STARLIGHT

好きな作品を流れのままに綴ります。 二次・オリジナルのお話です。よろしくお願いします。まずは【はじめに】からお入り下さい。

Love 2 ひとり

【ひとり】

オーストラリア旅行の集合場所に、そのツアーの時間より1時間前を選んだつくしと優紀の2人。


そこまで重い気分でキャスターを転がしつくしが到着した。でも、まだそこに優紀の姿はない。

10分過ぎた頃・・・つくしの携帯が鳴る。
「アッ!」
優紀からの連絡。でも、その声は・・・・・優紀の母親からだった。
「つくしちゃん?」
「優紀ママ!」
「もうわかるわね?」
「やっぱり・・・優紀?」
「ええ。昨日も病院で早く良くしたいからって点滴をしてもらったんだけど熱が下がらないの。でも、仮に下がっても行かせる気はなかったのよ。病み上がりで海外旅行に行ける訳ないものね。
でも、本人を前にそれは言えなくて、何日か前にキャンセルさせたかったけど、本人が行く日はこの日しかないって言い張るから・・・親の援助なしで、2人で貯めた資金だもの。とても、言えなかった。
ごめんね!」
「優紀ママ?」
「ツアーだそうね?」
「はい。」
「1人なら無理にでも言い聞かせもしたか知れないけど、それなら、優紀がいなくてもつくしちゃんだけでも楽しめるわね?」
「でも・・・・・」
「今、優紀は寝てるわ。薬のせいで眠いらしいの。だから、代わりに連絡したんだけど心配しないで!
つくしちゃんが帰国する頃には良くなってるから。
優紀を気にしないで楽しんで来て。写真見せてあげてちょうだいね。」
「すみません。」
「あやまるのは、うちの方。ほんとにごめんなさい。
気を付けて行ってらっしゃい。」
「はい。行って来ます。」

さびしくないと言えば嘘になる。1人では行きたくないと言っても嘘になる。残念で仕方ないが、意を決してツアーの中に1人で参加を覚悟した。

ABトラベル「オーストラリア・リフレッシュツアー」
それが、参加したツアーのネーミング。参加者は、添乗員同行・他18人の団体旅行。
驚いたことに、つくし以外にも単独参加の学生が1人いた。

「これで全員ですね!
今回、皆様の旅のお供をさせて頂きます。私・宮本と申します。至らない点もあるかとも思いますが、精一杯皆様の想い出に残る旅のお手伝いをさせて頂きますので、どうぞ宜しくお願い致します。」
30代半ばのベテランの域に達しそうな女性の添乗員だった。

参加者の顔ぶれは、新婚旅行らしき20代のカップル2組。初老のカップル1組。女性2人組2組。男性4人女性2人のグループ。そして、つくしともう1人女性。計18人。

「あなたも1人?」
「はい。親友が急遽具合が悪くなって。それで。」
「そうなの。私は初めから1人で申し込んだの。
だったら、旅行の間何かと一緒に組むわね。よろしく!」
ハキハキした同年代のその女性は、笑顔でつくしに手を差し出した。
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
「あなた、もしかして卒業旅行?」
「はい。」
「そうなんだ!実は・・・私もそう。」
「エッ?お1人で?」
「あっ・ああ。随分さびしい感じに見えちゃうわよね?」
「す・すみません。」
「ううん。いいのよ。もし私が、あなたに今の親友の話しを聞かなければ、同じに思うかもしれないもの。」
「はい。」
「ゴールドコーストに恋人がいるの。でも、忙しいらしいし、毎日は会えないって言うから・・・このツアーは、そこに3日滞在するでしょ。だから、それなら会えるだろうし、1人きりでさびしくもないって!それで選んだの。その3日で会おうって。
しかも、他も観光出来ちゃうから一石二鳥でしょ?」
嬉しそうに言いながら、つくしにはどことなく切なくも聞こえた。

その女子学生の名は前山裕子。有名私立大をつくし同様卒業したばかり。
旅先の恋人は、日本企業に就職した社会人。エリートコースを行く青年らしい。就職そうそう語学力を買われオーストラリアに秋から赴任したと言った。その為に、それ以降会っていないから自分の就職を前に一目会いたくてこのツアーを選んだとつくしに話してくれた。
そして、親が1人では海外旅行に出してくれないのが、もうひとつの理由でもあるとも言った。

こうして、ひとり参加で心配した旅行も、ツアーで訳ありの知り合いが出来た出会いの旅になった。

夜の9時に成田を発ち翌朝シドニーに到着。
シドニーでは、市内観光で世界遺産のオペラハウス・ロックス地区、繁華街キングスクロスにバスを下車して観光した。
昼食には、シーフードレストランでロブスター!
つくしには、生まれて初めての海外旅行。全てが驚きと慌ただしさの中にいた。
目の前に広がる青い空と海。
雑誌やテレビで目にした場所に、今自分が存在している感慨を得ていた。
「優紀にも見せてあげたい。」
思わず洩れた言葉。手にしていたカメラで、その風景を撮りまくった。
「いい友達関係なのね!」
裕子がつくしに言う。
「うん。幼稚園からの付き合い。なくてはならないかけがえのない友達。」
「うらやましい。私には、そこまで言い切れる友達はいない。」
つくしは、その言葉に何も言えなかった。

翌日、世界三大美港に数えられるシドニー湾のクルーズを楽しみ、乗船中のそこで広がるパノラマを前にランチが振る舞われた。
それぞれのカップルやグループが、次第に仲良くなり写真を撮り合い会話も弾んだ。勿論つくしも例外なく。

シドニーでの自由行動は、裕子と2人でキングクロスに再び足を延ばした。幾つかの買い物を済ませ、フードコートでアイスクリームやショーケース売りのチョコを幾つかチョイスし買い込んで街並を歩いた。
ファーストフード店のフィックスガラス越しから見える店内に、自分達の2倍以上の体型をしたスーツ姿のサラリーマンが、小さく見えるハンバーガーを頬張る姿が和むように可愛らしく思えた。
はしゃいで楽しくしていても、何気なく裕子を優紀と呼び間違えをし苦笑されて我に返る。

そして、念願の目的地ゴールドコーストに向かう為、ブリスベン行きの飛行機に搭乗。

この旅行を選んだ理由。
それは・・・サーファーズパラダイスと美しいビーチ。イルカに出会えるシーワールドに行きたい為だった。
「グァム」でもなく「ハワイ」でもないこのビーチをつくしと優紀は選んだ。
でも、それを共に見るはずだった親友はいない。心にぽっかり空いた穴。それを埋めるように写真を撮るつくし。その頬に滴がつたう。

ホテルにチェックインする前に、最新スポットの世界で一番高い住居ビルのQ1リゾート&スパの77階・展望台からゴールドコーストの360℃見渡せる見事な青い空と海のコントラストを堪能した。
「優・・・あっ・・裕子さん・・・スゴイね!オーストラリアで、こんな高層があるなんて知らなかった。」
「クスッ。うん。ホントに綺麗。」
「ごめんなさい。また間違えて。」
「気にしなくていいのに。無理ないわよ。似た名前だもの。それに一緒のはずだったんだし。」
「ありがとう。」
「うん。」
この後、ツアーはローンパイン国立公園に向かいコアラを抱いた記念写真撮影。コアラはストレスに弱く、抱く体勢を観光客にとらせて、そこに担当の飼育員が一瞬の間に抱かせて撮ると言う形。
しかも、可愛い動物に似合わず匂いがきつく爪も痛い。それが、コアラを抱けた時の笑顔の写真の裏事情。
「優紀に何て言おう?」


この後の3日間は自由行動だ。
オプションで観光を選ぶ選択肢もあるが、つくしはそれを選ばずにいた。
「サーファーズパラダイスの海沿いを歩いたり。オーキッドアベニューに行ってみたりすればいい。」
それが結論。
朝バイキングを食べに部屋を出ようとしたその時。
ピンポーン
「は~い?」
ドアを開けたその先にいたのは、恋人と会うと嬉しそうに言っていた裕子。
今にも泣き出しそうな裕子の姿に驚くつくし。
「どうしたの?」


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