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流星 完結編 みのり

2010-11-04 Thu 00:00

4【みのり】完結編

新聞及び雑誌記者が世に出られる数少ないコンクール。

新人登竜門の場であり、この授章式に思いを馳せる記者達の夢の場でもある。世間に知らしめる小説の賞とは知名度は天と地ほどの差があり規模は大きく違ってはいる。けれど、得られた授賞の意味は大きい。

式の場所は東京都内の有名ホテル。関係者が全て揃うと300名収容の会場は一杯になる。

そこへダークグレーのブランドスーツをさり気なく着こなす長身の美青年が身を寄せた。たちまち人眼を惹きつけてしまうその容姿。
気付かれれば、口々にささやきが起こるのは当然の事。
「おい!あれを見ろよ。花沢物産の御曹司じゃないのか?」
あちこちで言葉が飛び交う。しかし、当の本人はそんな事は気にもせず、視線を泳がせ只一人の人を探していた。
そんな中、その青年に初老の男性が声を掛けた。
「失礼ですが、花沢さんでしょうか?」
「はい。そうですが、あなたは?」

男性は名刺を渡すと穏やかな表情で語りかけた。
「今日は、どなたかお知り合いの方のお祝いですか?」
「は・・はい。」
類は少し怪訝そうな表情で答えた。すると、思いもよらない言葉が次に帰って来た。
「牧野つくしでしょうか?」
「エッ?」
驚きの声を上げる類。しかし、相手は少しも動じずに答えた。
「失礼致しました。牧野つくしの知り合いです。町田秀治と言います。
花沢さんは確か英徳ご出身でしたよね?」
鋭い眼差しで類を凝視しながらたずねてきた。
「はい。」
類はひるむ事なく返事を返す。
「うちの牧野もそうだと聞いていたものですからお声を掛けさせて頂きました。」
探る様に感じる視線で会話を続ける男性。それにも一歩も気落ちする事なく返事をかえす類。
「良く私が花沢とお気づきになりましたね?」

「これでも記者の端くれですから、政財界の事も多少知る所がありますので。」
「失礼しました。
自分がそれ程顔を知られているとは想っていませんでしたので、失礼な言い方になっていましたらお詫び致します。」
「いいえ。こちらこそ勝手にお声を掛けてすみませんでした。それでは!」
互いに出方を見ながら話をし、男性は話し終えると自ら退こうとしていた。
その時。

「あのぉ!牧野・・牧野さんは・・・どちらにお出でですか?」
踵を返すのを止めて、必死さを感じる問いに返事をした。
「牧野は、体調が悪いので今回は私が変わりに来ました。こちらには来ておりません。」

類はショックを隠せない。その表情から落胆振りがうかがえた。それを見て町田が再び歩み寄る。

「驚かれましたか?」
男性は一段のゆっくりした言いまわしで尋ねた。
「は・はい。なにしろ元気が取り柄の様な後輩でしたから・・少し。」
類は複雑な思いの中で答えた。
「いつか お時間が出来ましたら見舞いに来てやってください。
名刺に社の住所や電話番号があると思いますので、そちらへ御一報ください。前もって連絡を頂ければ観光地へも御案内致します。」
ゆっくりした口調で希望を伝える。
「牧野は・・・牧野さんは、入院でも・・・しているんですか?」
それに反して尋ねる類。
「今はしておりませんが、何れそうなるでしょう。」
「病名は?
お聞きしても良いですか?」

「申し訳ありません。個人の事ですので私の口からは申せません!」
「解りました。では、近いうちに・・・・・」

類はかなりのショックを受けた。それまでとは打って変わり表情は視点も定まらないように見える程になっていた。

2人の声が聞き取れる位置で類と上司の姿を見ていた木佐。それを見て町田の側に駆け寄った。
「あれあれ・・・・・凄い落ち込み様じゃないですか!!所長いいんですか?
少し可哀相過ぎませんか?」
「あれ位で丁度良い。足りんくらいだ!」
類には聞こえないくらいの声で木佐に返事をした。
「つくしの親より怖そうだ!」
木佐は肩をすぼめた。

類は町田に一礼しその場を後にした。その帰り道は、どこを歩いているか間々ならないくらいの深い衝撃を受けていた。

「どれ程の容体なんだろう?」
それが頭を過る。どうにも抑えが効かず、町田から受け取った名刺を取り出した。場所を見ると・・そこは札幌。

記事のあの名所がある場所。星が綺麗に見えると言うのも納得した。
取る物も取り合えず、そのまま空港に足が向いていた。時刻は既に5時。今夜行っておけば、明日朝には会える。

その頃、何も知らないつくしは、早めに自宅に帰された。そのお陰で家に帰って、日課になっている夜空を見上げる時刻も早くなる。
以前はビールだった飲み物は、今はホットミルクに変わった。

「今夜の空は一段と星が綺麗に光って見える!
そう言えば、花沢類に見せてあげたいって前に言ったっけ・・・東京の空でも見えてるかな?」

ベランダに頬杖を付きながら煌めく夜空を見つめる。
まさか・・・間もなく千歳空港のタラップをその人が踏みしめるとは夢にも想わないで!

ふとつくしは思い付いた。
「そうだ!
今日の授賞を時計台に報告に行かなきゃ!お礼を言いに行ってこよう!」

不安な気持ちを抱えた貴公子が北の大地に到着した。
「着いたよ!牧野」
交通手段の連絡が良かったせいで、想っていた以上に早く札幌に到着した類は、空港からタクシーに乗りこんだ。
「札幌の時計台に行ってください。」

類が今日会った名刺の主は明日にならなければ戻らないだろう。それを百も承知で早く来てしまった。
新聞社なら誰かいる。その人物に牧野つくしの事を聞けば良い。その前に記事にあった時計台が一目見たいと想いつく。
ホテルを探す前に向かったその時計台。
つくしが息づく街に自分もいまいる事で、胸が熱くつくしの温かさが伝わる様に思える類だった。

「驚いた!
凄い大きいと想っていたけど案外小さいんだ!
まあ時計塔よりは遥かに大きいけど。」

類は少し離れた所でタクシーから降りた。その全体像が見渡した。その時に目に飛び込んできた後姿の女性。

「あれっ?」

それは見覚えのあるコートにマフラーの気がした。心が躍り思わずその名を呼んでいた。

「ま・き・の・?」

後ろ向きだが高校生の頃のままのその姿。間違い無いと心が叫んでいた。
そう・・・自分が間違えるハズはない!
確信に近い物を感じ取りながら、その相手が場合によれば目の前から消えて居なくならない様に静かに近付いた。しかも間違いないとしたら身体の具合も心配だ。

「時計台さんありがとう!お陰で賞をもらえました。良い事尽くめで怖いくらいです。
来年にはこの子を紹介しに来ます。これからは、時をこの子を含めて一緒に刻んで行きましょう!」
その女性は聞かれているとも知らずハッキリした声で語りかけた。

「この子って・・・・・どう言う事?」
内容に驚きが隠せず、気になるその事が思わず口を吐いていた類。掛けられた言葉と聞き覚えの声に振り向き衝撃を受けるつくしだった。
「エッ?・・・・・・はなざわるい?」

なにしろ・・・絶対と言えるくらいに目の前にいるハズの無い人がそこに・・・いた。
つくしは一瞬後退りしたが、つかさず細いしなやかな手が腕を掴まれ、その胸元に引き寄せられた。
そして2人は至近距離で見つめ合う。

つくしが声を上ずらせて尋ねる。
「どうしてここに居るの?」
その問いに答えるより自らの疑問を明らかにしたい類。
「それより聞かせて。今言った事・・・・・この子って?」
見上げていた瞳を伏せて口ごもるつくし。
「エッ?き・聞き間違えだ・・よ。花沢類・・の。」
その仕草で納得した類。
「だから・・・出席出来なかったんだね?
今、気分悪いの?顔色良くないモノ!」

「あ~あれ?風邪・・・風邪引いちゃって!エッ!でも・・・どうして知ってるの?」
「聞いたんだ。町田さんから。
具合が悪くて出席は無理だって。しかも何れ入院するって。見舞いに行けたら行ってやってくれって。」

「そ・・それで・・こんなに早く来てくれたんだ?
あ・・ありがとう。」
「直ぐに早く来るほど驚いた。それにショックだったって解らない?」

「花沢類?」
類はつくしをキツク抱きしめた。頭を撫でながら肩に腕を廻し耳で囁く。
「俺の子だね!」
「・・・うん。」

それだけ答えるのがやっとだった。溢れる想いは止めどなくて包まれる腕の中は陽だまりの様に温かかった。

「ここに来るまでに星に何度も願ったよ。牧野の具合が悪くありません様にって!
そしたら・・叶った。」
「うん。」

「俺は牧野以外とは結婚しないと伝えた。親は承諾したよ!もう学生じゃないし。
どうしても駄目なら家を出るって言ったら、母さんが応援してくれて親父もついに解ってくれた。この上孫が出来たって言ったら、どう言う顔するだろう?楽しみだ。」
「・・・・・あたしで・・・いいの?」

「言ったろ!牧野じゃなきゃ駄目なんだって。」
「ありがとう。花沢類。」

「あっ!見て見て、牧野。流れ星!ねえ祈った?」
「うん。花沢類は?」

「祈った。」
「教えて?」

「駄目だよ!
利き目がなくなるって言ったの牧野だろ?」
「そうだっけ?」

その晩つくしのマンションに類は泊まった。部屋には金魚鉢に入れられた赤い金魚が1匹泳いでる。
「これ、学生の時のだよ!長生きでしょ?」
「うちにも有るよ!
今年のが!」

「ほんと!!」
「ああ。」
尽きる事のない会話。隔たりが消えた二人の間。

「それにしても参ったな!」
「何が?」

「たった1晩で後継者が出来ちゃうなんて。」
「ホント!相性が良いにも程があるって想ったよ!」

「ねえ。今度聞いてくれる?病院に行ったら。」
「何を?」

「何カ月まで、出来るかって?」
「何をするの?あたしの仕事の事?」

「どこまで鈍いんだろ?もう良い!俺も一緒に行く!」
「な・・何言ってんのよ!わざわざ札幌まで来る訳?」

「エッ?東京に帰って来るんじゃないの?」
「そんな直ぐに?産むまで働きたい!それまでで良いから!」

「うん。解ったよ!
ただしそれまでだよ。もう離れては居たくないから。牧野とも・・・この子ともさ。」
類はつくしのお腹を優しく撫で、つくしに愛と感謝のキスをする。

「明日新聞社に挨拶に行こう。2人で。アッ3人で!」
「うん。」

「花沢類。あたしのお気に入りの場所に招待するね!こっち。あっ・・・その前に」
キッチンでいつもの様に用意し、類に声を掛けベランダに出た。

「はい、ビール。ごめんね。冷えていなくて。」
「うん。良いよ大丈夫。牧野はホットミルク?」

「うん。これがあたしの日課。今日は2度目だけどね。」
「もうすんでたんだ!」

「うん。そしたら想い出した。類って呼んだあの日の事・・・・・」
「ねえ牧野・・・・・お仕置きしてもいい?」

「どうして?叶ったんじゃないの?」
「あれから何度も祈ったけど叶わなかった。」

「叶ったじゃない!」
「遅い!この間どれ程切なかったか。だからお仕置き・・・手を出して」

「やだ・・・ビンタ?ん~・・でも・・・しょうがないな・・・はい。痛くしないでね」
「やだ!覚悟して。」
つくしは恐る恐る手を出し眼を閉じてやり終えるのを待った。

すると・・・・・

「牧野つくしさん!この子と共に一生側に居てください。俺の奥さんになってください。」

そう言うとつくしの手の甲にキスをした。それは相手に敬愛を示す口付けで。

「エッ!!・・・・・は・はい。」
驚きの顔と瞳を潤ませるつくし。

「こ・・・こんなお仕置きなら、いっぱい・・して良いよ!」
「そう!じゃあもっと濃厚なお仕置きしてあげる。さあ!お風呂に入ろっ。」

「え~えっ?やだぁ~。」
「ダメ!お仕置きがたまりにたまってるんだから!さあ。」

「もう~・・・花沢類って・・・案外エッチかも?」
「何だ?今頃気が付いた?もう遅いよ!」
心が通い合えた2人。熱い夜を迎える。

翌日つくしの変わりに授賞式に出席してくれた2人の元へ類と2人で行くと
「木佐いつにする?」
「所長!参ったな。花沢さん早いっすよ。」

「エッ?」

「俺と賭けをしたんですよ花沢さん。つくしの所に花沢さんがもう来てるって。木佐はもう少し先だろうってね。」
「なんで来てるとお思いになったんでしょうか?」
「あれで直ぐ来るくらいの想いがある奴じゃなきゃ、つくしは渡さないつもりでいました。やっぱりつくしは見る眼がある。」
「花沢さん所長を勘弁してやってください!本当につくしを娘同様に想ってますから。」

「はい。嬉しいです。牧野を大切にします。」

今思えば「一人で産んで育てます。皆さん宜しくお願いします。」つくしがそう言ったあの日より、更に大きな拍手と涙する仲間に見守られていた。

その日。電話ではあったが牧野家の両親・三橋先生に類との事を報告した。些か妊娠の事はまだ言わないままにしてだけれど。
牧野パパ・ママは電話の向こうで泣いていた。

類は休みを1日もらい、つくしの通う病院へ挨拶に行き、主治医へ東京で出産したい事を話した。その姿は、既に夫として父親の風体に思える凛々しさがあった。
マンションへ帰る前に2人は宝石店にも立ち寄った。

「何?」
「エンゲージリングを贈らせて?」
「ありがとう。」

その晩2人はベランダで約束をした。

「もう二度と離れない!」
その時・・・幾つかの瞬く星が流れて行った。

光輝く星空を2人は見つめ寄り添い合う。

星の瞬く夜空の下で、寒さに打ち勝つ口付けを交わしながら。ほんの少しの期間だけ見る空は違うけれど、もう2人に不安は微塵もない。

これから始まる・・・類とつくしの幸せな世界。

何億年も煌めいてきた星座の様に

2人も光輝いていられる様に!

・・・・・・・fin・・・・・・


流星
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