FC2ブログ
好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

スポンサーサイト

-------- -- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨

ロード 5歩 別れの理由 

2010-09-19 Sun 18:30

【5歩  別れの理由】

母・道明寺楓から重大な話しが有る。切り出された内容
司は耳を疑った。

あの人の良い、牧野つくしの父親が自分とつくしを笠に着て道明寺の会社に金をせびりに行ったという事が、信じられず。しかし、眼の前には証拠となる数枚の写真があり、紛れも無く晴男が札を手にしビルから出て来た物。出て直ぐビルの前で、札の枚数を数えるシーンも撮られている。そして何よりは・・・使い道が問題!!
ギャンブルに現を貫かす場面までも、撮られているのが一番ショックだった。

つくしは、道明寺楓から・・・父親が『ギャンブルとローン会社からの融資』を受けている事を聞かされ撮られた写真を見て知らされては居た。しかし、自分の父親が司の会社でもある場所に、金をせびりに行って居るなどとは、寝耳に水の事。しかも・・・聞いてすらない。もしこの時に、司がつくしにその事を聞いてさえいれば、全ては違っていたに間違いない。

今回の父・晴男のした事を・・妻であり母である・千恵子は、知らない事だと云う内容も、つくしは聞かされている。
母にも言えない状況の中で、抱え込んでいた苦しい胸の内。そしてその憤りは、もはやショックを超越している。
なぜなんだろう?妻・千恵子と娘・つくしから、今の生活態度をキープして欲しいと言い続けられて来た筈だったのに・・・・・これが、つくしの誰にも言えずに堪えている気持。
きっと司は・・・母親から聞いても、それ位問題ないさ!と・・・言ってくれそうな気がしていた。


道明寺司
司は母親の道明寺楓から聞かされた詳細

牧野晴男の不利益な行動。フリーライターの小菅が写した晴男の、ローン会社から出て来た写真が端を発した。
その写真に映し出されたビルに問題が!そこは運悪く、道明寺ホールディングスの持ちビルの一つ。支社も入っている。それを母・楓は利用した。道明寺司と自分・楓社長の名の元に金を貸して欲しいと尋ねて行ったと。
『自分は、子息の婚約者の牧野つくしの父親だ』と。
既に、司が公の場で4年後に迎えに行くと宣言した事もあり、確かに支社の人間ならつくしの事も知っていてもおかしくは無い。司は思ってしまった。
その行為は、揺すり集りも同じだと罵り、挙句に警察沙汰になる可能性を示唆した。
それを・・・自分が留めていると。その上、他でもしている可能性まで仄めかし、支社の人間が言わなくてもこのまま行ったら、母で有る前に社長として会社と道明寺の名誉の為に、自分が通報しなくてはならない状況だと。
そうすれば、牧野晴男は犯罪者として逮捕される可能性が有ると付け加えた。もし、そうして欲しくないなら・・・

「牧野つくしと別れなさい」と。

その上で、つくしに別れようと告げた・・・・・あの日。
司は『母・楓の手前、ひとまず別れよう』そう言う気持で、『別れよう』そう口にした。
『嘘でも・冗談でもねえ』苛立ちも加わり、少し度が行き過ぎつい口にした台詞。でも、つくしなら・・・
『何言ってんの!』位で交わされるとも、正直な所想ったのも・事実。しかし・・・・・違った。

つくしは身に覚えが有り、既に司の母・楓から手酷い仕打ちを受けている事もあるせいで、直ぐ様・言葉に反応してしまった。しかも、驚きよりも・・・挫折と悲しみ・・・を・その身に受け。
司は、話しの持って行き方を踏み誤った。
『別れよう』と・・・切り出すのが速すぎた。
訳を先にし、今直ぐ、すべき行動の話しは・・・・・・その後にすれば良かった。
その結果、売り言葉に買い言葉。言葉の応酬となり、相手の非を指摘するばかりの口論にも近い内容になった。
別れた振りだけして、状況を見極め、牧野の父にも良く話し、今後を相談しようと考えていたのに。

言葉の深さや事の重大性に気づく余裕などつくしには無くて、司は身辺をSPに見張られているかも知れない以上、その場では、それ以上のやり取りはしない方が良いと判断し自分の中で、これからを頭にシュミレーションする事で、押し留めた。
まさかそれ以降、つくしが想いも寄らない行動をしようとしているとは考えもしていない。
つくしの大学の事は、気になったが、今・自分が手出しすれば牧野が自分の父の事で
『何を言われ・される』か知れない事情を絡ませている。つくしの判断に委ねるしかないと司は考えた。
完全に牧野つくしを手放す事になろうとは・・・夢にも想わずに。

4月・新年度に連絡をしよう・・・
それまでは暫し、母・楓の手前・・・・これで良いと・・・・・



前を見よう
例え小石が転がっていようとも 例え薄明かりしか見えなくても
留まる事は似合わない 後退するのも似合わない
前を見据えて 胸を張り 笑顔でさえ居たならば
きっと 眼の前には 明かりが灯り いつかは陽も差すだろう
それまで 少しゆっくりでも 信じた道を 歩いてみよう
それが   あたしの道だから

牧野つくし
色々考えあぐねた末に出した結論。美作あきら・西門総二郎、この二人には、話さなければ返って詮索され、今後の方向性に支障が出ないとも限らない。なら寧ろ、先に相談の様に話せば力にさえ成り得る。
つくしはあきらに話しが有ると、連絡を入れ、総二郎にも一緒に来てくれる様に話して貰い、自宅近くの喫茶店に待ち合わせた。

そして、神妙な面持ちで2人がその店に現れる。
その店を選んだ理由、前に1度司と入ったが、サラリーマンらしき人しか居なかったのを覚えていた。外観からしても、若い女性が入る様には見えない所から選んだ場所。彼らと会う際に気を付けねば成らないのは・・・・・女性の視線。ここなら問題ない!

「今日は呼び出したりして・・・・・すみません。」
「いや!寧ろ嬉しいよ。なあ、総二郎?」
「ああ。俺らは、司や類が居ない間、牧野をサポートし様としてるのに、拒否されてる様で、あきらと少しイラついてたんだ。」
「ごめんなさい」
「でっ?こんな場所を指定した位だ。なんか有るんだろ?」
流石に・・・鋭い!そう想いながら
「はい。」
「俺らを信用して何でも言えよ!」
「そうだよ、口外はしねえから!」
「絶対ですか?」
「当たり前だろ!男にニ言はない!!」
「そうだよ。断じてない!!」
「信じて良いんですね?」
「「ああ」」
「道明寺にも花沢類にも!ましてや、滋さん。桜子にもですよ?」
「エッ?どう言う事だ?」
「そうだよ?司や類にもって・・・」
「お二人を男と見込んで、打ち明ける決心をしたんです。他の2人に話す様ならこれで、あたしは帰ります。」
「ま・待てよ!」
「そうだよ!」
「牧野は、あの二人にも言えない事を、俺と総二郎に打ち明けるって言うんだろ?」
「そうです。」
あきらと総二郎は、ともに顔を見合わせ頷き
「解った。俺ら2人の胸の内で留める。」
「約束する。」
「信じて良いんですね?もし、破ったら?」
「2人裸で英徳のキャンパスを逆立ちして10周する!」
「2人とも、女に金輪際手を出さねえ!」
「書いてください。」
つくしはレポート用紙を出し、2人に書かせ持参した朱肉で拇印までさせて、念を入れた。
「牧野お前やけに、用意周到じゃねえか?」
「当たり前です。自分の人生が掛かってますから!」
再び眼の前の2人が顔を見合わせ、つくしを見た。
「お二人を信じて、お話しします。」
「「ああ」」
2人はごくりと唾を飲み込み、つくしに見入った。
「実は、英徳の大学へは進みません。」
「エエッ?やっぱり金か?」
「はい。そうです。」
「なら・・」
「だめです!前に言った筈です。牧野つくしの問題だと!」
「ああ。でも、どうする気だ?」
「国立を受けます。」
「何処の?」
「まだ、思案中ですけど、受験は決めました。」
「道理でだ!」
「何がだ?」
「いや何・・・桜子が、牧野が異常に勉強を頑張ってて、3位にまで上げたって驚いてて、奨学金を受けるんだろう?って言ってたんだ!」
「そうか。」
「何時決めた?」
「新学期早々。事情が有って。
でも、その事情が更に変わって!もっと、意識が強くなってます。」
「どう言う事が分かんねえけど。一番分かんねえのは、司と類になぜ、言えない?」
「そうだよ!司は恋人だ!言えば、金ぐらい直ぐに出すぜ!
それに、類は一番の親友みてえな間だろうし。
なのに何故?」
「驚かないで、聞いて貰えます?」
「さっきから、回りくどいな!」
「そうだよ、何でも言えって言うの!」
「解りました。
あたし・・・・・道明寺と別れました。」
「「エエッ~!!」」
「ほら、驚いた!」
「当たり前だろうが!なあ・・・あきら?」
「ああ!何でだ?」
「それは・・・まだ言えませんが、道明寺だけが悪いんじゃ無くて、あたしの方に問題があって!」
2人は・・・・・頷き合い、勝手に解釈した。
「牧野・・・何も言うな!全て・・・解った。」
「へっ?」
つくしは、訳が解らず首を傾げ
「あのぉ~?」
「それで、俺ら二人にしか言えないのが良く解った!!」
「ああ!牧野も大変だな!」
「まだ・・・・・・」
「もう、それ以上言わなくても良い!」
「でっ?どう・・・俺らにして欲しい?」
つくしは、2人の勘違いがまだ解らないながら、仕方なくこれからの説明に入った。
「あたし、今居るアパートも越そうと思ってます。お二人には4月以降にお知らせします。
それまでどうか、みんなに知られない様に協力して欲しいんです。」
「解った。2人でガードしてやる」
「ああ」
「あっ・・・・・ち・ちょっと・・・待って下さい。お二人が、然も然もしいと、返って桜子が直ぐ気が付きますから、止めて下さい。」
「なら、どうしたらいい?」
「普通にしていてくだい。
それで、桜子があたしが変だって言ったら『俺達が聞いてやる』って・・・言う程度応えて欲しいんです。

それで、後から『何でも無かったぞ』って!」

「そうか・・・そう言えば信憑性が有るもんな!」
「そうするよ!
牧野・頭・・・冴えてんな!」
「もし、司や類に聞かれたら?」
「自分達に牧野が言う訳ないだろって!言えば・・・済む気がします。」
「なんか・・・嫌だけど、それが無難だな!」
「ああ」
「お二人だけが頼りですから、裏切らないで下いね!」
3人は協同宣誓を交わした。
牧野つくしの一世一代の場面で有る。


こうして、2人の強力な援助の元、つくしの思惑通り桜子や滋の疑問を無事かわす事が出来た。

バイト先の団子屋の女将さん
「千石幸代」改め「城山幸代」は年明け間も無く、入籍を済ませた。
年末の見合いからトントン拍子に話が進み、知り有って僅か2ヶ月で結婚に至った。
区画整理の移動は、店仕舞いと云う形で結論を出した。

つくしの新たなスタートになるアパートも、早くから探して居たお陰で、希望通りの値段・場所・バイト環境と3拍子揃った所が探せた。

そして明日・・・・・英徳の卒業式を迎える。
幸か不幸か・・・・・
司からも類からも、あきらと総二郎の元へすら、つくしの事に触れる連絡は等々無かった。

事前に、あきらと総二郎・桜子・滋には着るドレスが無いからと・・欠席の事は話した。
『私のドレスを着れば良いよ!』と滋が涙ながらに言ったが
『司が居ない以上、出たくは無い!』そう・・・言ってそれを解って貰った。
それは満更、嘘では無くて気持ちの根底には・・・・・有った。

『何故、司はNYから来ないの?』『仕事の都合がどうしても着かないらしい!』
『私が連絡してあげる!』『道明寺のお母さんの手前も有るから、それはしないで!』
滋とつくしの遣り取り。
結果・・・『つくしが、そうまで言うなら。』滋は諦めた。

あきらも総二郎も溜息交じりにその話を側で聞き、何も口を挟まないで居てくれた。大学へは?女友達が聞こうとした時
「尋問はそれ位にしてやれよ!いつだって、会えるんだから」
「そうだよ!牧野、行って良いぞ」
「うん。みんな・ごめんね!」
それが、滋・桜子に会った最後になる。

あきらと総二郎には、引越しの日を変えて伝えた。騙す様な真似をして済まないと心で詫びながら。
2人宛てに2通の手紙を書いてある。無事、新居に着いたら投函しようと決めて。

滞納して使えずにいた自分の携帯も、漸く支払いを済ませ、今日から使える様になった。
新たな生活へのステップを確実な物にしつつある中で、遣り切れなさと寂しさは否めない。
先日の司との事を考えると・・・胸は痛み。類との連絡不通を想うと・・・切ない。

類に貰った手鏡を見つめ、今の自分に出来る精一杯の行動に頷く事でけじめを付けた。
これから進む先の道標。

今回の発端は、道明寺司・・・・・と将来を約束した事からで。
大学へは、花沢類・・・・・の助言から。
成就の援助は、美作あきらと西門総二郎。

つくしは振り返り、想い起してみる。4人誰ひとり欠けても、今の自分は無かったと。
そして考えた、この4人無しで、何が・どこまでやれるのかと。けれど、やらなくては成らない。
この4人とは所詮
「道 = ロード」
が違うのだ!あくまでも、牧野つくしの前に広がるロードは、山あり谷ありの棘道。
咲き誇る花に彩られた華やかなロートではない。

通過地点で出会えた素晴らしい彼らの事を刻み、羅針盤を再び地図に載せて・・・・・進むのみ。

・・・・・・・・・・追記につづく

4 ロード 6 

123456

http://ping.blogmura.com/xmlrpc/bjk6h84usq7p
ブログランキング ブログ村 

英徳・・・卒業式当日。
牧野つくしは
バイバイ!!!明るく手を振り3年間を過ごした校舎に別れを告げた。
そして色んな事も今日で・・・さよなら。
忘れないよ!絶対・・・ありがとう。

牧野つくしは知らずに居た。花沢類がどれ程、つくしの事を気に掛けていたかと云う事を!
置かれた事情・延滞したつくしの携帯の事情も絡み連絡が取れずに居た事。
しかし、信じていた。大学に進んでいるだろうと!司が、つくしの進学に手を打たない訳は無いと云う事を。

春・・・3月
「桜咲く」
通知が届き、念願の国立へ門が開いた。

サクラ舞う  春風の中 胸を張り   背筋を伸ばし 前に踏み出す
まだ少し 襟も 袖口も ピンと張り過ぎて痛い位
でも・・・それが良い 新しく始まる・・・そんな気がして 
何もかもが新しい 目の前に広がる道 勇気を出し 
今・・・歩き出す

牧野つくしは、新居に引っ越しを済ませ家具も揃えた。今までを思えば、充分過ぎる部屋の様子。
本当なら嬉しくて仕方ない筈が、喜び合える人が側にいないと云う事がどれ程寂しいかを噛みしめていた。でも、自分に言い聞かせる!いつか・・・あの人に近づける為にも、今はやるだけやるんだ!
見返してやる・・・自分の力で!今は、それが有るから居られる気がする。遮二無二成れる。手酷い仕打ちを、返って有りがたいと思う事にした。
引っ越しをした直後に、アドレスを削除した。友人6人分。でも・・・後悔はしない。
いつも側に居てくれた、花沢類でさえも家の事情で留学の手続きを代理人に任せ帰国すらしない。ましてや、何の連絡も無いまま!伝言すらない。
強いて言うなら、美作あきら・西門総二郎に済まないと詫びたい想いはする。でも、一切の迷いも見せないままに離れた今は、今日限り振り向く事をしないと決めた。

国立屈指の大学の事も有り、入学式は盛大なモノだった!入学する当事者以外に両親、中には外で祖父母が待機し、門で記念撮影する家族さえ見かけた。牧野家の両親には、敢えてやんわり断りを入れておいた。身支度で費用も掛かる上に、仕事も有るだろうからと。自分も夜にはバイトが有るから、一緒に居る時間が少ないからと嘘を加えて話した所、それならと、諦めた。寂しくないと言えば嘘になる。でも、これで良いんだ!
かつて、紙面に載せられた合格者の名前も、プライバシーの配慮から多くの大学が止めている。ここもその一つ。つくしは胸を撫で下ろす。英徳には道明寺との事を知っている特性を利用し、他の大学に行った事を道明寺家に迷惑が掛かるといけないので、内密にして下さいを申し出てある。
牧野つくしでは聞き入れては貰えなくても、道明寺の名を出せば可能になる。こうして、卒業後の事も済ませておいた。
斯してつくしが、入学し早いもので2週間になる。バイトは大学近くのレストランの裏方。若い人は店内と言われたのを、頼み込んで洗い場に入った。何故なら、何時どんなキッカケで見られないとも限らない。でも、考えてみれば思い過ごしかもしれない!そこまでする意味は有るのかと。しかも、セレブには大凡、縁の無い様な庶民の店。でも、いずれにせよ、裏方の方が、似合ってると長靴にビニールの前掛け姿をまじまじと見る。
いつも通り今日のバイトを終えてアパートへ向かう。バイト先と大学・そしてアパートは、少し距離は有るモノのどちらへも歩いては行ける範囲。人によれば、バスや所有の車でと、何らかの交通手段を講じるかも知れないが、つくしには不要。徒歩で充分行ける範囲。今夜も身支度を整え外へ出ると小雨が頬に当たる。急いで帰れば何とか間に合う?そんな想いで駆け出す。しかし、雨は容赦なく強くなり、肌に服に冷たく落ちる。仕方ないと、諦め駆けるのを止めて歩き出す。その時、車が隣で停まった。自分には関係ないと通り過ぎようとした時。
「牧野君!良かったらこれ、使って。」
名前を呼ばれた!自分を知ってる人?雨が眼に入り、相手の傘のせいも有る為か顔は見えない。
半ば強引に傘を手に持たされ、その人はそれきり何も言わずに再び車に乗り去って行った。
顔さえろくに見ないで消えた。持たされた傘は見るからに高級な傘。100円~500円で手に入れているつくしには考えられない位の物。見て・触れて一目瞭然。
「エッ・・・何?良いの・・・かな?」
相手は自分を知る人でも、こちらは相手が解らない。ましてや走り去り居ない。好意に甘える事にした。残りの道を傘の柄をクルクル回しながら歩く。ほんの少し、寂しかった心が温かく成れた瞬間。

サークルは、入っておく様に優紀に言われていた事も有り、参加は出来るかどうか解らないモノの、名前だけでもと入ったのは『たしなみ会』なぜか女性がやたらと多いサークル。意味さえ解らない不思議なサークルながら、女子が多ければ参加不参加が目立たずに済みそうな事から選んだ。正直に言えば何でも良かった訳だ。
名前が不明のも関わらず、妙に人数だけは多い。女子が多いのに付け込んで、それを目当ての男子も多い。何はともあれ、初回の顔出しを先日終えたばかり。何処かの企業が賛同して要るらしく、その際のセッティングはして貰えたとかで、近くの居酒屋で僅か参加費1000円で飲み食いの場を提供されたらしい。この不景気のご時世に景気の良いものだと、この時入った事を感謝した。

その顔合わせの日。つくしは、その日もバイトを入れて有った事から少し遅れて加わった。
席を探していたその時、女子のブーイングにも似た奇声が今も耳に残る。かつて英徳で何度か聞いたF4が不参加の行事での声に匹敵している気がする。自分には関係ないとさっさと席に着き、既に終えているカンパイの為、男子はそれぞれに飲み食い初めているからつくしも食べ始めた。
『一体何が有った?・・・でも、いいや。さっさと食べて帰ろう!』
つくしは出口近くの末席「新加入・牧野」と名札を付けられた膳の前にポツンと座り、黙々と口に運び始めた頃・・・
「ごめん。ここ、良い?」
「はいどうぞ、でも、お膳が無いですけど?」
「良いよ。・・・アッ!君、未成年?」
「は・はい。それが何か?」
「ビール貰って良い?」
「ああ。どうぞ!」
容姿端麗を絵に描く様なフォルムの青年が隣に座ったが、美しい男子を見過ぎてるせいか?眼中に無かったせいか?で行動に全く変化を見せないつくしに興味を持った眼が、豪快な食べっぷりに笑顔を覗かせながら見ていた。
「済まないけど、そこの山村って言う学生を呼んで貰える?」
「はい。解りました。」
食べてるのに!と思いながらも、先輩に言われたら嫌とは言えず呼びに行くと、その席に眼をやり頷き、3人の学生を引き連れつくしの居る末席に、つくしも含めその先輩の盾になる様に座った。
『な・なに?・・・人の前に鬱陶しい!』
内心で思うが口には出せず、再び料理を食べ始めると
「君・・・先輩が居るのに気にならない?」
「何がでふか?」
口に物を入れながら話すせいか、言葉が変でその場の学生が一斉に笑う。
「先輩がこんなに近くに居て、気取らない女子を初めて見たよ!」
さっき声を掛けた山村が感嘆した口調で言う。
「俺も!」「ああ。変な奴!」「でも、何か良いよ!」
「へっ?」
その返事で、また笑われた。一番受けて居たのは隣の先輩!
『何もそんなに笑わなくても良いのに!』
想いつつ一緒に笑った。
それでも、そのままグズグズしていたら、間も無くお開きに成りそうな気配に帰り損ねれば、二次会へと行かされ兼ねない!お金が掛かりそうな場には参加は辞退し様と、つくしは腰を上げる。
「あれ、何処行くんだ?」
「ハハッ!レディーに言わせないでください。」
「トイレか。」
「はい。」
申し訳ないと想いながらも、それきり外に飛び出す。
でも、ふと気になった。どこかで会った事無いかな?先輩と呼ばれれいた人?そう想ったが浮かばず、諦めて家路に向かった。

それが、サークルの初回・顔合わせの出来事。あれ以来、顔も出さない名ばかり部員・・・牧野つくし。
でもそれがまさかの、これからを左右する出会いに成るとは気づかづに・・・

甘える事が 不得意で   甘える事に 臆病で
ふと気が付き 立ち止まる進めた道が  別の道に成り掛けた事
そのせいなのか
心が勝手に恋しがり 求めるままに手を差し伸べる   
温かい懐かしさに触れたいと 少し強引な温かさに触れたいと
触れた途端に 言葉に・空気に癒される
自分に居場所が有るだけで 帰る場所が有るだけで         
認められ、愛され、励まされる
そして 
また自分らしい道に進んで行ける


今・大学祭の準備は学生主体で企画運営・準備されている事から実行委員会が慌ただしい。
つくしはサークルに入っている。各サークルの参加は20名。男子も参加するので女子は10名。
しかし「たしなみ会」は何と、全員の中でつくしを除く女子24名が名乗りを上げる。些かサークルの幹部学生が困り果て抽選にして漸く10名を決めた。つくしにはどちらでも良い参加枠。恨まれるのは意に沿わない。目立つのは嫌だ!しなくて良いのなら敢えて好き好んで表舞台には出たくない。正直助かったと想う。これでバイトにも支障を来たさず済みそうで、胸を撫で下ろした。しかし、大学1年目の学生一丸の大学祭。こうして今、フラッグが振り下ろされた。つくしは、担当になった学生の忙しさを耳にし『ご苦労様です。出し物が決まり、手が必要な時には、バイトさえ無い日なら協力しますから!』と、メンバーに心で呟いた。

つくしは、久し振りの休みを使い埼玉の家族の元に行く事にして、朝早く目を覚まし電車に乗り込んだ。この所慌ただしくて、自分の時間を過ごす事など無かったつくし。今日行く事は連絡せずに来ていた。昨日思い付き決めた事とゆっくりしたくない事から、もし無くても良い!そんな気持ちから。
1時間を掛けて「小池新聞店宿舎」の前に到着。家族が住み・管理を仕事にもしている場所。その庭先で、母親が庭掃除をしているのが眼に入り駆け依り
「ママ、おはよう。休みでも庭掃除してるの!」
急にいる筈の無いつくしに声を掛けられ
「エッ、つくし!どうしたの、何か有った?」
何の連絡も無く眼の前に現れたつくしに、大声で聞きながら近付いた。
「何も無いよ」
「何で電話一本して来ないの?食べたい物用意しておいてあげるのに!」
「ごめんね!でも、顔を見て少し話す位しか居られないから、ぶらっと来ちゃった。」
「そう・・・・・丁度終わりだから部屋でお茶入れて飲んでてくれる?」
「うん、解った。進とパパは、寝てるの?」
「ううん。進は高校の友達とさっき出掛けたの、パパは社長さんのお誘いで健康施設に遊びに行ったのよ!」
「そう、でもママが居るなら充分。ママのお茶も入れておくネ!」
「ありがとう、つくし。」

家族の居住空間に久し振りに入ると、いつも居ない筈の自分で有っても「ホッとする」気持ちに成るのが不思議だった。前に来た時と何も変わらない部屋のあちらこちらに、眼をやり母親が置きそうな場所を開けると、案の定茶筒も有る。2人の馴染みの湯飲みを用意し、やかんが鳴るのを待つ。
「つくし、ごめんね!」
「ママ、終わったの!」
「エエ。それより、何か食べて来たの?お腹空いてない?」
「大丈夫。ちゃんと食べて来たよ。」
「そう。所で、痩せたわねつくし!大丈夫?」
心配そうな顔で覗き込む様に聞かれ
「大丈夫!食べる物はしっかり食べ、バイトも学校も両立してるし。痩せたのは、お年頃のせいでしょ!」
「もう、つくしったら。でも、体には気を付けるのよ!」
「うん。ありがと・ママ」
話しながら、湧いた湯でお茶を入れてテーブルに湯飲みを二つ。そして、久し振りに母と娘が向かい合う。
「パパと進が居ないと静かだね」
「そうね!それにあなたもよ!」
「もう、あたしあの二人みたいに賑やかじゃないよ!」
「そうじゃ無いわよ!寂しいって事。」
「ママ!」
「それより、2人だから丁度良いわね。つくし、道明寺さんとはどうなったの?」
「エッ、何で?」
突然に想いも寄らない事を聞かれ、動揺したつくしを見て
「別れたのね?」
「な・なん・・・で?」
「もしかしたら、パパが何か関係していない?」
益々動悸が速くなるつくしに
「その顔を見れば解ったわ!ごめんね、つくし。」
なぜか、全てを悟った顔の母親の表情に、つくしは驚いて
「急に何で、そんな事聞くの?」
「聞いたのよ、道明寺さんの秘書の西田さんがお金を出してくれた事。」
「パパが言ったの?」
「やっぱり、そうだったのね!」
キョトンと母・千恵子の顔を見つめ、千恵子も優しい顔でつくしを見た。
「やっぱりって・・・どう言う事?」
「ごめん、つくし。試して。」
「試す?」
「そうよ、パパはつくしは知らない筈だからって、西田さんにそう頼んでおいたって言ってたけど、つくしの様子から道明寺さんと会って居ない気がしたし。そもそも、大学を移ったのが変だと思ってたの。」
「大学は・・・・・授業料とかが!」
「ええ。確かにそれも有るとは思うけど・・・でも、あの頃のつくしは今に成って想うけど少し変だったわよね?」
「変て?」
「引越しの日も、お友達一人来て無かったし。英徳の人と縁を切ったみたいに見えたわ?」
親は・特に母親は、気付くモノなのかと驚きながら、何処まで答えて良いものやらと、その場で考えて出した結論。
「ママは凄いね!それこそ、やっぱり親だね。まず先に言っちゃうけど、道明寺とは別れました。ただし理由は、自分の気持ち。疲れたの!あいつのペースに合わせた生活に。眼の前に居ない彼氏じゃ嫌になったから。何か有っても相談すら出来ないし、泣きたくても喜びたくても側に居ないし、声も聞くのが至難の彼氏。高校生や大学生の女の子に耐えられる筈無いでしょ?」
ぺらぺらと、話し捲くるつくしを見ながら、千恵子は想っていた以上にその内容の深さが有る事に気付かされる。
「そうね、その通りよ!まだまだ、これからの未来が有る牧野つくし。別れたって良いんじゃない。」
「ママ・・・・・」
「でも、パパが関わっていたのが、悲しいだけ!」
「エッ・・・だから、違うって・・・・・」
「ありがとう。パパを庇ってくれて、確かに別れたのには今の事情が有るかも知れないけど、絡んで居たのも事実でしょ?大丈夫よつくし、その事での山は越えた所だから。」
「どう言う事?」
「さっきも言ったけど、お金の事。実は借用書をママが見つけちゃったの・・・偶然に。それで、問いただしたらもう返したって言うから、また驚いて。だって、そんなに容易く返せる金額じゃ無かったから。」
「それで、パパが西田さんが出してくれたって言ったの?」
「そう。でも、最初は名前を言わないから、疾しいお金なの?って怒ったらしぶしぶ話して、それで納得した。
でも、その内容にもっと驚いたの。ただ、つくしは知らない筈って言うパパと、約束を守ってくれたと思う西田さんを信じ、何も愚痴を言わないつくしに敢えて聞く事はしなかった。
けどね、つくしの不思議な行動でいつか機会が有れば聞きたいって思ってたわ。そして今、こうして2人に成る時間を持てたって言うのはきっと、母親として知るべきだと導いて貰った気がするから聞きかせて欲しい。」
「・・・・・」
つくしは、何処までを言うべきか考え、そして決めた。
「西田さんが知る筈の無いそのパパのお金の事に付いて、ママはなんて聞いているの?」
「フリーライターとかでスキャンダルをネタにお金を要求する人が、西田さんの所に行きパパのネタでどうしましょう?かって尋ねられて仕方なくその人には、支払ってくれたらしいけど、今後を心配した西田さんの方からパパの所に連絡をくれて、こっそり会い・今後の相談に乗って、またネタに成りそうなお金の事も有るから、西田さんがパパのローンを全額返済をしてくれたんだって。
パパは、困ったモノのホッともしたって言ってたから。」
つくしはその話しに道明寺楓が存在していない事に、安堵と怒りの両方を感じざる得なかった。しかし今日、それは既に千恵子はつくしから伺い知った。
「道明寺さんのお母様も、ご存知なんでしょ?その事。」
眼を見開き母親の顔をまじまじと見る・・・つくし
「今までは、鵜呑みにしようとしてたけど、つくしを見てたらそうじゃない気がしたから。」
「パパは・・・・・パパはそれで、今は?」
「勿論ギャンブルは、今回の事で懲りたらしい!ホントにしてない。そんな時間を作らない様に、ここの掃除や片付けをしきりに頑張ってて、そのご褒美に日帰り温泉に連れてって貰ったの。ママは奥さんと別の日に行く予定でネ。」
「そっか、なら一先ず良かったじゃない。お金の問題も無くなって、それで懲りて一生懸命働いたご褒美まで出たなんて!もう、あたしの事と結びつけなくて良いよ!それにそれが、原因だ何てちっちゃい事言う家や男だったとしたら、むしろその事でこっちからバイバイするよ!別れたのは、さっき言った理由。今は、英徳に関わる全ての事から離れたい、それだけだよ!心配しないでママ」
つくしがそれで良いなら、ママは何も言わないけど。
それにまあ、あの大学に入ったから、まだ玉の輿のチャンスは有るしね!道明寺さん程では無くてもね。」
多分、母・千恵子は道明寺楓が関わっているだろう事を、娘つくしから今日察したに違いないが、もうそれ以上聞こうとはせずに、話しを終わりにした。

「さあ、つくし何か食べたいもの有る?」
「でも、ゆっくりは・・・・・」
「つべこべ言わない!気が変わった。折角来た娘に手料理一つ食べさせられないんじゃ寂しいじゃない!何としても、食べて行って貰うわよ!」
母親の気持ちに応え、つくしは、頷く
「うん。食べて行く・・・ママの手料理!」
「ありがとう。つくし」

この日つくしは、初めてその部屋で家族4人で夕飯を食べた。
夕方の5時少し回った頃。示し合せた様に父子が帰宅し、居る筈の無いつくしを見て大喜びをした。
『これで良かった』
母の決め事が正しい事を心から納得させられた瞬間。
『ママ、ありがとう』
声に出さずに視線の先で語る。泊まりたくなったが、翌朝の講義の時間が早い為、アパートに寄り向かうには時間が余程早く出ないと間に合いそうに無い為、夜8時に3人に駅まで見送られ電車に乗り込んだ。
「今度は泊まりにね!」
進の言葉に頷き、何時に無くセンチメンタルな気分で3人を電車越しから見つめ、手を振り別れた。

知らない筈の母親と胸に閊えていた事を今回分かち合えた事で、安らぎを感じられた。それはまるで、全身を優しい「親」と云う布が包んでくれて居る様に感じ幸せに思えた。父がつくしが思っている以上に深く考え、努力してくれて居るらしいのも知った。父親に何時か聞きたいと思っていたギャンブルやお金に対しての優柔不断さ。でも、もう良い!そう・・・想えている自分が帰りの電車には存在している。
「今日は行って良かった。」
暗い空の元に、家の明かりやビルの明かりが瞬いている車窓を見ながら、幸せな自分を振り返った。人は自分を認めて貰う事で、時に成長し前に進む活力を貰える。そして、優しい気持にもなれる。痛手が多かったつくしは、この所多少我身ばかりを守る生活を送っていた様な気がした。今日のお陰で少し自分らしくなれそうな・・・

「つくしの道」を逸れる事無くまっすぐ前に・・・

関連記事

別窓 | 【完】 ロード  | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<ロード 6歩 女友達 | STARLIGHT | ロード 4歩 胸中>>
コメント
∧top | under∨
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
∧top | under∨
| STARLIGHT |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。