情を向けている。勿論・・・他の4人もそれぞれに、驚きのあまり無言でその状況を見据え
サークルのテント前、部員も驚きの状況に声すら出ずに見つめていた。

神様は時として 悪戯をする 懸命に生きる者への贈り物として
もっと、生き生き出来る様にと しかし それは場合により 旨く行き掛けた成り行きを 阻む事になり兼ねない
それを神様は 知っていて わざと悪戯するのだろうか?
今・・・進む道が解らずに 迷いそうな・・・そんな 予感に襲われる

突然姿を消した牧野つくし。
つくしを探しに類は、大学祭にあきらと総二郎を伴い、冷やかしのつもりで見学したイベント。そこで類は、気になる存在を目の当たりにする。それは、イベントに参加の一人。アイマスクをしているし、髪型も違うし化粧も施されてはいるが、気になった。
3人で居れば、人を更に惹きつけ魅了させる効果が増す為か、ゾロゾロ女子学生が付いて来る。そのせいで、イベントMCから参加拒否を促され一旦は外に出た。しかし類だけは、女子を拒絶しひとりで戻ってみる。
会場外であきらと総二郎は、類を見送り女子学生と一緒にその場で待つ事にした。
その頃類は、アイマスクを取り払い私服をオープンにさせた状況に間に合った。エントリーNO.10の学生は、顔は化粧を施され・髪も電気コテでカールされ、服装はミニスカートにカットソーとベスト。それ程凝った物ではないが、スタイルの良さが際立っている様に見える。かつての牧野つくしでは、見た事の無いその姿。しかし、何故か遠目からでもそれが知り合いの女性「牧野つくし」に思えてならない。類は一点集中し凝視した。
仮に違ったとしたら、見つめられた相手は好意が有ると勘違いし顔を赤らめるだろう。
しかし、それが類が疑う相手で的中なら・・・・・
向こうとこちらで視線が絡んだ
『さあ、どうする?』
類の感は見事に的を得た。そして、立ち竦むかと思いきや・・・反射神経素早く、裏手に走り去られた。それならと、野外ステージのお陰で走り込めば追い付くだろうと飛び出した。あきらと総二朗の呼ぶ声がしたが、それ所ではない。裏手からは行く方向はひとつだったお陰で、迷わず突き進む。後ろ姿が見えたその時
「まきの・・・!」
類は名前を叫んだ。
そして前を行くその娘は、少し走ると流石にブーツでは走り難いのか?それとも諦めたのか?いや、疲れたのだろう!肩で呼吸を整え、学生のイベントブースのテント前で立ち止まった。
「もう・・・もうだめ!」
気が付けば立ち止まったのは、「たしなみ会」の前だった。
『どうしよう!何でここで止まっちゃったんだろう・・・』
後悔が押し寄せる。クラブのメンバーが見てるのに!先に行かなくちゃ・・・
その時だった。テント奥から先輩が姿を見せ、英徳のあと2人も追い着いた。

「先輩!」
つくしが呼んだ相手に、類も声を掛けた。
「祥一郎兄さん?」
「エッ・・・・・?」
息も絶えだえに肩を上下にしながら、つくしは交互に2人を見つめ
「類、何でここに?それに、何で牧野さんを?」
サークルの先輩が類に話し掛けてる。そして、追い駆けて来た二人を見て
「あきら?・・・・・総二郎?・・・・・なにしてる?」
「兄貴?」
その中で総二郎が、一番驚きの声と表情を向けて
勿論・・・・・他の4人もそれぞれに驚きのあまり無言でその状況を見据え、更にその状況をサークル部員も驚きで、声すら出ずに見つめていた。

「兄貴は、牧野を知ってるのか?」
「ああ。ここの学生だし、うちの部員だから!」
「あ・・・あのぉ・・、先輩は・・・西門さんのお兄さん?」
「そう、兄弟。でっ・・・何で、牧野さんは3人を知ってるの?」
「祥一郎兄さん、牧野は俺らの後輩。英徳だったんだ!」
「あきら達と牧野さんの接点が思い浮かばない?」
「今はそんな事・・・どうだって良い!」
類が苛付き声を荒げた。そして、つくしに近づき腕を掴むと
「牧野、取り敢えず来て。」
「類・・チョット待て!」
あきらと総二朗が、兄に会釈し類とつくしの後に付いて行った。
鵜も巣も無くつくしを連れて、その場から姿を消した。唖然とその光景を見ていた部員の山村が口をきいた。
「だからだったんだ!」
「何がですか?先輩」
「西門先輩に普通に接してた訳!」
「牧野さん、西門先輩と口きいた事有るんですか?」
「ああ。他の女子と違って、浮ついた様子も・見惚れもしなかった。今のあのイケメン相手にしてたら、同等の先輩に気が付かなかった訳だ!しかも、先輩の弟がその中の一人だった何てな!」
「それに、牧野さん・・・英徳だったんですね!お嬢さん何ですかね?」
「いや、それは無いだろう!バイト尽くしだって言ってたからな。」

「山村、悪いが後の事頼んでも良いか?」
「はい。良いですが・・・弟さんの所に行かれるんですか?」
「ああ。あの状況をほっては置けないだろう。」
「はあ。」
「じゃあ、悪いな!皆も宜しく!」
先輩目当ての女子から溜息が漏れた。それと同時に、3人の美形に追われた牧野つくしの事が話題になったのは言うまでも無い!

類に腕を掴まれ、引き連れられて
「花沢類、痛い。放して!」
つくしが叫ぶが、類には珍しくキッと眼を吊り上げる様にして、つくしに言葉を返す。
「放さない!そうさせたのは誰?」
つくしは体が凍り付く想いで、その顔を見た。
「そ・それ・・は・・」
そのまま、類はつくしを2人と共に門を出ようとした。すると後方から、西門祥一郎が駆けて追い着いた。
「待てよ!一緒に行く。」
「何で、兄貴が来るんだ?関係無いだろう」
総二郎が言うと
「いや、関係ある。」
「祥一郎兄さん、止めて下さい。部員のプライベートは関係無い事でしょう!これは牧野と俺・・」
「類、お前も牧野さんが好きらしいが、俺もだから!だから、関係無くは無いんだ!だから行く。」
「せんぱい・・・?」
類と祥一郎が、つくしを挟み睨み合った。
「どうなってるんだよ?総二郎・・・今度は、お前の兄貴かよ・・・・・」
あきらが見渡し溜息を付いた・・・・・
「俺に解る訳が無かろうが・・・・・」
総二郎が、それ以上にうな垂れた。

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